バングラデシュの重要性を前面に押し出すマタルバリの成功:日本の大使
2021年11月28日付 Prothom Alo紙


公開: 2021年10月15日 午後3時8分
外交記者:ダカ

コックスバザールのマタルバリの深海港が完全に開港されれば、バングラデシュだけでなく、この地域の発展への新たな側面の幕開けとなる。地政学的背景により、この深海港の成功はバングラデシュの地理的重要性を前面に押し出すだろう。
今週木曜日の午前中に国立記者クラブで開催されたイベントで、日本の伊藤直樹大使がこのことを述べた。このイベントは、バングラデシュ外交特派員協会(Diplomatic Correspondent Association Bangladesh-DCAB)によって開催された。
質疑応答前の冒頭演説で伊藤直樹は記者団に対し、日本はバングラデシュとの関係性を発展させるため、新型コロナウイルス感染によってもたらされた状況に立ち向かうこと、経済パートナーシップ、自由で開かれたインド太平洋の構築、そして文化協力-この4点に力を入れていると述べた。
日本は地政学的競争を念頭におき、インドと太平洋の周辺でインド太平洋戦略(Indo Pacific Strategy-IPS)において、バングラデシュは味方となると語った。これに対して記者団に尋ねられると伊藤直樹は、“マタルバリ深海港は日本のBig-B(The Bay of Bengal Industrial Growth-Belt Initiative―ベンガル湾産業成長地帯)の一部であり、Big-Bにおいては自由で開かれたインド太平洋構想が述べられている。実際にこの計画を実現するにはマタルバリ深海港に対する我々の投資が必要不可欠である。これは単にバングラデシュだけではなく、この地域の発展への新たな側面の幕開けとなり、結果としてマタルバリの成功はこの地域の地政学的な背景から、バングラデシュの地理的な重要性を示すことにつながる。インド太平洋構想の実現において、バングラデシュは日本のパートナーとなり得る。この構想の主な方針にバングラデシュも賛同の意を示している。バングラデシュもこの地域の平和、安定そして経済的な繁栄を望んでいる。我々は、“バングラデシュが望まないような協力を押し付けるつもりはない”と述べた。

<ロヒンギャ危機の解決>
日本の大使は、ロヒンギャの人々を本国へ送還するにはラカインに安全な環境を整えることが必要であると述べた。そこでは軍によるクーデターにより、早急にロヒンギャを送還することが困難になっている。ロヒンギャの本国送還のために、ミャンマーに対する国際社会の圧力を継続することが必要である。大使は、ロヒンギャの一部をコックスバザールからヴァシャンチョルに移動させることは成功するだろうと述べた。
ミャンマーに対し国際社会による圧力がどのように行えるのかということについて尋ねられると、ダカにおける日本のトップ外交官は、国際社会がどのように行動を取るかにかかっていると述べた。このことについては、ミャンマーと直接やり取りを行ってなされる可能性がある。また、国連においてミャンマーに対する決議を採択することによってもなし得ると述べた。
ロヒンギャ問題の解決に対する日本・ミャンマー間の協議やラカインにおける財政援助について尋ねられると伊藤直樹は、ミャンマー軍によるクーデターが起こる以前から本国送還について当該国政府と話し合ってきていると述べた。日本はロヒンギャのために、これまで2億1400万ドルの援助を行った。このうち6,400万ドルはラカインの発展のために提供された。彼は、ロヒンギャ問題を解決するため、日本が何もせずにただ黙ったままであるとは思っていない。私たちは主役の立場にはいないかもしれないが、我々は我々なりに行動している。この地域の平和と安定のために、ロヒンギャ問題の解決は重要だとも述べた。

<日本により11月のワクチンが送られる>
来たる11月、日本はコバックス(COVAX)を通してバングラデシュにワクチンを送る予定である。日本は今年7月と8月にバングラデシュにアストラゼネカ社のワクチンを300万個贈呈した。日本の大使はまた、今年の年末か来年初めに集中治療センター(ICU)を含むバングラデシュの病院に対し、必要な機器を提供するつもりであるとも述べた。

<ビジネス環境の発展に集中>
日本の大使はバングラデシュの大規模なインフラストラクチャー計画の状況に触れ、インフラストラクチャーの発展によって今後5年の間でバングラデシュの姿は変わるだろうと述べた。その際、バングラデシュはその恩恵を受けることができる。今世紀、アジアの成長率は非常に高い。日本貿易振興機構(Japan External Trade Organization-JETRO)会員企業の70パーセントがバングラデシュでの事業拡大を熱望している。昨年と比較して、今年の7月-9月期に両国間の貿易は10パーセント増加した。
しかし大使は、外国から希望通りの投資を呼び込むにはバングラデシュのビジネス環境の改善に重点を置いた。伊藤大使は、電子送金と外国人の投資家への現金インセンティブにおける不平等の状況について言及した。
伊藤直樹は、アジア諸国の中でバングラデシュとパキスタンでは電子送金の機会がないと述べた。また、外国人投資家には金銭的なインセンティブが提供されていない。外国投資を誘致するためには、これらの課題を解決することが重要である。
大使によると、ナラヤンゴンジョのアライハジャルとチョットグラムのミルショライの経済特区の成功は、バングラデシュに対し、この種の第3の投資をもたらす可能性がある。

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


(翻訳者:ラフマン ヌール瑠美花)
(記事ID:1001)