子供の教育のため借金

2022年09月12日付 Cumhuriyet 紙

社会民主財団会長でアクソイ調査会社創始者エルタン・アクソイ氏は、話題の最新状況、データに基づく分析、政治家の話題作りの会見、その会見が社会に及ぼす影響を本紙のために解説する。では、アクソイの今週の解説は。

トルコが抱えている貧困化の規模が原因で、国内問題の別のテーマを話すことは不可能である。新聞記者、研究者、テレビの評論家、作家、つまりは国について頭を悩ませる全ての人が、貧困化についてのみ話している。なぜなら、国民の声に耳を傾ける全ての人が、貧困以外は耳にしないからである。

下流、中流、さらには上流の収入グループ全てに影響を及ぼす貧困化は、徐々に悲劇的な状態になっている。数日前、大切な新聞記者の友人と大型ショッピングセンターの横を通過した時、そこで働く若者と隣の人との会話を目にすることになった。最も有名な本屋で働いているその若者は、隣の人に昼食はもう食べるのをやめ、そのおかげで支出が幾分減ったと説明していた。恐らく、学部卒のその若者は、教育を受けた個人として書店で本を陳列するだけにとどまらず、同時に昼食をあきらめなければならない貧困とも向き合い解決せねばならない。私が、最近、頻繁に強調するよう努めているように、国の最も重要な問題の一つは質の高い労働者の貧困化である。つまり、良質の貧困である。

上記の痛ましい例からわかるように、トルコ社会は常に収支バランスを取るといった困難を抱えた。私たちは、多くの経済危機で同様の事例を見てきた。通常時も、実収入が高くないため、貯蓄率が通常低くなるともに、収支バランスは一般的に均衡している。借金をせず、差し押さえを受けるというような不安を抱えて抑制的に支出をし、可能であれば貯金をする。新しい世代では、この貯金の探求が相対的に減少するとともに、抑制的な支出は概ね続いている。また、時によりトルコにおける家計の収支バランスが崩れる期間も一時的にある。この最たる2つの例のうちの1つは冬の光熱費、もう1つは子供を抱える家庭で子供たちの学業再開の時期である。この2つの時期は、総じて収支が合わない家庭では緊張が生まれる時期である。この文章では学校に戻る時期を取り上げる。

ご存じの様に今週、学生は学業に戻る。この学業復帰は、以前は特に貧しい家庭を悩ませていたが、現在は全ての収入グループの共通の悩みとなっている状態である。家族が子供に受けさせようと力を入れている教育は、以前に比べると後退的なカリキュラムを持ち、成功の割合が落ちたことに加えて、さらに高価な状態になっている。増加する支出に対して、家族は子供のためにこの状況をなんとかしようと努めている。「なんとかしようと努めている」と言っているが、現在、収入ではこのルーティン外の支出で賄うことができないため、高い確率で借金に絡め取られる。この借金の程度を下記のグラフで一緒に検証しよう。

データの22.7%だけが子供の教育費を自分の収入によって賄っている。残りは借金によってこの追加支出を解決している。借金をせざるを得ない人の53.8%はクレジットカードにより、15.9%は借金、6.1%は銀行のローンで支出を補填している。

では、どれほどの支出のために、上記レベルの借金を行ったのか、それも見てみよう。

就学前、小学校、中学校、高校教育を受ける子供たちがいる家庭全体の平均を取ると、学業再開時期に平均3113リラ(約2万4411円)の支出を行なっているのがわかる(注)。

こうした支出がその時期に全家計にどれほどの追加負担をもたらしているのかというと。負担がどれほど増えているのかを正しく判断するために、ある素晴らしいビジネス雑誌のため私たちが行なった調査の結果を共有するところから始めたい。

2017年
就学前教育を受けていた子どもたちを含んでいない調査では、2017年時点で[就学する子供を抱える全世帯の]全家計に150億169万7813リラの負担となっていたのがわかる。では同様の算出方法で2022年に私たちが行った調査でどうなかった共に検証してみよう。

2022年
表から分かるように、全家計への追加負担は推計で609億4085万1943リラである。5年以内にほぼ4倍負担が増えている。手取り収入が同じレベルで増加していないことで、昼夜経済についていきり立って説明する政府…。

保護者が子供たちの学業再開を借金で賄い、教育を受けた人が昼食を取らないで家計をやりくりしようとする社会を作り上げた、与党公正発展党は。このため、政権交代と、政権交代後の社会に対して、私たちの責任は大きい。この大きな責任に対し私たちが行うべきは、不毛な議論に終始するのではなく、人を中心に据えた包括的かつ効果的な発展計画を一つ一つ練ることである。左派の基盤となるのは良心である。以上のことは私たちの良心が命ずるところの責任である。

(注)トルコの月額最低賃金は7月に改定され、手取りで5500リラ(約4万3120円)となった。


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る

同じジャンルの記事を見る


翻訳者:新井慧
記事ID:54040