使命感に満ちた殺害 -キリスト教関係図書の出版社社員、首切られ死亡
2007年04月19日付 Radikal 紙

イフラス・ワクフ運営の寄宿舎に住んでいた5人の若者が、キリスト教関係の図書を発行している出版社の3人の社員を、手を縛った上で首を切って殺害した。容疑者たちは逃走中捕らえられた。

キリスト教関連の書物を発行しているズィルベ出版社のマラトゥヤにある関連事務所が、昨日18日、残虐な事件の舞台となった。この出版社は聖書の配布や布教活動のためいくつかの団体から脅迫を受けていた。ここで働く、ドイツ国籍で46歳のティルマン・ゲスケ氏と、マラトゥヤ県でキリスト教の「パストル」つまり宗教的指導者であった35歳のネジャティ・アイドゥン氏とウウル・ユクセル氏は両手を縛られた後、刃物で首を切られ殺害された。通報を受け事件現場に駆けつけた警察は、ビルから飛び降り怪我をした一人を含めた、5人の容疑者の身柄を拘束した。
ズィルベ出版社は本社がイスタンブルにあり、マラトゥヤのニヤズィ・ムスリ地区にあるアーババ・オフィスビルの3階にあるその関連事務所が昨日18日午後1時頃、襲撃にあった。犯人らは、事務所で働いていたドイツ国籍ティルマン・ゲスケ氏とネジャティ・アイドゥン氏、ウウル・ユクセル氏の口をふさぎロープで手を後ろに縛り、身動きのできない状態にした。ゲスケ、アイドゥン、ユクセルの三氏を尋問した犯人はその後、刃物で三人の首を切って殺害した。オフィスビルが最も賑わう時刻に犯行を行った犯人らが、事件現場を立ち去る前に警察に通報が入った。電話による通報を受けた警察は、すぐに現場であるオフィスビルへ駆けつけた。一つの警察部隊が3階の出版社に向かう間、別の部隊がビルの外で警戒態勢を取った。そして、容疑者である19歳のハミト・C、アブゼル・Y、20歳のサリフ・G、ジュマ・Öを捕らえ、現在、身柄を拘束している。19歳のエムレ・Gは3階にある出版社のベランダから飛び降りた際に重傷を負い、病院で治療を受けており、近々身柄を拘束されることになっている。容疑者たちのポケットからは「我々5人は皆兄弟だ、共に死ぬ。後戻りは出来ない、神は許し給う」と書かれたメモが見つかった。

「全ての可能性を調査している」

出版社に乗り込んだ警官たちは、血の海を目の当たりにした。警察は、手を縛られた状態で首を切られたゲスケ氏とアイドゥン氏の遺体、そして重症を負ったユクセル氏を発見した。イノニュ大学トゥルグト・オザル医学部付属病院へ搬送され手術を受けたユクセル氏は、あらゆる処置にも関わらず助かることはなかった。マラトゥヤ県知事イブラヒム・ダショズ氏は、以前にヒズブッラーが犠牲者の手足を後ろで縛った後、犯行に及んだ事件に触れ、「あらゆる可能性を視野にいれ、我々の司法組織と警察の捜査活動は続ける。事件がすぐに明らかになることを期待している。手に入れた情報を調査している」と述べた。

「信仰者だった」

容疑者全員がマラトゥヤ出身で大学に向けた予備校へ通っていたこと、「ウシュクチュラル」(宗教集団―ヌルジュ系)が運営するイフラス・ワクフのマラトゥヤ男子寄宿舎に所属していたことが明らかになった。事件のリーダー格といわれる重傷を負ったエムレ・Gは、1月にトラブルを起こし、寄宿舎を退学になっていたことがわかっている。容疑者らが所属していた寄宿舎を立入調査した警察は、証拠となるような物品をいくつか押収した。寄宿舎の責任者ムスタファ・エロル氏はエムレ・Gが退学するまで寄宿舎に在籍していたことを認めたが、他の4人が在籍していたことは否定した。しかし、記者の質問に匿名を条件に答えてくれた若者は、サリフ・Gとジュマ・Öと面識があったことを述べ、「ジュマはルームメイトだった。普段は物静かで、問題がある人物ではなかった。信仰者ではあったけれど、礼拝にひどく熱心なわけではなかった」と話した。

エルドアン首相:本当の犯人を追及する

この事件を「惨劇」と表したタイイプ・エルドアン首相は以下のように語った。
「出版社がキリスト教関連の本を出版していたことと、殺された人々の間にドイツ国籍の人物がいたことが、事件の波紋を広げている。我々は努力を尽くし、犯人を明らかにすることが先決である。容疑者は捕まっている。しかし、事件の真相を得ることに勤めている」

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( 翻訳者:西山愛実 )
( 記事ID:10687 )