シリア国境に、7万人避難民
2014年09月21日付 Cumhuriyet紙


ISISの攻撃より逃れたシリアのクルド人の数が48時間で7万人に達した。

 イラク・シリアのイスラーム国(ISIS)がシリアのクルド人地域であるロジャヴァのコバーニー村を手に入れるため始めた攻撃から逃れたクルド人たちがトルコへ押し寄せてきている。一昨日、トルコが国境フェンスを開け、通行を許可した後、この2日間で流入した人数は7万人を超えた。HDP(人民の民主主義党)とDBP(民主地域党)とDTK(民主社会会議)は、コバーニー村へ行き調査を行っている。
 ISISは一週間ほどにわたってシリア北部にある、PYD(民主統一党)支配下のロジャヴァ地域コバーニー地区を攻撃している。死を免れた数千人ものシリア人たちは、数km先のトルコ国境まで逃げている。シャンルウルファ県スルチュ郡のディクメタシュ村で一昨日軍警察が国境を開き5千人の通行を許可すると、人々は国境沿いにあるオイルムル村とアドメネキ村からも流入している。最も多くの避難民は、アドメネキ村の国境フェンスを通って押し寄せてきている。
 何千もの子供や女性、年配の人々は、国境フェンスを通過した後、この地域の人々によって水と食料と共に迎えられた。全財産を置いてきたロジャヴァのクルド人たちは、トルコでの親戚や知人の下に身を寄せている一方で、他の人々はスルチュ郡や周辺地域の村の空き店舗や学校、倉庫に避難することを余儀なくされている。AFAD(首相府災害緊急時対策庁)は頼る人のいない人々のリストを作り、テントや空いている学校に避難させている。

■入国は自由だが、出国は禁止

 国境からトルコへの入国について防止措置をとらない軍警察だが、出国を求める人々へは出国を禁止している。このため残された家族を連れてくるため、または家財道具を持ってくるためにコバーニー村に行こうとする人々に軍警察は出国許可をださないのだ。あるシリア人はこのことについて「軍人は私たちに『NATOが禁止した』と言っていました。でもNATOは、ISIS(戦闘員の出入り)を禁止しなかったのではないか?」と反発をしめした。国境からの出国はただ国境フェンスがある場所だけではなく、合法的に出入国できる国境門ででももはや完全に禁止となっている。ここ数ヶ月以降一般市民に対し閉鎖していたミュルシトプナル国境門は、マスコミに対しても閉鎖された状態だ。軍は知事からの書面での許可を取らない限り、誰にも通行許可を出せないとし、コバーニーへの通行を認めなかった。

■DTK、HDP、BDPの一団、コバーニーへ

 DTKのセルマ・ウルマク共同代表、DBPのカムラン・ユクセキ共同代表、HDPのイブラヒム・アイハン国会議員とイブラヒム・ビニジ議員とアイラ・アカト・アタ議員とサバハト・トゥンジェル議員とファイサル・サルユルドゥズ議員、マルディン広域市のアフメト・トゥルク共同市長をも含む15人からなる一団が知事の許可により、今月19日にミュルシトプナル国境門を通過しコバーニーへ行った。PYDの建物で人々に呼びかけるトルコ人は、クルドの人々に向けた攻撃に対して黙っていることはISISを支援することを意味すると話した。

■サルユルドゥズ氏「虐殺が起こる」

 ジュムフリイェット紙に話してくれたHDPのシュルナク選出のファイサル・サルユルドゥズ国会議員は「一方で武器やその他の装備を持たない市民や軍隊がいて、かたや戦車や大砲、その他重火器を持った武装集団がいるのです。ここから国際部隊に警告します。中東のまさにど真ん中で大虐殺が起ころうとしています。この虐殺で何千もの女性や子供、老人が死ぬかもしれない。国際部隊はこの残酷な武装勢力を撃退するために、話し合われたプログラムを実行する必要があります。ISISと戦う必要があります。トルコにおいては、ISISを支援しているという主張が間違っているということを今明確な形で示す必要があるのです。トルコが鉄道によってISISに装備と人員を運んでいると考えている人々がいます。トルコはこうした主張をはっきりと否定するべきです。トルコに警告します。あの地で人々の虐殺が発生したのなら、この戦争はトルコに飛び火します」と話した。

■ウルマク氏「国連の前でハンガーストライキを行う」

 DTK共同代表でありHDPのシュルナク選出のセルマ・ウルマク国会議員は、ISIS武装組織がコバーニーを攻撃していることに関心を寄せてもらうために、ジュネーブの国連の建物の前でハンガーストライキを開始すると明かした。ウルマク氏は、自身とともにHDPのケマル・アクタシュ国会議員、セバハト・トゥンジェル国会議員、DTKの執行取締役会メンバーのフェレクナズ・ウジャ氏もハンストに加わると話した。一団は会見の終了後19日の午後に戻った。

■大臣3人が国境へ

 シャンルウルファ県のイズゼッティン・キュチュク知事は、シリア人の避難民のため国境付近に1万5千~2万人収容のテント村を建設する目的で作業を開始したと発表した。ヌマン・クルトゥルムシュ副首相、食料農業畜産省のメフディ・エケル大臣と内務省のエフカン・アラ大臣はシリア国境の視察を行うためシャンルウルファを訪れた。特別機でシャンルウルファGAP空港に到着したクルトゥルムシュ副首相とアラ大臣とエケル大臣はここでしばらく会議を行い、その後軍用ヘリコプターでスルチュ郡へ移動した。ミュルシトプナル国境門と周辺地域で視察を行った大臣たちは、シリア人の流入に対する準備状況も視察した。

■国境へ軍の派遣

 スルチュで19日昼頃以降、軍隊の派遣が始まった。多くの装甲車が大型トレーナーによってスルチュ郡から国境地帯に送られた。シャンルウルファの第20武装部隊とガズィアンテプの第5武装部隊から送られた装甲車がシリアを臨む場所へ配備すると発表され、周囲の県から軍隊と特殊機動警察も援軍としてスルチュに送られ、国境地帯に配備されることが明らかになった。

■誰も頼れない

 幾多の困難を伴ってコバーニーから来た人々のうち、ある一組の老夫婦は途方に暮れている。子供がおらず親戚もいないと話したネリマン・ハリルさんとオスマン・ボザンさん夫妻は、何をすべきか困惑した状態だ。オスマン・ボザンさんは「お金や電話もない、私を守ってくれる人もいない。どうすればいいのかわからない。」と話し、一方でネリマン・ハリルさんは「シリアは今後どうなるのか、ISISは終わるのか?私はもう一度私の国へ、私の家へ帰ることが出来るのだろうか。」と問いかけている。ハリト・アリさんという若者は母親と妻、子供たちと兄の妻とその子供たちとともにトルコへ避難したそうだ。アリさんは「4日間山中にいて、トルコへ来ようと頑張りました。留まった人たちはISISと戦うために(まだ)そこにいるのです。」と話した。

■国境から立ち上る煙

 シリアによる継続的なミサイルと砲弾の爆撃音が響く中、立ち上った煙も見ることが出来る。逃げてきた人々は家財道具を残してくることを余儀なくされていることから、多くの家畜たちも国境に集まっている状態だ。オアン村近辺の地雷原はこの家畜たちにとって脅威であり、何頭もの家畜が地雷の爆発の犠牲となった。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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(翻訳者:伊藤梓子)
(記事ID:35393)