バングラデシュ、中所得国の仲間入り
2015年07月05日付 Prothom Alo紙

(7月2日付)バングラデシュは低所得国から脱却し、中所得国となった。これは昨日(7月1日)世界銀行が発表したもの。
世銀は中所得国をさらに低中所得国と高中所得国の2つに分類している。バングラデシュは今後、低中所得国と呼ばれるようになる。

世界銀行は毎年7月1日に、国民ひとりあたりの年収をもとに、各国を4つのグループに分類したリストの公式発表を行っている。個人あたりの年収が1,045ドル以下の国は低所得国とされる。バングラデシュは1971年の独立以来ずっと、この低所得国グループに属していた。

民間のシンクタンク・政策対話センター(CPD)のモスタフィズル・ロホマン常任理事はプロトム・アロ紙とのインタビューで「(中所得国入りには)我が国の一貫した経済成長が反映され、それが認められたと言うことだ。国民が成し遂げた大きな成果であり、記念すべき一里塚と言える。これにより心理的のみならず、実質的に得られるものが大きい。それと同時に新たな課題も出てくる」と語った。

中所得国とは: 国民ひとりあたりの年収が1,046ドルから12,736ドルまでの国を中所得国と呼ぶ。さらにそのなかでも年収が4,125ドルまでの国は低中所得国、それ以上の場合は高中所得国に分類される。12,737ドル以上は高所得国ということになる。
世銀は「アトラス・メソッド」と呼ばれる独自の方法で各国の個人あたる収入を算出している。この方法では、それぞれの国の通貨で表された国民総所得(GNII)が米ドルに換算される。その際、国際的なインフレ率と為替レートの変動値を調整するため、過去3年間の為替レートの平均値が用いられる。
バングラデシュ統計局(BBS)の統計では、バングラデシュの2014-15会計年度におけるバングラデシュの個人あたり年収は1,314ドルとされている。世銀の算出方式で1,045ドルを超えているので、今回発表されたリストでバングラデシュは中所得国の仲間入りができたわけだ。政府の策定した10年計画では、2021年までに中所得国となることがうたわれていた。それが目標より早く達成されたことになる。
世銀が今回発表した一覧表では、バングラデシュ、ケニア、ミャンマー、タジキスタンが新たに中所得国に加わった。同じSAARC・南アジア地域協力連合加盟国のインドとパキスタンもこのカテゴリーに属している。最新のリストでは、低所得国は31、低中所得国は51、高中所得国は53、そして高所得究国の数は80となっている。

これからの課題: CPDのモスタフィズル・ロホマン博士は、総合的な見地から中所得国入りは、世界におけるバングラデシュの地位をさらに高めることになると考えている。そしてその結果、国際的な金融市場から融資を調達しやすくなる、すなわち貸し手側からして、バングラデシュは比較的リスクの少ない国と見なされる、と言う。しかし一方で、国際的な開発援助機関から融資を受ける際の条件が少々厳しくなることも考えられる。そうした状況に今から備えなければならない、とモスタフィズル・ロホマン博士は語っている。
低中所得国になったといっても、バングラデシュが後発開発途上国(LDC)であることには変わりがない。そのため、LDCであることの便宜もこれまでと同様受けることができる。LDCからの脱却のためには①財政の脆弱性②人材開発③国民一人当たり総所得に関する一定の指標をクリアする必要がある。これについてモスタフィズル・ロホマン博士は「財政の脆弱性の指標を満たすことはできたが、あとの2点に関してはまだクリアできないままだ」と言う。
中所得という名の罠:所得が増えること即発展とは言えない。これまでにも収入を増やして中所得国入りしたものの、「中所得国の罠」に陥った国は少なくない。中南米諸国は長年その中でもがいている。中国やロシアといった国でさえ同じ状況だ。もっとも顕著な例としてはブラジルと南アフリカがあげられる。単に所得を増やすことのみに心を砕き、インフラ、教育を含む人材開発、輸出の分野での競争力向上に目を向けなかった国々がこうした「中所得国の罠」に落ちることになる。

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(翻訳者:加藤梢)
(記事ID:431)