バングラデシュ中央銀行の預金搾取される
2016年03月09日付 Prothom Alo紙

多国間の銀行同士の送金に用いられるSWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)コードを利用して、バングラデシュの中央銀行であるバングラデシュ銀行の預金が搾取された。この操作は同銀行のコードを使って行われた。
ニューヨーク連邦銀行に対し、バングラデシュ銀行のコードを使った30件の振り込み依頼があり、うち5件が自動的に実行された。これにより、ニューヨーク連邦銀行から1億ドルがフィリピンに送金される結果となった。残りの25件については緊急に対策を行なったことで送金は実行されなかった。もし実施されていたら被害はさらに拡大していたと思われ、バングラデシュ銀行は甚大な損失を被ることになっていたと見られている。中国のハッカーたちがこの事件に関わっていた。
複数の消息筋の話からこうしたことが浮かび上がってきたが、バングラデシュ銀行はまだ何も公式に発表していない。しかし中央銀行の信頼すべき複数の筋は、同銀行の情報システムに第三者が侵入したとしている。中央銀行は月曜日になって、同銀行の預金がハッカーたちによりアメリカの銀行から搾取されたと告示した。中央銀行がこれまでに入手した情報によれば、システムに対してハッキングが行われたと考えられている。しかしながらシステムそのものを破壊せず、そこに侵入して振り込み依頼が行われたことから、何者かが加担していた可能性もあり、調査が進められている。
一方昨日火曜日、政府中央事務局で行われた記者会見で、アブル・マル・アブドゥル・モヒト財相は、この詐欺事件はバングラデシュ銀行に責任はなく、ニューヨーク連邦銀行を告発するつもりだと語った。会見で財相は「ニューヨーク連邦銀行で操作ミスがあったということだろう。連邦銀行側はそのことを否定しており、自分たちに落ち度はないと言っているが、そんなことはありえない」と述べた。財相はさらに「ニューヨーク連邦銀行は自分たちのミスを認めていないと聞くが、そんな資格はないはずだ。私たちの金を預かっていた責任を彼らが逃れることはできない」と語った。財相は前日の月曜日には記者たちの質問に対し、自分は何も知らず、バングラデシュ中央銀行から何も知らされていないと答えたていたが、昨日は、月曜日に中央銀行総裁自らこの出来事について説明をうけたことを明らかにした。
一方ニューヨーク連邦銀行は声明を出し、その中で同銀行がハッカーに侵入され金を搾取された例はないとしている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は連邦銀行の広報担当者の言葉として、「これまで同銀行に預けられた金が盗まれたことはないし、取引上の問題が発生したこともない。さらに銀行の業務管理で些細な瑕疵さえもなかった」と伝えた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によればニューヨーク連邦銀行は世界各国の250の中央銀行や政府機関との取引がある。
バングラデシュ銀行の複数の筋によれば、この犯罪は発覚が遅れるように、また発覚したとしてもその対策に時間がかかるようにするために、バングラデシュ、アメリカ、フィリピンの休日が一致する日を狙って行われたと見られている。バングラデシュ銀行のシステムからの依頼を受けてニューヨーク連邦銀行が振り込みを実行した2月5日は金曜日だった。金土はバングラデシュの休日となっている。日曜日はアメリカが休みの日で、次の月曜日は春節のためフィリピン国内では休日となっていた。ハッカーたちは3か国の休日を調べたうえで、事件が発覚しても銀行間の連絡が遅れがちになるよう、この日を選んだと考えられる。
信頼できる情報筋によると、銀行間の決済は最新のIT技術を使って行われている。バングラデシュ銀行から自動システムを使って時々に発行される振り込み依頼に基づいて、預金分から自動的に引き出され送金される仕組みだ。今回の事件では何者かがバングラデシュ銀行のシステムを使い、ニューヨーク連邦銀行に振り込み依頼を行ない、うち5件が実行された。しかし送金手続き中、振り込み依頼が個人的になされていることに連邦銀行側が不審を抱き、バングラデシュ銀行に問い合わせたところ、依頼が資格のある当局から行われたものではないことが発覚した。
ニューヨーク連邦銀行には世界各国の預金が積み立てられており、それらは各中央銀行の資産であるために、それが個人口座に振り込まれる可能性は一般的に言ってごく稀だ。そうしたことが連邦銀行側が疑問を抱くきっかけとなった。
外国に本部を持つある多国籍銀行の最高幹部で、各国間の金融決済や取引制度に詳しい人物は、名前を明らかにしないという条件でプロトム・アロ紙の取材に応じ、国をまたいだ銀行間の取引は基本的には「真正または信頼しうる」メッセージのやり取りに基づいて行われると述べた。取引そのものは自動的に処理される場合も、手作業で行われる場合もあるという。両銀行間の連絡はEメールによることもあれば特定のシステムを通じて行なうこともある。
搾取された金が回収される可能性について、バングラデシュ銀行は楽観的だ。同銀行の複数の最高幹部たちは、金の行き先について明白となっているため、多少時間がかかり、法的な手続きも必要となるが回収はできるとしている。中央銀行は昨日このケースをめぐって警察幹部と話し合いを行なった。

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(翻訳者:加藤梢)
(記事ID:487)