中部高原ゴング文化空間の価値の保存と発揮
2020年10月27日付 VietnamPlus 紙
中部高原のゴング文化遺産の実演
中部高原のゴング文化遺産の実演

 ゴングの打ち方を伝えゴングや衣服を支給するゴング演奏教室の開催は、各地方が連携に関心を寄せ、ダクラク省の少数民族同胞の文化的・精神的生活の需要を満たす効果を上げている。

 10月27日、ダクラク省人民委員会は、2016年から2020年までのダクラク省ゴング文化の保存と発揮に関する2016年8月30日付ダクラク省人民評議会決議2016年第5号を実行した5年間を総括する会議を開いた。

   少数民族同胞の文化的生活に対する需要を満たす

 報告によると、経済的・社会的変化によって省内の各少数民族共同体の生活が急激に変化していること、上の世代から脈々とゴング文化を知る老人たちが相次いで亡くなり、次の世代を探すのに苦労していることにより、狭義ではダクラク省の、広義では中部高原のゴング文化は危機に直面しており、困難や課題を抱えている。
 多くの場所でゴングはもはや神聖な意味を持っておらず、売買や交換、他の目的、飾り物や収集に使用する物となり、ゴング文化は断絶、埋没の危機に瀕している。
 上記のような状況は、狭義ではダクラク省の、広義では中部高原のゴング文化の維持と保存、発展を目指して同期的かつ断固とした解決策が必要であるという問題を提起している。
 この目標を実現するため、ダクラク省人民評議会は2016年8月30日、2016年から2020年のダクラク省ゴング文化保存発展に関する人民評議会決議2016年第5号を公布した。この決議は、ゴング文化を保存して貴重なゴングのセットを維持・保存し、年長の名人が若い世代に技を継承するためにゴングの打ち方、音の聞き分け、調整の技術、演奏法を伝える教室を組織し、ゴング活動の場となるよう伝統的なロングハウスを保存し、中部高原のゴング文化遺産の保存と発揮に貢献するために、地域社会でゴングに関連する少数民族同胞の儀式や祭りを定期的に開催・復元・上演するという任務を設定している。
 上記の決議を実行して5年、ゴング文化保存プログラムは実践的な需要を満たし、共感を生み、共鳴する人々の支援を得られてきた。
ゴングの打ち方を伝えゴングや衣服を支給するゴング演奏教室の開催は、各地方が連携に関心を寄せ、ダクラク省の少数民族同胞の文化的・精神的生活の需要を満たす効果を上げている。
 省から少数民族の村や芸術隊にゴングや伝統的な衣服が給付されたことは、演奏者たちの精神を大きく鼓舞し、地方・省・地域・全国・国外での伝統的な儀礼や祭りの復元、実施、コンテスト、演奏会、ゴングの祝祭などへの参加や練習の持続に好ましい条件を整え、省内における中部高原のゴング文化空間遺産を保存し発揮することに寄与している。
 2020年8月までに全省に2,098セットのゴングがあることが確認されている。内訳はエデ族のゴングが1,645セット、ムノン族のゴングが319セット、ザーライ族のゴングが118セット、ソダン族のゴングが5セット、ムオン族のゴングが4セット、ブル族のゴングが3セット、ターイ族のゴングが3セット、バナ族のゴングが1セットである。

   いまだ地域社会で行われる直接的な保存活動は多くない

 しかし会議に出席した参加者は、ゴング文化空間の保存問題にはまだ限界があり、多くの要素の影響を受ける中、ゴング文化を安定的に維持し発展させるためにすべての行政レベル・分野・地方が解決に取り組む必要があると述べた。
 クームガール県文化情報課の代表は、次のように述べている。過去、ゴング文化の保存は主に国家管理に集中しており、地域社会での直接的な保存活動はあまり多く行われてこなかった。
 そのため将来的に演奏家や地域社会に住む人々が主体的な役割を発揮する必要がある。そうして初めて、ゴング文化は地域社会の中で維持され、力を得ていくのである。
 そしてそうして初めて、中部高原のそれぞれの民族がかつてゴング文化を形成し発展させてきた過程の中でこの文化が存在してきたように、保存が実体を持つのである。これを通して、若い世代はようやく自らの民族の文化遺産を保存することの必要性を理解することができる。

 タイグエン大学の中部高原人文社会科学センター長チュオン・トン・トゥアン氏によると、現在少数民族の学生の大多数がゴング文化を含む伝統文化を失っているという。
 ゴング文化の復興と保存に寄与するため、将来的に大学は投資してゴングを買い足して展示したり、学生を教育し、日々多様化する曲やゴングの種類、ゴング演奏隊の数を持続的に維持・拡大していくために大学の若いゴング演奏隊を強化し、学生世代の間の継承を確保する予定である。
 大学は、地域社会内でゴングを継承していくための核となるグループを形成するためにゴング文化活動を少数民族の学生向けの課外活動として導入した。ゴング音楽と中部高原のゴング文化に関連する価値についての研究を奨励し、このような文化形態の保存・発揮への貢献を目指す。

   ゴング文化遺産を効果的に活かす

 2021年から2025年の段階で、ダクラク省はユネスコへの申請書で約定した内容を引き続き実行する。それは、ゴング文化遺産を効果的に維持・保存・開発・活用すること。省内の各少数民族の生活の中のゴング文化を段階的に回復させること。ダクラク省のゴング文化の価値を国内外の人々に紹介し、宣伝すること。国が工業化・現代化していく時代の中でゴング文化遺産を効果的に保存し発揮して省の観光の発展を促進し、「国の持続可能な発展の要請に対応するベトナムの文化と人々の構築と発展」に関する中央政府議決第33号の目標達成に貢献することである。
 ダクラク省は省から地域組織、地元の各民族同胞まですべての政治系統がゴング文化を維持し発揮することの責任を深く認識するよう宣伝、運動を行い、実績のある少数民族の村のゴング演奏隊にはゴングを支給して演奏者らを激励し、地域社会生活の中でゴング文化遺産の価値を維持し発揮することへの責任感を高めようとしている。またゴングの演奏、音の聞き分け、調整法を教える教室を開き、叙事詩や叙事詩の歌唱芸術を伝え、今いる世代や将来の世代に伝えるために全省の民族の子供たちに民謡や民話を伝えている。
 ダクラク省はまた、文化スポーツ観光省に次のことを提議している。中部高原ゴング文化祭りを定期的に持ち回りで開催することを公式に指導すること。各省がそれぞれの地方の実状に即して実施を展開する計画を策定するために、中部高原の少数民族の文化遺産を保存し発揮することを目指した長期的なプロジェクトや戦略を立案すること。将来的にゴングの価値の保存と発揮に貢献する気持ちをさらに持ってもらうため、「人民芸術家」や「優秀芸術家」には毎月もしくは四半期ごとに補助金を出す支援策を策定すること。

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( 翻訳者:山崎瞭子 )
( 記事ID:5590 )