2006-05-16  シリア反体制活動家ミシェル・キーロー氏逮捕(アル・ナハール紙)

■ ミシェル・キーロー氏、シリアで逮捕
■ 人権団体が釈放を要求

2006年05月16日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【ダマスカス:シャアバーン・アッブード、諸通信社】

 シリア治安当局が去る日曜日の昼頃、著述家であり市民社会再生諸委員会の活動家であるミシェル・キーロー氏を逮捕し、これに対して複数の人権団体が非難の声を上げ、即時釈放を要求した。

 シリア当局は逮捕の理由について発表していないが、シリア国内の人権擁護運動の関係者によれば、キーロー氏が先頃シリアとレバノンの知識人や活動家の署名による「ダマスカス・ベイルート宣言」の起草に果たした役割と関係があると見られる。同宣言はシリア・レバノン関係の将来のヴィジョンを提起するとともに、この30年間にわたる両国関係の実状を批判している。

 キーロー夫人は本紙の取材に対して、夫の逮捕の理由は「シリアとレバノンの知識人による声明のためだと思う。何故なら治安当局は約10日前にそれが理由でミシェルを召喚し、約5時間にわたって拘束したからだ。…でも正直なところ逮捕の本当の理由は今にいたるまで分からない。何故なら出頭するよう連絡を受けてから彼に連絡がとれないし、彼も連絡をして来ないからだ」と語った。

 また娘のシャザーさんは、父親が日曜日の昼頃に情報機関の召喚を受け、それ以来帰宅していないと語った。

 シリア国民人権機構のアンマール・クルビー代表は「逮捕の理由はおそらく知識人声明だろう。キーロー氏は起訴されるとの情報を得た。それはつまり、拘束が長期間にわたるだろうということだ」と述べた。

 またシリア人権機構は声明において逮捕を非難し、「シリア人著述家ミシェル・キーロー氏および表現活動を理由に勾留されているその他の人々を釈放し、シリア国内における政治犯の問題に終止符を打つべきだ」と要求した。

(中略)

 この件に関してシリア当局は一切コメントを発表していないが、今月12日に本紙に掲載された知識人声明に署名した一人である人権運動家のアンワル・アル=ブンニー弁護士は、今回の出来事は「数ヶ月前からシリアの活動家が直面している弾圧の一環である」との見方を示し、キーロー氏の逮捕は「弾圧がより強化される方向へ進んでいることの表れであり、活動家を脅迫しようとする試みだ」と述べた。

(中略)

 知識人声明にはシリアとレバノンの知識人約250人が署名しており、「祖国の将来への共同のヴィジョンに基づいて両国ならびに両人民の関係を根本的に改善すること」をあくまで求める姿勢を表明するとともに、「シリアはレバノンの独立を認めるべきであり、この点に関してはあらゆる留保や曖昧な表現を捨て去るべきだ」と強調している。

(後略)

URL: http://www.tufs.ac.jp/common/prmeis/data/nahar/060516nahar_smori.mht

(翻訳者:森晋太郎)

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