TRTの歴史番組、間違いだらけで「新しい歴史をつくる」!?
2026年07月19日付 Cumhuriyet 紙


現政権は、トルコ・ラジオ・テレビ協会(TRT)を通して「新しい歴史をつくろう」と試みる中で、重大なミスを犯している。その一つは、国際的な意味で反発を招いた。歴史認識を覆したと主張されているある場面につき、ウイグル自治区に住むウイグル系トルコ人が中国法務事務所を通じて代行行為を行った結果、ドラマ「メフメト:征服の君主」のプロデューサーは法務事務所から警告書類を受け取った。本件に関して作成された専門家による報告書では、新疆を扱った回で「フィクションの内容が含まれ、歴史的出来事の順番に誤りがあり、大衆の歴史認識が誤った方向に導かれた」とある。警告では、「史実が捻じ曲げられ、出来事及び人物が誤った時代で紹介され、大衆を混乱させ、中国国民及びウイグル系トルコ人が貶められ、侮辱と中傷を含んだ表現がなされている。」と主張された。

TRTは、オスマン帝国及びセルジューク朝を舞台としたドラマの中で史実に基づかない表現を用いてしばしば話題となっている。TRTによるこうしたミスに、新たなものが加わった。TRT1で放送されているドラマ「メフメト:征服の君主」の第66話が中国から反発を招いた。ドラマでは、1514年に成立したヤルカンド・ハン国からの使節団が、1451~1481年の間王座に就いていた征服王メフメトを表敬したとしている。同回では、使節団の代表が、ヤルカンド・ハン国とは全く関係のないと言われるアリー・シール・ナヴァーイーとなっている。

同回の43~50分間のシーンで、ナヴァーイーは、東トルキスタンのヤルカンド・ハン国から来たと話し、征服王メフメトに向けた「中国が、武力でもって我が国の男子を奴に、女子を婢にするという決定を下した。ただ恐怖しかない。」という台詞は、中国の新疆ウイグル自治区住民の反発を招いた。ウイグル自治区に住むウイグル系トルコ人であるマフムト・ヤクプ氏は、「本ストーリー及び人物は、歴史から着想を得て作成されている」という説明を行うドラマに関して、自身が所属する社会及び中国人について史実に基づかない、侮蔑・侮辱を含む表現が用いられているとして、中国法務事務所を通じて代行業務を行わせた。

法務事務所は、書類を作成し、TRTムハンマド・ジヤド・ヴァロル総局長、TRT総局、ミライ制作会社、ドラマのプロデューサーのエユプ・ギョクハン・オゼキン氏及び脚本家のオザン・ボデュル氏に警告書を送付した。

◾️「ドラマで表現されている概念は15世紀のものではない」

原告ヤクプ氏の代理を通じ、中国の新疆に関する歴史調査協会の専門家によって2026年6月9日に、トルコのテレビドラマ「メフメト:征服の君主」について有識者報告書が作成された。この報告書では、ドラマが新疆を扱った回で「フィクションの内容が含まれ、歴史的出来事の順番に誤りがあり、大衆の歴史認識が誤った方向に導かれた。」とある。同報告書が最初に問題視したのは、「東トルキスタン」という名称に関してであった。

同報告書では、中国側の典拠では、新疆がこの名称で触れられておらず、「トルキスタン」という概念は18・19世紀に西側から地域名称として広まったとされている。(中国側は)ウイグルの歴史家ムッラー・ムーサー・サイラーミー氏が1908年に完成させた作品「ハミード史」では、この地域を「モグーリスターンまたは7都市の地域」と呼称されているとし、ドラマで用いられている概念が15世紀のものではないと主張した。

◾️その時代にヤルカンド・ハン国はまだなかった

次に問題視したのは、征服王メフメトとヤルカンド・ハン国の間の関係であった。報告書では、メフメト2世が1451~1481年の間に君主であった点、ヤルカンド・ハン国はチンギス・ハン裔のサイード・ハンによって1514年に成立した点が述べられた。同報告書に依拠すれば、ヤルカンド・ハン国は、征服王メフメトの死から約33年後に登場することになる。

