Ismet Berkan コラム:ギュルのアルメニア訪問がもたらし得るもの
2008年09月06日付 Radikal紙

朝も早くからNTVテレビで共和人民党(CHP)のデニズ・バイカル党首の話を聞いている。彼はムラト・アクギュンの質問に答えている。
アブドゥッラー・ギュル大統領がなぜアルメニアに行くべきではないかを説明し始めたとき、バイカルは3つの基本的な問題領域について触れた。かいつまんで言うとそれらは、
1.アルメニアはトルコの国土の一体性を承認していない。
2.かつてアルメニア解放秘密軍(ASALA)のテロ活動を支援していたアルメニアは、大虐殺の主張によってトルコを苦しめている。
3.アルメニアは、アゼルバイジャンの国土を占領下に置いている。
の3点である。
まさにその通り、アルメニアには、トルコの東アナトリアをはじめとするいくつかの地域を「西アルメニア」と規定する憲法がある。他方でアルメニアがトルコ-アルメニア国境を画定したカルス条約を承認したか否かも定かではない。
ただ、忘れてはならないことが1つある:アルメニアがトルコの国土の一体性を承認していない唯一の国ではない、ということだ。例えばシリアは、ハタイが自国に属すると主張している。こうした主張があるからといってトルコはシリアと敵対的な関係を続けてきた訳ではない。シリアがクルド労働者(PKK)に対しホスト役を務めていた時でさえ、トルコの在ダマスカス大使館やシリア国内の領事館は業務を続けていたし、トルコの首相たちはこの国を訪れ、シリアからも閣僚レベルの来客がアンカラでもてなしを受けていた。
アルメニア国家がASALAを支援していたという話は私にとっては初耳だ。今日のアルメニア(共和国)が独立したとき、ASALAはとっくに解散していた。(ASALAの支援者と)バイカルの言うアルメニア・ソビエトはそれではお門違いということになり、今日ASALAがソ連国家保安委員会(KGB)の軍事的傀儡組織、すなわちソビエト政府によって指揮された組織であることをもはや誰もが知っている。しかしアルメニアが世界各国の議会に大虐殺の主張を認めるよう働きかけていたことは疑いない。少なくとも最近までこうした働きかけがなされていた。
しかし、アブドゥッラー・ギュルのアルメニア訪問を実現可能にした最も重要な事態の進展は、この国(=アルメニア)が(トルコが)大虐殺を認めることを話し合いの前提条件から外したことである。このことを忘れてはならない。トルコがアルメニア国境を閉鎖し、この国に一種の禁輸措置を適用していることの背景にある第一の理由は、この国がアゼルバイジャンの国土を占領下に置いていることである。昨日バイカルは「せめてトルコが(アルメニアをアゼルバイジャンの)2、3の村から撤退させられていたら」と述べ、今回の訪問が(アルメニアに対する)譲歩を意味すると主張した。
これは、お言葉ではあるが、かなり複雑な問題であるカラバフ紛争を仮に知らないことから端を発していないのであれば、問題をあまりにも軽く考えすぎと言わざるを得ず、デニズ・バイカルには似合わない。
そもそも、アルメニアとアゼルバイジャンは、最上級のレベルでこの問題を話し合っており、複雑な問題に対するかなり複雑な解決策を協議している。この話し合いで、過去12年間に少なくとも3度合意の端緒にまでこぎ着けたが、寸前になってロシアの影響により合意に至らなかったことを世界中が知っている。
トルコは、この合意のない状況が続いているにもかかわらず、自国の政策を変更する、例えばアルメニア国境を開放するとは言わなかったし、これから言うであろうとも思えない。
しかし他方で、トルコが両国に合意をもたらす上で大きな助力となり得るのではないかとも考える必要がある。ここでの問題は、アルメニアが西側同盟システムに少しでも接近するための鍵をトルコの手中に取っておくという問題である。
つまりアルメニアは、ロシアの代わりに西側同盟の翼の下に入ることを望んでいるのなら、同時にトルコともアゼルバイジャンとも合意することができる。問題は一種の信用問題である。次の点は明らかだ;アルメニアは単独ではアゼルバイジャンを、そしてアゼルバイジャンが頼みにすることができる国々を信用しない。だから最終審査でロシアの言う通りにする。
しかしトルコがアルメニアに西側との結びつきの保障を与えることができるなら、アルメニア政府はロシアを退出させることができる。
今、ロシアがコーカサスでその存在感の大きさを感じさせている時代に、ロシア政府がアルメニアという砦を失うことはとても大きな意味を持っており、トルコがここで引き受ける役割は小さく捉えられるべきではない。先日ジェンギズ・チャンダルも書いていたが、ギュル大統領は東に行く一方で西を発見し、西と出会うクリストファー・コロンブスのような存在になるかもしれない。私はトルコ外交がこのことを計算に入れていないとは思っていない。
このような歩みは、トルコにとって単に1人の隣人との関係を改善し、1世紀以上の長きにわたって続くアルメニア問題を解決の軌道に乗せる機会となるだけでなく、我が国を、西側から見て、今以上になくてはならぬ存在にする結果をももたらし得る。
他方で、アブドゥッラー・ギュルが、従ってトルコがサッカーの試合を口実に行う訪問によって失われるものは何もない。せいぜい、アルメニアとのそもそも当初から続いている断交状態が続く、それだけだ。
そのため、訪問を批判する代わりに、この訪問が約束するチャンスにフォーカスすることがより賢明であるようだ。野党であるということが何にでも反対するという意味であってはならない。

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(翻訳者:穐山 昌弘)
(記事ID:14645)