2006-10-15  イラク、治安の悪化から遺跡を守れ(サバーフ・ジャディード紙)

■ 新しい遺跡発見に向け遺跡の登録データを一新

2006年10月15日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面

【バグダード:マイサー・アーシュール】

遺跡・観光省所属の遺跡・遺産委員会の一部署である発掘調査局は、遺跡の登録データの更新と新たな遺跡の発見に向けた、全面的な新調査計画を立てたと発表した。

発掘調査局のアブドゥルハミード・ハサン局長補佐は、同部門は遺跡・遺産委員会の中核であり、それゆえ同部門の活動は多岐にわたり、イラク全土に散らばる数多くの遺跡を保護する責任を負っている、と語った。

また同氏は「一部の遺跡は人里はなれた辺境地域に位置しているが、我々は調査を継続し、イラク市民・密輸業者・政府機関・多国籍軍を問わず、いかなる違法行為も取り締まりこれらの遺跡を保護していくことに大きな熱意を持っている」とも述べたが、一部の地域では治安状況が安定しておらず、こうした活動が妨げられているとも指摘した。

さらに同氏は、発掘調査局の専門家たちはコンピュータやGPSといった最新鋭の手段を使って今後活動すると語り、そのために遠距離探査部が開設され、今後は訓練のためイラク国外への専門家の派遣も行うとの考えを明らかにした。

同氏は発掘調査局が苦しんでいる最も大きな課題は、調査であれ発掘であれ、活動のために割り当てられた資金の少なさであるとも明かし、「もし資金が増えればFPS部隊(訳注:遺跡保護のために設置された設備保護部隊Facilities Protection Service)を増員し、遺跡保護のための武器や装備を持たせることもできる」と述べた。

さらに彼は不法行為から遺跡を保護することは容易ではないと強調し、同局は遺跡保護のため1250名のガードマンを任命したが、この数字は1万箇所を超える遺跡の数とはつり合っていないと述べた。

「われわれは十分な資金を割り当てるよう遺跡・観光省に対し要請したが、その間にも一部の遺跡は特に独裁政権が崩壊しイラクの治安が悪化した後、略奪行為にさらされた」と同氏は語った。

URL: http://www.tufs.ac.jp/common/prmeis/data/sabahjadid/061015sabahjadid_hk.mht

(翻訳者:垣平浩明)

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