G20サミット、エルドアン演説「テロ支援者にテロの責任」

2022年11月16日付 Hurriyet 紙

エルドアン大統領はG20首脳会談後に報道関係者の質問に答えた。同大統領は、「テロ支援者についても、実行者と同様の責任を負う必要がある」と話した。ギリシャについて、「我々はいつでも攻撃をする用意がある。ギリシャは立場をわきまえるべきだ。」と警告した。また、バイデン米大統領との会談について、「バイデン氏は前向きな展開があったと述べた。共和党はこの問題で肯定的な姿勢を見せている、と本人から直接聞いた。」と話した。

エルドアン大統領は、インドネシアのバリ島で開催されているG20首脳会談後、メディアセンターで記者会見を行った。

今年のG20サミットのテーマが「共に回復し、より強く回復する」であると強調したエルドアン大統領は、「年間を通して数多の技術レベルの作業が実施された。トルコは自身の見解を明らかにし、サミットの議事の上で貢献できたと考える。世界は過去3年、コロナウイルスの蔓延に始まり、激しい紛争により解決が困難な苦しみの時期を過ごしている。」と話した。

また、「高騰する燃料、食糧、原料価格は世界経済を厳しい状況に追い込んでいる。」と話したエルドアン大統領は、以下のように続けた。

「多くの地域が過去60年の中で最も激しいインフレにみまわれ、その数字は困難の規模を示している。従来のインフレ抑制の方法では、未だ成果が上がっていないようだ。世界経済に関して徐々に高まっている景気後退の議論は、これから我々が直面する危機を示唆している。何らかの出口を見つけない限り、現状が更に悪化するのを示している。この危機は全ての国の危機であるが、世界的な不況でより大きな影響を受けるのは、アフリカ及びアジアの脆弱な国々である。」

■何百万もの人々が、飢餓の危機に直面

エルドアン大統領は、「ソマリアからイエメンにかけた広大な地域で、何百万もの人々が、飢餓の危機に直面している。」と話し、「経済危機はアフリカ及びアジア出身の移民に対し、ヘイトスピーチを増加させる要因ともなった。イスラム教または外国人に向けた敵意に対し、より心を割いて取り組むべきであると思う」とした。

エルドアン大統領は、「トルコは既にこの試練に苦しむ国々に出来るだけのことをしている。今も力の及ぶ限り、和平、平安、公正が根付くよう真摯に取り組んでいる。5百万の避難民たちに住まいを提供している。トルコは、地域の紛争を止めるために、最も努力している国である。戦争に勝者はなく、公正な和平には敗者はいないとの考え方に基づいて行動してきた。敵対する国家同士を数多く交渉の場につかせてきた。[ウクライナ産穀物輸送のための]黒海回廊を構築し、こうして食糧危機の解決に貢献した。1100万トンの穀物が世界の市場に流入するのを可能にしたのだ。」と話した。

エルドアン大統領は、「共同声明の中で穀物が無駄に廃棄されることのないよう請け負った」と話し、以下のように続けた。

「デジタル化を考える一方で、20億人が貧困に喘いでいる現実を議論している。一方の側で贅沢、絢爛、浪費が満ち満ちているということは、問題があるということである。トルコとしてはこの不公正な構図を是正するために動いている。妻のエミネ・エルドアンが主導する「ごみゼロ」プロジェクトは今では世界的なプロジェクトとなっている。」

