イスタンブルの新しい味―シリア料理
2017年04月23日付 Hurriyet紙


イスタンブルに新居を構えたシリアの人々は、彼らと共に豊かな食文化も持ち込んだ。イスタンブルのファーティフ地区アクシェムセッティン通りにはシリアの伝統的な料理とトルコ料理を融合させた創作料理を提供するレストランの新中心地となっており、そこで難民の人々の美食を探ってみた。

ファーティフ地区アクシェムセッティン通りではドネル・ケバブ屋から菓子店、雑貨屋からコーヒーハウスまでシリア人が営業する店がひしめき合って並んでいる。

■シリアとの融合

シリア人が営業するレストランや小売店は、最初の頃はアクサライやヴァタン通り沿いで並んでいた。この地域で多数を占めるのはアレッポから移転した店だ。ここ1年で言えば、やはりファーティフ地区にダマスカスからの事業移転がみられたが、この際にアクシェムセッティン通りを自分達のコミュニティの中心地とした。通りに開店した店の多くは、何年もシリアで営業していた高級店で、店名もイスタンブルに適応しはじめている。

■店の名の末尾に「オール」

店の名はトルコへ移転すると「オール(トルコ語で息子の意)」の名称を取得している。「Zaitouneoğlu Tatlı(ザイトウネオール)菓子店」がその一つだ。シリアで1975年より「ザイトウネ」として営業していた菓子店が、半年前からイスタンブルに移り、名も「ザイトウネオール」に改めた。4店舗の支店がある。店主の一人であるアブドゥッラフマン・ザイトウネ氏は、世界各地に小包で菓子を発送していると語る。戦争が終わればシリアに戻りたいという。すぐそばの「ブウゼセディ」は先週オープンしたばかり。伝統的なシリアの装いをした店員が迎え、メニューにはヒヨコ豆とソラマメを用いた多種多様な選択肢が並ぶ。店主のムハンマド・ヌル氏は、「シリアにあった私たちの店が今も残っているかはわかりません。私たちはここに移り住んで一から始めました。かつてのダマスカスの料理をトルコの人々にも紹介したいと考えています」と話した。

■家庭料理を出す店は少ない

この取材ツアーのガイドを務めるのは、「Savoring Syria (シリアの味) プロジェクト」の発起人であるシリア系アメリカ人で、29歳のダリア・モルタダ記者だ。2011年にシリアでの抵抗運動が終了するまでの「短期滞在」のつもりでトルコにやって来たモルタダ記者は、戦争が終わりそうにないためイスタンブルに残った。そしてイスタンブルでのシリアの人々の物語と、それに続いてレシピが記載される「Savoring Syria プロジェクト」はこうして生まれた。モルタダ記者は、シリアの料理のパワーを次のように説明する。

「アラブのパンはほかのどこでも見つけることができません。シリアの人々は2014年からこのパンをイスタンブルでつくり始めました。これは、もはやシリアの家には戻れないことを認めたという意味です。場所が変わればレシピも変わります。たとえばシリア料理に絶対に入っている8種類のスパイスがイスタンブルにはありません。そのスパイスの代わりにコリアンダーを用いました。肉も高いのでチキンを使います。また、ベジタリアン向けの食事も進歩しています。シリアには外食文化がなかったのですが、この間、以前のイスタンブルのシリア料理レストランでは、ファストフードスタイルでフムス(ひよこ豆のペースト)やファラフェル(豆のコロッケ)、ケバブが販売されていました。トルコの人々から、家庭料理を店で売るということを教わったのです。」

イスタンブルのシリア料理店の中で「家庭料理」を提供する店は少ない。最も人気のある店はファーティフ地区に昨年オープンしたサルジャだ。テーブルごとに違う言語が聞こえる。トルコ語、英語、アラビア語……。マネージャーのモハンマド・イード氏は、「月に何度かメニュー内容を変えています。すでにイキテッリ地区とウムラニイェ地区にシリアパンと菓子の工場をもっており、食材は新鮮です」と話した。

メニューをモンタダ記者が解説する。「シリア料理とトルコ料理の大きな違いはスパイスの量にあります。ダマスカスではフムスのことをサッバハとと呼びます。それにトーストしたパン、ザクロとレモン風味のサラダである「フェットゥシュ」。ファラフェルは、ヒヨコ豆と潰したソラマメからつくります。ヤプラックサルマ(ブドウの葉で具を巻いた料理)は、肉と大量のニンニク、レモンが入っています。また、シリアではすべての料理にコリアンダー、クミン、シナモンといった様々なスパイスからなる「八味」を加えます。
ダマスカス料理の一つに、レモンソースとヨーグルトで食べる暖かいイチリキョフテ(具入りハンバーグ)があります。またムタバルはナスのディップのような料理ですが、中には、練りゴマ、ヨーグルト、ニンニク入りのナスのペーストが入っています。そして、シリア文化では食事を提供することも、料理それ自体と同じくらい重要になります。」

■工場を開設

通り沿いのダマスカスマーケットには、アラビア語表記の札がついたシリア産食品がある。店主のサミル・アフダブ氏は、かつてはシリアから食品を密輸入していたと説明し、「国境閉鎖で食品輸入もストップしたので、この場所での工場開設に着手しています」と話した。マーケットの棚には、手作りシリア料理の詰められた瓶もある。

■シリアの味を体験

SAVORING Syria主催の、トルコ人やその他の国の人々35名のゲストが出席した食事会を取材した。タクシム広場にあるレストランの厨房で、家庭のレシピで調理されたものだ。プロジェクト発起人であるモルタダ記者によれば、この食事会の目的は、シリアの伝統的な味わいを共有すること、それと同時に難民女性の収入を保障することだ。調理にあたるメンバーの一人、イスタンブルに一年半暮らしているアマルさんは、これまである一度もトルコ料理を食べたことがないという。「私をトルコ料理に連れて行ってくれるトルコ人の友達が居ない」と語った。また、ゲストの一人であるムハンマドさんは、「家庭料理が本当に懐かしい。私の兄弟はオーストリアとドイツに一人ずつ、あとの二人はシリアで母と一緒にいる。ここの食事は私にシリアを思い出させる。」と語った。

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(翻訳者:原田星来)
(記事ID:42543)