縮小する海外労働市場~技能を備えた人材育成を~
2019年04月18日付 Prothom Alo紙

 20世紀の70年代後半にわが国から海外へ人材を送る動きが始まって以来、バングラデシュはこの分野において一貫して成長を続けてきた。イラク戦争や中東の政治が不安定だった時期でさえ、バングラデシュの人材輸出は2017年まで堅調であった。しかし2018年の人材輸出は前年度に比べて27%の減少がみられ、きわめて懸念される状況にある。人材雇用研修局(BMET)によると2018年にはバングラデシュから73万4181人の労働者が海外で働くために各国に旅立ったのだが、その前年の数は100万8525人であった。経済学者と人材派遣の専門家はこれについて以前から警告をしてきたが政府が何らかの有効な策を講じたという証はない。
 人材の輸出はわが国の外貨準備高を増幅させたのと同時に、国内の経済の活発化をもたらした。海外在住の労働者の数は800万人だが、約4000万人の人々の生活と生活費が、このことと直接関わっているのだ。残念だが、わが国の海外労働市場の主な3か国が今停滞の傾向にあることは事実だ。サウジアラビアの失業率は12%で、結果として2,3の産業を除けば労働者受け入れは減少している。アラブ首長国連邦は労働市場を開放しているが家政婦以外の労働者を受け入れてはいない。マレーシアの労働者受け入れは去年の9月から停止している。
 こうした状況の中、政府の最優先事項は代わりとなる労働市場を探すこと、技能を持った労働者を養成することであった。イラクでは状況が良くなって新たに労働者受け入れが始まった。ヨルダンでは既製服産業で女性労働者の需要が高まっている。すでにそこへ行った労働者たちは好条件で働くことができている。それ以外にも日本やタイ、アフリカのいくつかの国でも新たな雇用機会が生まれている。しかし以前からある労働市場でも新たな労働市場においても前のように非熟練労働者を雇用するところはないだろう。
 わが国が海外の労働市場を確保しておきたいならば、海外の国々が望むような労働力の輸出に重きを置かなければならない。海外居住者福利厚生省の次官によれば、国内にある70の研修所で海外に行く意欲のある人を対象に研修を行っているという。しかしこれらの研修所で行われる短期間の研修が、国際労働市場の需要に従って人材を養成することにどれだけの役割を果たすのかも考えなくてはならない。海外に在住するバングラデシュ人の1人が年間で稼ぐ額にくらべ、バングラデシュで働く外国人労働者はその何倍もの収入を得ているのだ。
 海外のバングラデシュ人の労働市場が縮小しているなかで、バングラデシュ国内ではなぜ外国からの労働力の需要が高まっている理由を政府は真剣に考えてみなければならない。わが国の教育が国内で求められるような技能を持った働き手を養成できていないのは明らかである。国内の需要さえ満たすことのできないような教育が、海外の労働市場の需要に応えることができるはずはないのでは、という疑問が生まれる。グローバル化の時代に扉を閉ざしておくことはできない。よって国内はもちろん、海外においても外国人労働者と競えるような労働力を養成しなければならない。
 我々が特化した教育によって技能を備えた人材を養成できるなら、人材輸出の数が減ったとしても海外で働く人たちの収入が減ることはない。今すぐにでも技能を備えた人材の養成と新たな市場の創設を同時に行わなければならない。
 中東で航空運賃が上昇していることでバングラデシュ人労働者はより大きな危機に陥っている。必要に応じて関連の航空会社と話し合い、理にかなった解決策を探るべきだと考える。

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(翻訳者:エムディファヒムルアラム)
(記事ID:824)