春祭りの文化:ベトナム人の保持すべき美点
2014年02月06日付 VietnamPlus 紙

 ベトナムには約8000の大小さまざまな祭りがあり、祭りの国だと例えられる。祭りは、由緒をたずねたり霊的な意義をもっているほか、ベトナム人が共同体の活動を通して互いにより結びつきを深める機会ともなっている。
 ベトナム人にとって、春は祭りの季節と同義である。毎年、テトの後になる度に農村から都市まで、いたる所で祭りが開かれ、通常旧暦の3月終わりまでつづく。
 初春の祭りはベトナム人が先祖代々への感謝の気持ちを思い起こす機会であり、生計をたてるのに齷齪した一年の後で気晴らしをするための機会でもある。
 そしてベトナム人にとって、初春の祭りは春のおだやかな澄んだ空気を味わい、風景をめでる機会でもある。文化的特徴や生活習慣によって、各地方の祭りは独自の特徴を持っている。
 研究者によると、北部には多くの祭りがあり、その表現形式は最も多様で豊富である。ここではほとんどの村落で祭りがある。その中には雄王廟の祭り、ゾンの祭り、フオン(香)寺の祭り、イェントゥの祭り、コーロア廟の祭り、ティックディエンの祭り、リムの祭りのような大きな祭りがある。
 ハノイ市のソクソンとフードンのゾン(Gióng)の祭りのような代表的な祭りは、UNESCOにより人類を代表する無形文化遺産に登録されている(2010年11月16日)
 ゾンの祭りはとても古くからある祭りだ。敵を討ち、国を守った人物でありベトナム人の四不死聖人の中の一人であるタイン・ゾンへの感謝を想起するために行われる祭りである。
 祭りはその栄誉を称えるほか、外国の侵略者に抵抗する精神を表現し、ベトナム人の「国泰民安」の希望を表現するものである。そのため、昔から今まで、どの年も陰暦の1月6日と4月9日が来る度にフーリン社とフードン社の住民はかつての英雄の功労を想うためにゾンの祭りを威勢よく催す。
 ゾンの祭りのほか、春の日になると北部デルタの多くの地方で一斉に祭りが始まる。それぞれの祭りは独自の特徴を持ち、地方毎の文化的特色を創りだしている。
 例えば、コーロアの祭りは弓を射る競争がある独特なものだ。ドーソンの祭りは闘牛で有名であり、リムの祭りはクアン・ホを歌う男女の掛け合いが情緒豊かである。
 北部の村の祭りと違い、中部と南部の祭りは通常、宗教・職業・景勝地と関係がある。代表的なものには、アンザン省のバー・チュア・スーの祭り、タイニン省のバー・デン山の祭り、ビンズオン省のバー寺の祭り、フエ市のシン村の祭りなどがある。
 8000近い祭りの中で、ベトナム人と在外の越僑にとって最も重要で神聖であるのが雄王廟の祭りである。「国祖雄王の祭り」とも呼ばれる。
 今日、雄王廟の祭りは国家により「国礼」に公認されている。祭りはフート省の雄王廟で開催され、陰暦3月8日から11日まで続き、そのうち10日が祭りのメインである。
 この祭りは国内外のベトナム人が、建国の功績をもつ雄王を思い起こす機会となっている。これは祖先祭祀におけるベトナム人の醇風美俗であり、世界のどの国にもないものである。
 そのような特殊性をもっているため、ベトナムは人類の無形文化遺産としてベトナムの「雄王を祀る信仰」をUNESCOに公認申請した。
 ベトナム国内で催されている8000近くの祭り(なかでも春祭り)をもって、ベトナムを祭りの国だと見なすことができるであろう。
 祭りはベトナム人一人ひとりにとっての貴重な文化遺産の宝庫であるばかりでなく、ベトナム人の文化・風俗・習慣を理解しようとするすべての人にとって非常に大きな魅力をもっている。

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( 翻訳者:横田知之 )
( 記事ID:589 )