AKP会派代表ウナルの文字改革非難に批判の声

2022年10月23日付 Cumhuriyet 紙

AKP(公正発展党)のマヒル・ウナル議員が、「共和国(の改革)が我々の文字(アラビア文字)や、我々の言語、つまりあらゆるマインドセットを無にした。今日我々の話すトルコ語では思考を生み出すことは不可能だ」と述べた。一方歴史研究者らはこの発言を「アタテュルクの実績を認めない偏狭な考えだ」とコメントした。

AKP会派代表であるマヒル・ウナル議員は、昨日、第8回国際書籍文化フェアにおいて会議に出席し、トルコ共和国ならびに文字改革を標的にするような発言をおこなった。

ウナル議員は、(我々トルコ人は)「(心理的?)免疫システム」を作りだせるほどの強力な思考メカニズムを有してないと指摘し、その理由について「なぜなら我々トルコ人は強力な言語を有していないからだ。事実、我々がある時期学識のある人とみなし、ある時期知識人とよんだ人々は、真の知性を追い求め、知恵を求めた人々であり、預言者ムハンマドが、つまりムスリムの視点で、『アッラーよ、私に事物の真実をお示しください』と祈った事物の真実を追い求める人々である。知的でイデオロギーに拘束されない人々である、憎悪(ヘイト)が知性を汚すことを許さない人だ」と述べた。

■「我々は思想を生み出せない」

ウナル議員は、トルコにおいて文化革命が思想を破壊したと提唱し、次のように述べた。

「史上最悪の文化革命はトルコで起きた。たとえば、フランス革命はあらゆるものを破壊したが言語には手を出さなかった。さらに、最も過酷な革命の一つである毛沢東の文化大革命でさえも言語には手を出していない。しかし不幸なことに、トルコ共和国は文化革命として我々の辞書、文字、言語というすべての思考セットを破壊してしまった。今日、我々が話しているトルコ語で思想を生み出すことはできず、会話という需要を満たしているに過ぎない。」

■「理解不足」

一方、歴史専門家はウナル議員の発言に批判を示している。ハック・ウヤル教授は、「オスマン帝国はトルコの歴史の中で最大かつ最長の国家であるが、20世紀初頭に崩壊した。近代化の取り組みが部分的で表面的なものにとどまったからだ。とはいえ、他方ではトルコ共和国を建国した幹部らもオスマン帝国の近代化努力の成果として養成された。アタテュルクもその一人だ。アタテュルクおよび彼と同世代の人々は、オスマン帝国の崩壊を外国勢力や陰謀のせいだとは考えていなかった」と見解を述べた。

ウヤル教授は、「文字改革の結果、我々は無知になったのではない。オスマン帝国は無知だったために崩壊した」とし、1918年には崩壊は避けられないものとなっていたと述べた。また次のように続けた。

「(当時の)識字率は3%未満だったが、文字改革により短期間で史上最高値に達した。1950年の識字率は32%だ。今日の(トルコ共和国の)成功も、文字改革がいかに道理にかなっていたかを示している。オスマン帝国が文字を切り替えたその一夜で我々は無知になったのではない。社会の95%が読めなかった文字を変更することが、我々を無知にすることはない。重要な歴史文書はすべて現代トルコ語に翻訳されており、現代の専門家として、もちろん我々も必要な翻訳作業を行っている。(ウナル議員の発言は)デマと共和党革命、そしてアタテュルクの取り組みに対する理解不足からなるものだ。」

■「票のために利用している」

メフメト・エミン・エルマチ准教授は、政府は常に、困ったときには得票のために嘘をついてきたと述べ、「1950年代以来、一定の層がつきつづけてきた嘘がまさにこれだ。苦々しく思うのは、彼らは、実際はなぜ改革が行なわれたのかを知っているにもかかわらず、困ったときにはいつも得票のために嘘をつくことだ」と述べた。

エルマチ准教授は、一連の改革は理性と科学の枠組みに基づいて行われたことを強調し、次のように述べた。「識字率5%台で誰も学ぶ内容を理解しなかった時代から、宗教書がトルコ語へ翻訳できるようになり、教えを理解し、問い直す世代が現れた。」

■「メドレセ的メンタリティーとの衝突」

また、ハリル・オズカン准教授は、アタテュルクのおこなったメンタリティー(物事のとらえ方)の革命に相対するメドレセ(イスラム学院)のメンタリティーが存在したとし、「今回の発言は啓蒙主義的なメンタリティーとメドレセ的メンタリティーとの衝突である。この闘いは今も続いており、終わる気配もない」と語った。


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翻訳者:原田星来
記事ID:54308