バングラデシュの漁獲量世界で4位
2014年12月11日付 Prothom Alo紙

(11月7日付)「魚を獲ろう楽しく食べよう、心が満ちるよ幸せで」
1990年代にバングラデシュテレビジョンで放送されていた、養殖漁業のコマーシャルのこの標語はかなりの人気を集めた。魚の養殖で生計を立てることは今や、もう夢ではない。国連食糧農業機関(FAO)の今年の報告書によれば、淡水魚の生産でバングラデシュは世界第四位となっている。世界の養殖漁業の状況に関してFAOから出版された「世界漁業・養殖業白書」の最新版の表紙には、バングラデシュのラジシャヒのある池で、4人の養殖業者が魚を捕まえている写真が使われている。表紙ばかりではなく、白書の中でも、池など内水面における養殖漁業でのバングラデシュの漁業従事者たちの成功例がいくつも挙げられている。白書によれば内水面養殖漁業による生産高は中国が1位で、次インドとミャンマーそれに次いでいる。
しかし、養殖業者たちはこの成功までに多くの困難を克服しなければならなかった、と専門家たちは言う。政府の農業融資では、養殖業者達は未だに冷遇されている。2013-14会計年度では政府が融資した1400億タカのローンのうち、魚の養殖業者たち向けはわずか10%だ。米やジュートを貯蔵するために政府が建設した倉庫はあっても、養殖業者向けの冷凍貯蔵庫はひとつも作られていない。それでもFAOはこの部門でバングラデシュを世界において最も将来性のある国の一つだとしている。
この点について漁業省の前次官、Z・コリム氏はプロトム・アロ紙によるインタビューで「世界の中でも、バングラデシュの自然環境は淡水魚の養殖のために最も適している」と語った。2万5千ヘクタールに及ぶ開放的な内水面と、村の住人たちによって作られた何十万もの池が持つ養殖漁業の潜在的な可能性がまだ生かされきってはいない。政府がもし養殖漁業により本腰を入れて養殖業者を支援すれば、バングラデシュは世界で一番の魚の生産国になれるかも知れない。
FAOの統計によれば、内水面養殖漁業でバングラデシュは過去10年継続して世界のトップ5の中に地位を占めている。2006年にはインドを上回り、世界2位になったこともある。2004年から14年までの間にバングラデシュの漁獲量は53%増加した。一方バングラデシュ統計局(BBS)の最新の経済統計によると、2013-14会計年度の345万5000tの漁獲高のうち、養殖魚が約200万トンを占めている。稚魚の保護など様々な対策の結果、国内で一番人気の高いイリシュの収穫量は5万2千トン増えて35万トンに達した。
魚の価格が一般の人が購買可能な範囲におさまっているため、国民ひとりあたりの魚消費量はこの10年で倍増した。2010年の再審食糧調査によると、バングラデシュ国民ひとりあたりの魚の年間消費量は約12kgとなっている。県別では最大がチョットグラム(チッタゴン)の17キログラム、最少はロングプルの7.5キログラムとなっている。消費された魚のうち76%は池や川など内水面で収獲されたものだ。世界ではひとりあたりの平均水産物消費量は22.4kgだ。
バングラデシュの魚類研究者たちによる魚の品種改良とそうした魚の普及の早さが、魚の生産量がこれほどまでに増えた要因と関係者たちは考えている。特にモエモンシンホ、ボグラ、クミラ各県の池と南西地域の県で養殖池での魚の生産は、想定を越え革命的といえるほどの成果をもたらした。
魚の養殖が増えるのと同時に、国内の魚の消費量もこの10年で倍増した。魚の輸出量は135倍増えた。2013-14会計年度で、バングラデシュの冷凍魚輸出量は17.35%増加し、414億9千万タカとなった。
10年ごとに3つの傾向:1980年代にバングラデシュの魚類研究所の研究者たちによって品種改良されたパンガシュ、ルイ、カタル、テラピアの養殖は大人気となった。近年では、品種改良されたコイ、シング、マグル、ショルといった魚の養殖が著しく増えている。1990年には養殖によって19万3000トンの魚が生産されたが、その数字は2000年には65万7千トンに増え、今年2014年は100万トンに近づきそうだ。
魚生産の分野で、モエモンシンホ県とクミッラ県は、国内ばかりでなく世界的にも注目されている。またクルナ、ジョショル、シャトキラ、バゲルハト、チッタゴンのチョクリア、そしてボリシャル管区での養殖池を使った養殖は、これらの地域ばかりでなく国全体の経済にも多大な影響を与えた。上記の地域で生産されたエビは現在、バングラデシュの2番目に主要な輸出品目となっている。
魚と米の時代再び:「魚と米でベンガル人」という昔からの言い回しは一時期、本の中で見かけるだけになっていたが、今やそれが再び現実のものになっている。FAOの統計によれば、バングラデシュの人々は動物性蛋白質の57%を魚だけで摂取している。バングラデシュ貿易公社(TCB)の統計では、国内で生産された物品の価格はおしなべて2%から36%上昇しているものの、ルイ、パンガシュ、テラピアの値段だけは上がっていない。またコイやマグルといった魚は若干値下がりした。生産増が価格が押し下げている。
アメリカに本部を置く国際食糧政策研究所(IFPRI)バングラデシュ事務所のアクタル・アハメド上級研究員は、政府のどんな大型プロジェクトとも無縁の形で魚養殖は成功の道を歩んだと考えている。主に養殖業者たちの意欲と創造性が大きな推進力の役目を果たした。業者たちは市場での需要をにらみながら生産を行なっていることで魚養殖業は堅調となっている。
FAOが2022年までに魚養殖の分野で成功を収めると予測している4カ国の中で、バングラデシュは筆頭となっている。タイ、インド、中国がそれに次ぐ。この次にタイ、インドと中国がいる。FAOの統計では海水魚の漁獲高でバングラデシュは現在世界で25位だが、インドやミャンマーと競っていた海域問題での最近の勝利により、今後ベンガル湾での漁獲量の大幅な増加が見込まれるとされている。(写真:ジョムナ川でとれたパンガシュ魚を運ぶ子どもたち)

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


(翻訳者:小林加奈)
(記事ID:366)