2006年09月04日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面
【バグダード:本紙、イラクの声】
昨日日曜、閣僚会議は現在のイラクの国旗こそが唯一の国旗であり、議会が変更を決定するまではイラク全土で掲揚されなければならないと発表した。
本紙がコピーを入手したヌーリー・アル=マーリキー首相官邸から出された声明は、議会が憲法に則って国旗の変更に関する決定を下すまでは、現行のイラク国旗こそがイラクのあらゆる場所で掲揚されなければならない国旗である、としている。
こうした政府の決定には、先週の月曜にクルド自治政府のマスウード・アル=バルザーニー議長がクルド自治区内の全ての公的機関から現行のイラク国旗を取り外し、クルディスタンの国旗のみを掲げるよう命じたという背景がある。
イラク議会の議員達は現行の国旗を取り外すよう命じたバルザーニー議長の決定を非難し、この動きをクルド指導部がバグダードの中央政府からの独立を目指して踏み出した一歩であるとみなしている。
一方バルザーニー議長は「我々は議会に対して以前の国旗に代えて新しい国旗を承認するよう要求してきた」と述べ、自治区内の公的機関からイラク国旗を取り外すことはクルド人の正当な権利であるとした。
彼は日曜に行われたクルディスタン議会の第2期開会式において「我々は誰からの脅迫も拒否する。バアス主義的であるイラク国旗を取り外すという我々の決定は我々の権利によるものであり、我々自身の問題だ」と述べた。
またバルザーニー議長は民主的なイラク連邦の内部に留まることがクルドにとって利益であり権利でもあると語り、イラクのクルディスタン人民の意思はクルディスタン国民議会で決定されると指摘した。
そしてイラクのクルディスタン人民がイラク内部に留まると決定した以上、新たな民主イラクを建設する義務があると強調した。
さらに議員達の前で議長は、他の地域の治安状況が悪いことから、国民和解会議をイラクのクルド自治区内で開催するよう呼びかけ、和解を成功させイラクでの流血の事態を止めるための準備があることを強調した。
バルザーニー議長はクルド自治区内でイラク国旗を取り外したためにここ数日間起きている大きな喧騒にも言及し、「抑圧やアンファール作戦(訳注:87~88年のフセイン政権によるクルド殲滅作戦)や集団墓地を象徴する現行の国旗は新しいイラクにはふさわしくないため、今後クルディスタンで掲揚される事はない」と明言した。
また現行のイラク国旗に代えて7月14日革命の旗を掲げるという決定はジャラール・タラバーニー共和国大統領やヌーリー・アル=マーリキー首相とも討議した上でなされたものであると指摘した。
さらにバルザーニー議長は彼自身、新しいイラクとイラクのあらゆる宗派を代表する新しい国旗を要求しており、憲法にもイラクの国旗を換えなければならないとある、と述べ、イラク議会にはイラクの全ての人民を正しく代表するような新しいイラク国旗を作る任務が課せられており、新たな国旗が合意され次第、クルド自治区でも掲揚すると約束した。
一方で先週の土曜、統一イラク同盟所属の国会議員であるあるアスカリー氏は、「クルド自治政府のバルザーニー議長が下した決定は良くないものであり、クルド自治区も承認した憲法を侵害している」と述べた。
さらに彼は“イラクの声”通信に対する声明の中で、国旗問題は憲法問題であり憲法にまず従わなければならず、その上で国旗や国歌は議会によって法律に基づき決定されると表明した。またこの問題に関する議論が終わっていない以上、法律上、敬意を払われ流布されるべき正式な国旗は現行の国旗ということになる、とつけ加えた。
アスカリー議員は、(この国旗問題を)分離主義的な一歩だとは思わないと述べつつも、現在の国旗は旧体制によるアンファール作戦やクルドに対する犯罪行為の際に掲げられたものだという口実をバルザーニー議長が持ち出したところで、クルド自身も影響力を持って参加している国の中央政府の規律に反したり、主権を侵害したりすることを正当化はできない、明言した
さらにアスカリー議員は、イラク国民議会の第一回会合では明らかな憲法違反であるとして、この重要な問題がさまざまな面から議論されるだろうとの考えを明らかにした。
URL: http://www.tufs.ac.jp/common/prmeis/data/sabahjadid/060904sabahjadid_hk.mht
(翻訳者:垣平浩明)
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