報告書では、この2つの政治体が時の観点から整合性がとれず、ドラマの問題のシーンが歴史的に不可能だと主張された。3番目の問題点はナヴァーイーの立場に関するものである。報告書ではナヴァーイーが1441-1501年に生きたティムール朝の詩人、知識人、政治家であり、ヘラートとその周辺で任につきフサイン・バイカラに仕え、生涯新疆を訪れていないとする。

ヤルカンド・ハン国がナヴァーイーの死から13年後に成立したため、ナヴァーイーが同国の代表又は使者として表現されるのは歴史上のデータに反すると主張された。

◾️異なる世紀の出来事が1つのシーンに統合

4つ目に問題視したのが、ヤルカンド・ハン国と中国の王朝との間の関係であった。報告書では、ヤルカンド・ハン国について、明朝及び清朝時代に公式な関係を持っており、称号及び統治が承認され、中央政府と使節・朝貢関係を築いていたと主張された。

そのため、ドラマにあった「抑圧され、オスマン帝国の支援を求めた使節団」の描写は史実に基づかないと主張された。報告書の総合的な評価では、「異なる世紀や政治体の出来事が1つのシーンに統合され、史実と劇的なフィクションの間にある境界線を越えて、視聴者にドラマの説明が本当であるかのように印象付ける可能性がある。」と主張された。

◾️「中国人及びウイグル系トルコ人が貶められた」

報告書と共にドラマの制作陣に送られた警告書類では、「史実が捻じ曲げられ、出来事及び人物が誤った時代で紹介され、大衆を混乱させ、中国国民及びウイグル系トルコ人が貶められ、侮辱と中傷を含んだ表現がなされている」と主張された。ドラマの冒頭にある「本ストーリー及び人物は、歴史から着想を得て作成されている」という但し書きがあり、歴史上の人物・国及び出来事が明確に用いられた作品では責任を免れないと主張された。

何百万人が視聴する歴史ドラマが、特に若者や学生に対して史実を説明する上で影響をもっている主張された。警告書類は、TRT及び制作陣に、「大衆に対して書面で謝罪を行い、史実と異なっていると指摘されているシーンを修正しあるいは放映せず、似たような内容のものを再度扱わないよう」求めた。30日以内に書面で回答が求められていたが、関係者からまだ回答がないことが明らかとなった。

◾️「もっと力をいれて取り組むべき」

中国国民・中国企業法権利及び利益の保護・援助団体(ÇHD)の代表者のチャオ・ユエ氏は、「過去を扱う作品は、国家間の対立をもたらす新たな議論ではなく、共通の歴史認識を養うのに資する作品を製作すべきである。歴史は、諸社会の共通の記憶である。そのため、歴史上の人物や出来事を扱う際は、資料に基づいて丁寧かつ責任を持って行動することが重要である。」と評した。

ユエ氏は、目的が、特定の作品をターゲットにすることではなく、史実にそぐわないと考える問題点が修正されるようお願いすることにあると述べた。本件に関して弁護士のムラト・エルダル氏は分析を行い、歴史的事件を扱う作品の製作に際してはより丁寧に取り組む必要があると述べ、「シナリオを作成した際、十分に努力がなされなかったように思う。[現今の]中国がまだ存在しなかった時代に、まるで今日的な意味で中国が存在するかのような描写を選んだのは良くない。」とした。

◾️木製のセットを歴史的な財産として博物館で展示

TRTが作品にて犯したミスは、以前も本紙でも報じられた別のニュースでも話題となった。TRTがあるドラマで使用された、「風のイスケンデル」という人物のものとされる最初で唯一の木製の「ターゲット石」のセットが本物とされて、博物館で展示・保護されていたことが分かっている。

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( 翻訳者:山口晴夏 )
( 記事ID:62506 )