トルコ・イラン・ロシア3首脳、シリアに関し16項目声明

2022年07月20日付 Milliyet 紙

トルコ・イラン・ロシアの3首脳のトップ会談が、エルドアン大統領、プーチン大統領、ライシ大統領が参加のもと、イランの首都テヘランが行われた。

3首脳会談で、16項目からなる声明が発表された。シリアにおける非合法の自治政府は否定された。首脳会談のあと発表された16項目は次のとおり。

1)3首脳は、シリアにおける状況を検討した。2020年7月1日に行ったビデオ会議後におきた状況について検討し、そこでの合意とそれぞれの外務省や代表者の会議での合意にそって、3者間の協力を強化することに関し、3者の決意が強調された。また、最近の国際的、また地域的な状況が取り上げられ、アスターナ・プロセスが、シリア危機の平和的、継続可能な解決に果たす役割が強調された。

2)シリア・アラブ共和国の主権、独立、一体性、不可分性と、国連憲章の目的と原則への準拠が強調された。この原則に、普遍的な敬意が示されること、誰によるものであろうと、いかなる行動もこの原則を弱体化させてはならないことが指摘された。

3)いかなる種類・形態であれテロとともに戦う決意が表明された。民間施設を標的にした、罪のない人々の命を奪う攻撃を含め、シリアの各地におけるテロ組織や、それと関連した様々な名前をもつグループが増加傾向にあること、そして彼らの活動が非難された。また、シリア北部に関連するあらゆる措置が、他に影響を与えない形で実施されることが必要であることが強調された。

4)非合法の自治組織構築を含め、テロとの戦いの装いのもとで、この地域で新たな既成事実を作ろうとするあらゆる行為は否定された。シリアの主権と領土の一体性とともに、隣国の国家の安全を脅かす越境攻撃や侵入を含め、分離主義に反対する決意が強調された。

5)シリア北部の状況が取り上げられた。この地域における恒久的な安全と安定は、同国の主権と領土の一体性の保持が確保されてはじめて実現するという点が強調された。この方向での努力を協調して行うことに関し合意がなされた。シリアのものである原油収入が、非合法に獲得され、流用されることに反対することが表明された。

6)国際人道法により一般市民や民間の施設は守られており、テロ組織とつながる、あらゆる個人、グループ、企み、存在を完全に排除するために、3者間で続けてきた協力が続けれることに関し、決意が確認された。

7)イドリブ緊張緩和地区における状況が詳細に検討された。地域において安寧が確保されるために、イドリブに関するすべての合意が完全に実施される必要がある点が協調された。イドリブ緊張緩和地区内外の市民を脅かすテログループの存在や活動に関し、深刻な懸念が示された。人道状況を含め、イドリブ緊張緩和地区やその周辺の状況の正常化に向けた努力を続けるために、さらなる努力がなされなくてはならないという点で合意がなされた。

8)シリアにおける人道状況に関する深い懸念が表明された。国際法や国際人道法、国連憲章に反する、あらゆる一方的な措置や、特定の地区にむけた特例措置を行うことによる差別の助長や、国家の分解につながる差別的な対策は、否定された。これに関連し、国連をはじめとする人道支援組織や、その他の政府系・非政府系の国際組織をはじめとする国際社会に対し、差別・政治化・前提条件なしに、より透明な形で、すべてのシリア人に対する支援を増加させるよう呼びかけられた。

9)シリアの紛争に軍事的な解決策はなく、紛争はひとえに国連安全保障会議の2254番決定にもとづき、国連の調停のもと、シリア人によるリーダーシップと責任のもとで、政治的プロセスにより終結するという考えが確認された。これに関連し、アスターナ保護国による明確な貢献と、ソチもおけるシリア国家対話会議の決定によって作られた憲法委員会の重要性が強調された。憲法委員会が継続的に検討を続け、効果のある作業を行うために、委員会メンバーと、支援にあたる国連事務総長のシリア特別代表であるGeir O. Pedersen氏の継続的な協力を支援する準備があることが、(三者により)繰り返された。委員会が憲法改革の準備と、国民からの承認を得る作業を実現し、作業を進展させるためのプロセスにおいて、「職務定義と基本方針」に従いメンバー間で対話を保証するために、外からの干渉や、外から決められた時間的なリミットなしに、歩み寄りと前向きなやり方をとることが必要であると表明された。憲法委員会の活動を、いかなる官僚的・ロジスティックな障害なしに継続させることが必要ある旨が強調された。

10)アスターナ体制の作業部会により、捕虜や誘拐されたものの相互解放が継続されるよう、その決意が強調された。作業部会が、シリアの諸勢力の間の信頼関係を構築する上で影響力と必要性を証明した独立したメカニズムであることが強調され、捕虜の解放に関する作業を続け、遺体の引き渡しや、行方不明者の身元確認についても、職務規定に即しててその活動を拡大させる決意が表明された。

11)難民や国内避難民の帰郷と、その枠組みで支援を受ける権利を保障し、シリアの旧居住地に安全に、また自ら望んで帰郷することを容易にすることが必要であることが強調された。これに関し、国際社会は、これらの人々が新たに定着し、普通の日常生活を確保するために、適切な貢献をし、負担の分担においてより多くの責任を追うことが求められる。これに関連し、基本的なインフラの補修を含め、特に、水道、電気、下水、保健、教育、施設、学校、病院と、国際人権法に沿った人道的な地雷(回収)活動を含め、早期回復プロジェクトなどにより、シリアに対する支援を増加させるよう、国際社会に対し呼び掛けを行った。

12)イスラエルによる民間施設を含めたシリアに対する軍事作戦を非難する。この攻撃が国際法や国際人道法、さらにシリアの主権を侵害するものであると見なされた。これらは地域を不安定化させ、緊張を高めるものである。イスラエルが、本件に対し行ったすべての決定と対策は無効であり、それらがまったく法的な権限をもたないとした国連安全保障委員会の242番と497番の決定、また、シリアのゴラン高原の占領を非難する国連の評決を含め、永久的な国際法の決定に従うことが必要だと確認された。

13)シリア問題に加え、政治的・経済的共同協力を拡充するために、諸分野で三者のコーディネーションを強化する希望が確認された。

14)アスターナ体制で実施されたシリアをテーマにした国際会議の第19回を、2022年末までに開催する方向で、三者が代表者を任命することが合意された。

15)次回の三者首脳会談は、ロシアのプーチン大統領の招待により、ロシアで行われることが合意された。

16)ロシア大統領、トルコ大統領は、テヘランで実施されたアスターナ体制三者首脳会談のホストを務めたイラン・イスラーム共和国イブラヒム・ライシ大統領に感謝を述べた。


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翻訳者:トルコ語メディア翻訳班
記事ID:53780