■コロナウイルスのワクチンを生産できる9か国に加わった

エルドアン大統領は、サミットのもう一つの議事が健康問題であると強調し、「世界の医療システムの発展について、意見交換を行った。トルコが医療インフラの上で進めてきた距離をここで発表することができた。トルコとして、大きな成功を収めたものと信じている。135万人にものぼる医療従事者を擁している。また、トルコはコロナウイルスのワクチンを生産可能な9か国に加わった。都市病院は医療分野において新たな時代の先駆けとなった。危機的なウイルス蔓延の日々の中では、巨大な医療施設をもつ近代的な施設[を擁すること]が極めて有益であると理解した。我々が手にしている行き渡ったインフラを、科学・科学技術・生産力をさらに発展させることを決意している。2日間のサミット期間中、一対一の首脳会談を多数行った。インドネシア大統領、サウジアラビア皇太子、バイデン大統領(米)、マクロン大統領(仏)、メローニ首相(伊)、ショルツ首相(独)と会談した。この機会に、リーダーたちと集合写真を撮影し、共同声明を発表することができた。G20の場は、世界レベルで直面している試練に対して、期待通り船頭の役目を果たしている」と話した。

エルドアン大統領は、「2日間にわたり実施した会談が、世界の政治及び経済の安定にとって、素晴らしい成果を生むよう望む。皆様に今一度、親愛と敬愛の情をもって御挨拶する。」と話した。

■バイデン大統領、F-16戦闘機の購入について前向きな進展

エルドアン大統領は、米バイデン大統領と行った会談に関する質問に対して、「バイデン大統領はF-16戦闘機の購入について、前向きな進展があったと話した。」と回答した。さらに「会談は目下前向きな結果が出ている、これ以上の詳細については立ち入る必要がない。バイデン大統領と行った会談ではこの前向きな空気を感じた。」と話した。

エルドアン大統領は、「エーゲ海地域、シリア、イラクにおいてトルコは積極的な政策を展開している。また、この地域では、多くの軍事作戦も行ってきた。この点に関してどの様にお考えですか」という質問を受けた。これに対し大統領は、「(あなたは)アメリカで暮らしているとのことですが、そうとは信じてはいません。あなたは様々な恐らく差別に直面しているのでしょう。あなたの質問はまさにこのことを明るみにしている。トルコは北イラク、またはシリアの南部において、そこにいるクルド人とは何の軋轢も抱えてはいない。まさに、トルコ国内に住むクルド系の市民と、何の問題も抱えていないのと同様に。」と回答した。

エルドアン大統領は、イスティクラル通りのテロ攻撃に関しても、「現在も捜査が続いており、報道の通り81名もの負傷者が出ていた。負傷者の数は25名に減り、6名が亡くなった。捜査の末何に関係しているのか、これは捜査結果待ちである。トルコが確固とした決意を持っていることを全世界が知るべきである。」と話した。

ギリシャの北キプロス・トルコ共和国に関する反発についてもエルドアン大統領は、以下の様に論評した。

「北キプロスに関しては、テュルク諸国機構で決まった決定が有効である。他のどの場所やどの国からも干渉を受けることはない。否定的な姿勢を見せる国家に対しては、必要な場所で必要な回答を行う。」

■ロシアの発表した声明に対して敬意を払わねばならない

エルドアン大統領は、ポーランドのウクライナ国境地域にミサイルが着弾した件について、「私はロシアの発表に対して敬意を払っている。ロシアの『我々とは関係がない』との発表は、我々にとって重要である。今朝ショルツ大統領(独)は会談の中で、この件に関して詳細な調査が行われる必要があると話した。バイデン大統領もこのミサイルがロシア製でないと発表したことから、ロシアと関わりがないことを示した。とにかく、詳細な調査が必要である。」と話した。

「ギリシャの、緊張を高める発言は続いている。バイデン大統領との会談では具体的な発言をされましたか」との質問に対しエルドアン大統領は、

「ギリシャのこのようなの姿勢・態度などは、以前述べた『トルコはいつでも攻撃をする用意がある』という私の金言で十分である。[ギリシャは]立場をわきまえていない。この点で、私たちは隣人であり、隣人関係とは何かを知る必要がある。これ以上吠えるな。好きなだけ島々を軍隊で埋めたところで、一切ギリシャに利はない。ここにトルコが位置している限り、自らの置かれている立場をよく考えた方が良いだろう。過去を振り返り、歴史を検証すれば自明のことである。これは競う問題ではなく、気持ちの問題である。」


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翻訳者:章由実
記事ID:54461