イラク:「アブー・ハージル」逮捕により「ダーイシュ(ISIS)」情報の数々が明らかに
2014年06月17日付 al-Hayat 紙

■「アブー・ハージル」の逮捕により「ダーイシュ(ISIS)」に関する驚くべき情報の数々が明らかに

【ベイルート:本紙】

モースルがイラク・シャーム・イスラーム国「ダーイシュ」(ISIS)の反乱軍の手に落ちる2日前に、イラク軍は、この極めて過激な組織のメンバーで軍事評議会議長の地位にある「アブー・ハージル」の逮捕に成功した。

英国「ガーディアン」紙が伝えるところによると、イラク諜報機関のある責任筋は、アブー・ハージルが「お前たちは自分たちが何をしているのか分かっていない」「モースルは今週にも地獄になるだろう」と発言したことを明らかにした。

「アブー・ハージル」を逮捕した数時間後に、イラク軍は彼の住居で160個のフラッシュメモリーを発見した。これらのフラッシュメモリーには、これまでに得られた「ダーイシュ」に関する詳細な情報が大量に収められており、情報の中には、戦闘員の名前、彼らのコードネーム、外国人戦闘員と組織幹部たちの名前、諸官庁内部における情報提供源、同組織の収入源、帳簿などが含まれている。

「われわれの誰もが、アメリカの高官もまた驚がくした」と諜報機関の上級将校は述べ「われわれの誰もこのような情報は知らなかった」と付け加えた。

米中央情報局(CIA)を含む諜報機関上層部がフラッシュメモリーの暗号解除と情報の分析作業を行っている最中に、「アブー・ハージル」の発言は現実のものとなった。「ダーイシュ」がイラクの北部・中部の広範な地域を占領し、モースル、ティクリート、キルクークを制圧するや、イラク軍兵士たちは軍服を脱ぎ捨て一斉に逃亡する事態となった。

ある高官は「週末までに『ダーイシュ』の会計データは見直さなければならなくなった」と興奮ぎみに語り「モースル侵攻以前の『ダーイシュ』の資金は合計8億7千5百万ドルであったが、侵攻後に彼らが銀行から盗んだ現金や奪った軍事備品の評価額を加えると、さらに15億ドル増加したことになる」と指摘した。

「ダーイシュ」の幹部たちははっきりと特定されるにいたった。その多くが10年近く前からアメリカ軍と対決する武装闘争に従事してきた古参の戦士たちであり、彼らはお互いに仲間の名前を知らずにいる。彼らは戦術を分隊単位に決め、すべての事柄の詳細に至るまで分隊独自にすすめる形をとっている。

過去数年来外国諜報機関の責任筋は、「ダーイシュ」に流入する莫大(ばくだい)なマネーがシリア東部の油田地帯において確保されていることを知るに至った。「ダーイシュ」は2012年末にシリア東部の油田地帯を支配下に置き、一方で手放した油田をシリア政府に売却して利益を得ており、さらにはシリアからあらゆる種類の原料品や値をつけられないほど高価な遺跡出土品を密輸することで利益を得ていた。「ダーイシュ」はナバク地域だけで3600万ドルもの利益を上げていた。

イラク諜報機関の高官は、「西側の高官たちはこれまではわれわれに『ダーイシュ』の資金源についての情報を提供するよう求めてきた。だが今や、彼らもわれわれも真相を知るところとなった。ダーイシュはいかなる国家の支援もなしに単独で資金集めをやっており、国家を必要としていないのだ」と述べた。

モースル侵攻を行った者の中には外国人戦闘員が含まれており、その中にはヨーロッパ人もいた。彼らの名前の大半は彼らがトルコ到着以来諜報機関には知られていたが、同機関が彼らの足取りを実際に追うことは、彼らのコードネーム使用によって妨げられてきた。だが今や諜報機関責任筋は、外国人戦闘員らの親戚、電話番号、メールアドレスなどの情報を詳細に把握している。

(後略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:前田悠作 )
( 記事ID:34347 )