■サドル師は武装集団による「アルバイーン」の「安全確保」を禁止するよう訴える

【バグダード：アナトリア通信】

イラクのサドル潮流指導者であるムクタダー・サドル師は土曜（3日）、南部カルバラー県で今月9月16日に行われる（シーア派の宗教行事）「アルバイーン」に訪れる際の武装集団による「安全確保」を禁止するよう要請した。

サドル師はTwitterへの投稿の中で以下のように語った。「公的機関、特にカルバラーの地方公共団体に向けて私は語りかける。君たちはよく注意し治安を維持しなくてはならない。また、人民動員隊やマフディー軍、およびそれらに類似した組織を排除した治安部隊のみでチェックポイントを維持しなくてはならない。」

また、「すべてのイラク人は自制し摩擦を避けていると示さなくてはならない。」と続けた。

さらに、「すべてのイラク人は治安部隊と協力しなくてはならないし、党や民兵のスローガン、あるいは人民動員隊やサドル潮流のスローガンさえも掲げてはならない。これは、訪問者や聖地の安全を守るためだ。」と語った。

「アルバイーン」に際して、シーア派のイラク人数百万人が徒歩でカルバラーへ向かう。なお、「アルバイーン」は毎年ヒジュラ歴のサファル月20日に行われ、今年は今月16日に当たる。

また、「アルバイーン」はシーア派にとって最も重要な行事と見なされており、世界各地から数十万人が参加して、フセインの霊廟を訪れるためにカルバラーへと向かう象徴的な追悼行進が行われる。

先月8月29日、首都バグダードやその他の県で衝突が発生し、医療関係筋によると30人以上が死亡、数百人が負傷したという。なお、これはサドル師が政治活動から完全に引退すると発表した直後にサドル潮流の支持者がバグダードの複数の政府機関に侵入したことを受けての衝突だ。

ちなみに、サドル師の決定は、（シーア派である）サドル潮流が議会の多数派を勝ち取って以降「多数派政権」の樹立を目指し、10カ月以上にわたり（議会ブロック）「調整枠組み」と争いを繰り広げていたことを受けてのものだ。

サドル潮流は「調整枠組み」が首相に擁立したムハンマド・シヤーウ・スーダーニー氏を拒否し、議会の解散と早期の選挙実施を要求している。一方、「調整枠組み」はサドル潮流の議員らが辞職したしたことで議会の多数派となって以降、組閣にこだわっている。

イラクの勢力間、特にその中でもシーア派勢力間の対立によって、2021年10月10日に実施された直近の選挙以降、組閣ができていない。