2006-09-06  レバノン国内治安部隊幹部に対する爆弾攻撃で死者4人(アル・ナハール紙)

■ ルマイラの爆破事件 国際法廷の提案を前に政治的メッセージ

2006年09月06日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 イスラエルが対レバノン戦争を7月12日に開始してから初めて、昨日ルマイラにおいて国内治安部隊情報部副部長であるサミール・シハーダ中佐を狙った爆弾が爆発した。シハーダ中佐は負傷し、国内治安部隊の隊員4人が殉職、その他に民間人を含む4人が負傷した。

 ラフィーク・アル=ハリーリー元首相暗殺など重要な事件の捜査を担当する治安当局幹部を狙ったこの事件は、2004年から2005年にかけてレバノンで発生した一連の暗殺および暗殺未遂事件を想起させるものであった。そのうち一番最近のものは、ジャーナリストのジュブラーン・トゥワイニー氏[※アル=ナハール社の前社長]暗殺事件である。

 今回の事件は、イスラエルによる封鎖に対する抗議の泊まり込みが続いている国会議事堂内でも反響を呼び起こした。政府高官や議員たちは口々に「何故今なのか?」「何故シハーダ中佐が狙われたのか?」と疑問を投げかけた。

■ 国際法廷

 ある政治家や議員たちは今回の事件を、ニコラ・ミシェル国連事務次長(法務担当)が今夜ベイルートに到着する予定であることと関係があると見ている。国際法廷の設置計画案を携えての訪問であり、計画案についてはレバノンと国連の間で協定の調印が行なわれる予定である。ミシェル事務次長は明日にはフアード・アル=セニョーラ首相およびシャルル・リズク法相と会談の予定で、ナビーフ・ビッリー国会議長との会談も予定されている。

 政府関係者の述べるところによれば、来週には国際的性格を有する法廷の設置案について、閣僚会議で採決が行なわれる見通しである。

■ ファトファト内相代行の談話

 アフマド・ファトファト内相代行は中央治安評議会の臨時会合で議長を務めた後、今回の事件は「間違いなく情報部および国内治安部隊に対して向けられた、政治的な意味合いをもつ治安への威嚇のメッセージである」との談話を発表した。また「シハーダ中佐はおよそ1年半にわたって情報部で複数の、治安面において危険な事件の管轄を担当し、驚くべき成果をあげてきた。そのなかでも最も重要なのが、ラフィーク・アル=ハリーリー元首相の暗殺事件である」と述べ、「情報部は一部の勢力による政治的な工作の標的になってきた」として、「シハーダ中佐はこれまでにも脅迫を受け、暗殺未遂に遭っている」と指摘した。

 なおシハーダ中佐はハリーリー元首相の暗殺に関して複数の証人に対する尋問に加わっており、そのなかにはシリア情報機関の要員であったフサーム・ターヒル・フサームも含まれている。

■ 捜査

 治安当局幹部が昨夜本紙に語ったところによれば、国内治安部隊は事件の計画、実行、指令に関与した人物の発見に到る手がかりを求めて全力を尽くして捜査中である。しかしこのような事件の全貌が明らかになるには一定の時間と正確な捜査が必要であり、「特に今回の事件は犯罪の素人ではなくプロの犯罪者の仕業である」とのことである。

 初期の捜査で明らかになったところによれば、車輌2台からなるシハーダ中佐の車列を狙った攻撃に用いられたのは、遠隔操作による爆弾2発であった。爆弾は1発あたりTNT火薬800グラムが詰め込まれたものであったという。

(後略)

URL: http://www.tufs.ac.jp/common/prmeis/data/nahar/060906nahar_smori.mht

(翻訳者:森晋太郎)

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