エルドアン大統領はプーチン大統領をどう説得したのか?

2022年11月02日付 Milliyet 紙

トルコのエルドアン大統領は、[ウクライナ産の穀物を船舶で運ぶ黒海の]穀物回廊の合意を中断したロシアが再度テーブルについたと伝えた。世界の報道各社はこの発表を大きく取り上げた。

ロシアが週末トルコ主導で署名した、[ウクライナ産穀物輸送を目的に黒海上に構築された]穀物回廊合意を中断し、ここ数日間世界の注目の的となっていた。ロシア政府は、クリミア半島の最大都市セバストーポリに停泊している艦船がウクライナによって攻撃を受けたとし、合意を棚上げにしていた。

ロシアの発表は、世界の穀物価格を急上昇に導き、今週の初めにウクライナの港から出港したばかりの、穀物を乗せた貨物船の一部はイスタンブルのボスフォラス海峡に到着した。

米国やヨーロッパ各国は、ロシアのプーチン大統領に対して、(穀物)合意に復帰するよう求める中、同じ旨を国連も述べていた。

注目を集めたトルコは、この危機が解決されたと最高指導者が発表した。[つまり]エルドアン大統領は、国会の会派会合の際に下記のように述べた。

「この新たな朗報は、あのプーチン大統領と我々との会談を受けて、ロシアのショイグ国防大臣はトルコのアカル防衛大臣に連絡し、本日の12時以降、穀物輸送を継続すると明らかにした。まずはアフリカの貧しい国々に対してこの回廊を運用する予定で、ジブチやスーダンのことを配慮するよう勧め、これを我々が実行する見込みである。」

プーチン大統領をどの様に説得したかという報道関係者の質問に対し、エルドアン大統領は、「少し待ってほしい。まずバイデン大統領に説明した後に皆さんに公表する。」と回答した。

■ウクライナから保証の書面

エルドアン大統領の発表と同時に、ロシア側でも発表が行われた。ロシア政府は、アンカラ-モスクワ間の意思疎通は続いていると述べた。

その直後にロシア国防省は、黒海回廊合意がこれからも継続すると公表した。

ロシアのタス通信は、ウクライナから、黒海回廊ルート上でロシアに対して軍事作戦を行わない旨の書面による保証を受け取ったと報道した。ロシア国防省のコメントでは、ウクライナから安全の保証を獲得する上で、トルコがある国際組織と共に助力したと強調した。

ウクライナ側の発表でも冒頭、エルドアン大統領に対して感謝の意が述べられた。匿名のウクライナの政府関係者は、トルコの貢献によりこの結果が得られ、ロシアが合意に復帰したと述べた。

ウクライナのオレクサンドル・クブラコフ・インフラ大臣も、エルドアン大統領及びアントニオ・グレーテス国連事務総長が果たした役割について感謝の言葉を述べた。

■アルジャジーラ特派員「トルコは実質上の仲介者」

ロシアの合意への復帰は、国際報道各社により速報で伝えられた。AFP通信は、「ロシアはウクライナと穀物合意を継続すると発表」と報道した。

AP通信は、「ロシアは戦時にウクライナからの穀物輸出合意に復帰した」とし、エルドアン大統領がこの進展を伝えたと報道した。

AP通信は、エルドアン大統領がイスタンブルのボスフォラス海峡を通過する船が特にアフリカの国々に向かうと強調したとし、ソマリア、ジブチ、スーダンといった国名を挙げたと伝えた。

ニューヨークタイムズは「ロシアは、ウクライナからの安全保証を得たのち、穀物合意に復帰したと述べている。」と報道した。ロシアーウクライナ情勢に関するライブ配信で、このニュースを関して長時間を割いて報道したニューヨークタイムズは、エルドアン大統領とプーチン大統領が火曜日に電話会談を実施したことに触れた。

CNNインターナショナルは、「ロシアが穀物合意に復帰したと述べている」と報道した。

「トルコの仲介によりロシアはウクライナ穀物合意に再度参加することに合意した」との見出しで報道したアルジャジーラは、ライブ配信サイトにて、ロシア政府がこの進展について認めたと報道した。アルジャジーラのイスタンブル特派員は、トルコがウクライナーロシア間で「実質上の仲介者」であると解説した。アルジャジーラ特派員のレスル・セルダル記者は、テレビ放送の中で、「合意は再び息を吹き返し、機能しているのは明らかである。」と話した。

■穀物価格は再び下落

ロシアが合意に復帰して以降、穀物価格は再度下降する方向に向かった。米シカゴ商品取引所(CBOT)では、穀物先物取引が6パーセント下落し、8.47ドルに後退した。トウモロコシ先物及び大豆先物でも価格の下落が見られた。

ウクライナ及びロシアは世界最大の穀物生産国であるため、この戦争の穀物価格への影響は大きい。

黒海回廊合意により、ウクライナとロシア両国の穀物及びその他の農産物を世界の市場へ輸出するのが可能となっている。

合意により、現在まで970万メトリックトン以上の穀物及び農産物がウクライナの港から出港することが可能となった。

合意の推進および監視のため、7月にイスタンブルに「共同調整センター」が設立された。トルコ主導で設立された同センターには、ロシア、ウクライナ及び国連の代表が参加している。

署名された合意は、世界の穀物危機を未然に阻止するものである。


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翻訳者:章由実
記事ID:54379