1タカはもはや1タカではない!?
2014年11月07日付 Prothom Alo紙

17世紀のシャエスタ・カーンの時代には8モン(300Kg)のコメが買えた。50年前は鶏が丸々一羽手に入った。20世紀末頃には鶏卵が1つだった。今ではせいぜい小さな飴しか買えない。1タカの価値の変遷である。

市場の現状から見ると恐らく、1タカは程なくして「シキ」や「アドゥリ」さらには「25ポエシャ」や「50ポエシャ」(かつて使用されていた貨幣)と同じようなものになるだろう。お金の博物館に置かれるようになるだろう。
1タカ紙幣または貨幣は、銀行券ではなく政府が発行するものである。政府はバングラデシュ銀行に、このタカやコインを作らせ、市場に出している。
商取引で1タカが使われることはほとんどなくなってしまった。おつりを渡す時も店主は1タカの代わりに、飴をくれたりする。バスやリキシャの料金を含む金銭のやり取りの際には、1タカ少なくまたは多く渡したり貰ったりしなければいけないのが現実だ。
1タカのおつりの代わりに飴を渡す背景にはしかしながら、商売上の利益を求める店主たちの魂胆があるようだ。
首都の様々な地域の茶店やタバコ屋の店員と話してみて、彼らは100個のドロップの1パッケージを45-50タカで買っているということがわかった。つまり茶やタバコを買った人に1タカのおつりを渡す代わりに、100個のドロップを押し付けることができれば、店側は50-55タカの利益を得ることができるのだ!
バスの状況はどうだろう?ミルプール1番地からニュービジョン交通でパームゲートまでの料金は13タカだ。そして、モティジールまでが23タカである。ニュービジョン交通バスのアシスタントのひとり、モファルクは「お客は12タカとか22タカ渡してくるが、黙って受け取るよ。1タカのために喧嘩をするのは嫌だからな」と言う。
一方、乗客のカジョル・シャーの経験は異なる。3番バスでファームゲートから空港駅までの料金は12タカだ。だが、15タカ渡したらおつりが2タカくる。つまり、料金は1タカ多い13タカ取られるわけだ。
1タカは価値をなくしてしまったのだろうか。あるいはまた、市場への供給がおこなわれないために1タカが枯渇してしまっているのだろうか。
しかしながら、バングラデシュ銀行のモティジル支店取締役シュボンコル・シャハ氏は供給が危機に陥るはずはないと言う。バングラデシュ銀行は2014年8月31日まで、市場に1タカの硬貨を20億107万5,312枚供給した。更に1タカ紙幣は4億2425万621枚が供給されたという。
調べてみたところ、1タカが行方不明になっている背景には、紙幣と硬貨のせめぎあいがひとつにはあるようだ。バングラデシュ銀行は、1タカ紙幣の約5倍の硬貨を市場に放出している。今後もさらに多くの硬貨を発行するという。中央銀行には、今後数年間見込まれる需要を満たすのに十分な、1タカ硬貨の備蓄がある。
銀行筋によると、硬貨を鋳造するよりも紙幣を印刷する方がコストが掛かるという。さらに、よく使われるという理由で、1タカ紙幣はすぐ破れてしまう。だから、バングラデシュ銀行としては1タカ紙幣をこれ以上造幣したくないのである。
しかし、バングラデシュではどの額面のものにせよ、硬貨はあまり流通していない。シュボンコル・シャハ氏は、世界の大部分の国では、小額の通貨では紙幣よりも硬貨が多く使われていると話す。そうした国々では、自動販売機での商品やチケット購入のため、硬貨がより役立っているのだ。しかしバングラデシュではそのような状況が存在しない。よって硬貨の必要性もあまりないのだ。
商業銀行はバングラデシュ銀行に現金を預けている。引き出すにあたっては、10億タカごとに硬貨で10万タカを受け取らねばならない決まりになっている。複数の商業銀行によれば、受け取った硬貨は通常、各銀行の金庫室に保管されたままになるという。商業銀行のひとつ、ダカ銀行のカロワン・バジャル支店長のモシュタク・アハメド執行役副頭取はプロトム・アロ紙の取材に対し、顧客は硬貨を受け取りたがらず、とくに1タカ、2タカの硬貨についてその傾向が高いと語った。バングラデシュ銀行は、顧客の需要に合わせて硬貨の代わりにより多くの紙幣を発行すべきだ、とアハメド副頭取は述べた。
商業活動の現場を回ってみて感じたのは、紙幣と硬貨のせめぎ合いが、ただでさえ絶滅しかけている1タカをさらに流通しにくいものにしているということだ。1タカを巡って妥協するということは、商品やサービスの値段をその分押し上げる結果になっていると関係者たちは言う。それでものの値が上がる。
金融政策が専門のダカ大学経済学部長M.A.トスリム教授は、資本主義経済においては物価上昇は必ず起こるものであり、その結果取引で使用されている金銭単位はいつか意味を失うものだと語っている。しかし商取引で1タカを巡って妥協する風潮は改めるべきだ、というのがバングラデシュ銀行モティジル支店取締役シュボンコル・シャハの意見だ。大量の1タカ硬貨が使われることなく家庭で眠っている一方で、1タカなどどうでも良いという態度のために、商取引上多額の金額が失われているのが今の状況なのである。

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(翻訳者:関谷レイミ)
(記事ID:358)