大越国使臣の燕行行路に関する古書『皇華使程図』が世界遺産に
2018年05月30日付 VietnamPlus 紙
本の一頁
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 ベトナム・ユネスコ国内委員会からの情報によると、ベトナムの古書『皇華使程図』が、国連教育科学文化機関(UNESCO)のアジア・太平洋地域世界記憶遺産プログラムの資料遺産リストに正式に記載された。
 この決定は、光州(韓国)において開催されたユネスコのアジア太平洋世界記憶委員会第8回総会で、現地時間17時5分(ハノイ時間15時5分)に下された。

   稀少な本

 ベトナム・ユネスコ国内委員会の代表によると、『皇華使程図』は、18世紀のベトナムと中国の外交活動のうちの1つ、具体的にはアジア太平洋地域の国家間の交流を体現した、中国へのベトナム使節団の燕行を描写した本である。
 この本の主要部分は、18世紀の大越国使節団の燕行行路に関する多数の図と豊富で希少価値のある情報によって記載された地図であり、グエン・フイ・オアイン(1713-1789年)が、1765年から1768年にかけて、それ以前の使節の多くの世代の資料を編集・校訂・注釈し、同時に彼が正使をつとめた1766-1767年の使節に関する詳細を補充したものである。
 別言すると、18世紀の大越国使臣団の燕行地図を描いた主要部分のほかに、同書は山河の風景、接遇の形式、名所旧跡、燕行行路の考察などを記した内容も含んでいる。
 『皇華使程図』は、大きさが30×20cm、厚さが2cmで、カジノキの紙に木版印刷されている。
 一般的評価によれば、同書は、ある一族[阮輝一族]が保存してきた、燕行行路に関する稀覯本である。

   投票総数17票中17票で採択

 記録書類『皇華使程図』は第7回会合で成功裏にプレゼンテーションされ、18世紀のアジア・太平洋地域における二国間の外交関係に関する貴重で稀な記録書類であり、地域および世界の各民族間の平和維持に貢献する記録文書だと各国から高く評価され、投票総数17票中17票で採択された。
 ユネスコのアジア太平洋地域世界記憶委員会の第8回総会は、28のメンバー国、バンコクのユネスコ事務所、ジャカルタのユネスコ事務所および諮問する専門家など125名の代表者の参加をえて、5月29日〜31日に光州(韓国)で開催された。
 かくして現在までにベトナムは、世界記憶プログラムの世界資料遺産としてユネスコによって公認されている3つの遺産がある。それは、阮朝木版(2009年)、文廟・国子監の進士碑(2011年)と阮朝硃本(2017年)である。
 そのほかに、ベトナムの他の4つの遺産もアジア・太平洋地域の世界記憶プログラムの世界資料遺産に公認されている。それは、永厳(ヴィンギエム)寺[バックザン省]の竹林禅派仏教経典木版(2012年)、フエの宮廷建築上の詩文(2016年)、フックザン校の木版(2016年)、古書『皇華使程図』(2018年)である。
 「世界の記憶」プログラムは、人類の資料遺産を保存し、貴重で稀な資料収集の維持に世界の意識と注目を高める等の目的で、1992年にユネスコによって提唱された。このプログラムは、国際レベル、地域レベル、国家レベルの3つのレベルで委員会によって管理されている。
 この称号は2つのカテゴリーに分かれている:世界記憶プログラムの世界資料遺産(奇数年に検討)とアジア・太平洋地域の世界記憶プログラムの世界資料遺産(偶数年に検討)である。

関連記事:『皇華使程図』の世界資料遺産への行程(13/06/2018)
https://www.vietnamplus.vn/Utilities/Print.aspx?contentid=507900

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( 翻訳者:阿部克哉 )
( 記事ID:4431 )