若者の40%が「不活性」
2016年12月21日付 Prothom Alo紙

(12月21日付)労働市場の一部であるにもかかわらず、わが国の15歳から24歳の若者のうち40%が学校に行っておらず、仕事をしているわけでもなく、また仕事をするための職業訓練も受けていない。
世界的に見られる若年層のこうした傾向は不活性状態と呼ばれている。このような若者たちの一部は社会から外れてしまうリスクがあると考えられる。

国際労働機関(ILO)がまとめた「ディーセント・ワーク(適切で人間らしい仕事)の十年:アジア太平洋地域とアラブ諸国」と題する報告書では、人口に対するこの種の若者たちの割合は、アジアと太平洋地域の21カ国の中でバングラデシュは悪い方から三番目とされている。バングラデシュより活動的でない若者の割合が高いのはモルディブとイエメンだけだ。近隣のインド、マレーシア、タイ、ベトナムではそうした若者の割合はずっと低くなっている。

不活性な若者たちの割合を表わすひとつの指標は、「ニート」という言葉だ。ニートとは、「学校に行っておらず、雇用されてもおらず、職業訓練も受けていない(Not in Education, Employment, Training)」ことを意味する。どの国でどのくらいの若者が活動的でないかということは、近年の状況を背景として重要になってきている。なぜなら、国連の持続可能な開発目標に組み込まれているからである。SDG(Sustainable Development Goals, 持続可能な開発目標)の 8番目の目標は適切な仕事と経済的発展である。この目標では2020年までに不活性な若者の割合を顕著に低下させるとしている。バングラデシュが持続可能な開発目標を達成するためには、活動的でない若者を労働市場に取り込む必要がある。

リヤド・ホサイン(19)はそうした若者の一人である。2年前に高卒資格試験に合格し、現在はボリシャルからダカに来て職を探している。製造工場で仕事をするような技術は持ちあわせていない。かといって肉体労働をする気はない。話を聞くと「普通の勉強で読み書きを習っても、何の益も無い。読み書きはどうにかできる程度、という友だちがいるのだが、電気の仕事を勉強し、今はある大きいアパレルブランドの会社に勤めている。給料は18,000タカ(約27,000円)だ。そして私は8,000~10,000タカ(約12,000~15,000円)の仕事にさえありつけない」という答えが返ってきた。

「持続可能な開発目標実現のための市民プラットフォーム」のコーディネーターをつとめる経済学者のデボプリオ・ボッタチャルジョ氏はプロトムアロ紙に、「他のことと同様、職探しがうまくいかないと若者たちの多くは気力を失ってしまう。これは社会的な時限爆弾のようなものだ」と語った。この結果大規模な社会的競争や不安が生まれ、若者世代が社会的な疎外感を抱いたり、道を踏み外したり、暴力行為や薬物乱用に走る要因となっているというのだ。

先進国の組織である経済協力開発機構(OECD、Organization for Economic Co-operation and Development )のウェブサイトには、このような若者たちのうち貧困線よりも下の生活をしていて、自分で自分の経済状況を好転させるような能力も持ち合わせない者たちは、社会から疎外される危険を抱えている、とある。

この問題について、世界銀行ダカ支店のチーフ・エコノミスト、ジャヒド・ホセン氏はプロトムアロ紙に、「一般的な教育を受けた若者たちのほとんどが労働市場とつながることができず、結果として彼らは道を外すことになってしまう。これは一方で経済的損失であるのと同時に、社会的不安をも作り出している」という。社会悪勢力にとっては、若い世代を悪の方向に誘うことが極めて容易となるのだ。ジャヒド・ホセン氏はさらに、「人口ボーナス(労働力増加率が人口増加率を上回ることによって経済成長が後押しされること)というが、若い世代がその機会をもたらすわけで、そのように考えるとバングラデシュ国民はそうした機会を無駄にしている」と語った。

ILOの報告書は12月6日から9日にインドネシアのバリで同機関のアジア太平洋地域大会で発表された。報告書は過去10年この地域で達成された経済的、社会的発展の恩恵を若者たちは受けておらず、若者が労働市場に立つことは簡単ではなかった、としている。

ILOの報告書はまた、同地域の21カ国の中で、マレーシア、モンゴル、日本、オーストラリア、タイ、ベトナムでは不活性な若者の割合は少ないとしている。一方、最も割合の多かったモルディブは56パーセントの若者が何の活動もしていない。次に多いのはイエメンで、48%の若者が不活性である。報告書では、多くの若者たちが教育を受ける余裕が無いため、勉強をあきらめてしまうとされている。家族も若者を支えることができず、むしろ若者たちが家族を支えざるを得ない状況になっている。結果としてこれらの若者は生活費を稼ぐために、得られる仕事は何でも始める。そうした仕事というのは通常、企業活動とは無縁のものだ。

ILOの報告書はアジア太平洋地域の若者たちの失業の状況を取り上げている。これによると、この地域の失業者の中の40%が若者だという。若者たちの失業率はアラブ諸国で高く、南アジアでは比較的低い。

デボプリオ・ボッタチャルジョ氏は、「わが国の経済的な構造転換が適切なものでなかったために、また産業の発展が起こらなかったために、新しい層の労働力が給与を基本とする企業できちんと平均給与の一般的な職種では、まともな雇用を得ることができなかった。さらに若者たちは受けるべきだった質の高い教育を十分に受けることができなかった。また今行われている職業訓練は十分な生産力増強に結びつくものではなく、市場の需要も満たしていない」という。では解決のためには何をなすべきかという問いに同氏は「まず教育から始めなければならない。教育の質、教師の質と同時にインフラの整備も必要だ。雇用よりも若者たちの起業精神を養う必要があるし、資金も確保しなければならない」と答えた。
ジャヒド・ホセン氏も教育の質が問題だとし、市場の需要に合った形で若い世代の能力を形成するべきであり、それと並行して投資増強によって雇用機会を創出する必要があるとの考えを示した。

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(翻訳者:加藤 梢)
(記事ID:607)