シェーク・ハシナ首相の日本訪問

2014年08月09日付 Prothom Alo 紙
(5月29日付)
シェーク・ハシナ首相の日本訪問はさまざまな理由で重要かつ意義深いものだったと思う。首相は日本の安倍晋三首相との会談以外にも、日本のビジネスリーダー、バングラデシュの独立戦争の時の友人たち、さらには若い世代との意見交換をおこなった。こうした対話が協力の扉を開くものであることは言を俟たない。
首脳会談の後バングラデシュ政府と日本政府が発表した共同声明では、両国のパートナーシップの新しい時代が始まったと謳われているが、これを単なる儀礼的なものと考える理由はない。両首相は世界平和と安定の確立、経済協力の推進、地域の繁栄実現のためにともに努力する決意を表明するかたわら、両国間の連繋強化を強調した。今後両国の外務次官による定期協議が行われることが今回決まった。それ以外にも投資、貿易、教育、情報工学および文化における協力についても実りのある協議が行われた。1972年の国交樹立以来、日本はバングラデシュの社会経済発展において、単独国としては最大の約110億ドルの支援を行なって来た。
しかし今回の首相訪日の最重要事項は、インフラ整備のために日本が行なうことになった60億ドルの支援が発表されたことだろう。日本は今後4年から5年の間に、ガンジス河堰、ジョムナ河の川底を通る多目的トンネル、ジョムナ河上の鉄橋、ダカのイースタン・バイパスの建設などの計画に協力することを約束した。
現代は外国からの援助だけである国の自立の道が開けるような時代ではないことを思い起こすべきだろう。そのためにも日本の経済界に対し、シェーク・ハシナ首相がバングラデシュへの投資を増大する呼びかけを行なったことは、適切だったと言える。首相は日本企業専用として、輸出加工区に40の区画を用意することを表明した。
しかし大事なことは、日本のこうした支援を受けるためには、バングラデシュが開発と投資のための望ましい環境を確かなものにしなければならないということだ。どのプロジェクトにせよ実現のためインフラ的必要条件、すなわち電力やエネルギーの確保という点を満たす必要がある。さらにプロジェクトの実現には、真摯な態度、透明性、説明責任を果たすことと並んで有能な人材が不可欠となる。また政治的安定が不在だと、巨大プロジェクト実現が頓挫する不安がつきまとう。
そのことから言って、日本の支援を多としつつも、私たちが主張したいのは、約束された日本の支援がどれほど国民の社会経済生活の向上に役立つかのカギは、支援を受け、それをどのように生かすかにかかっているということだ。これに関連して、ポッダ橋計画のことを思い起こしたい。この計画については初めの段階で世界銀行などからの支援の約束を取りつけながらも、バングラデシュ側の不透明性と不当行為の疑いで、その支援が白紙に戻ったのだった。支援を取り消した支援団体の中には、日本のJICAもあった。
今回の日本の協力は、バングラデシュにとって朗報であることは間違いない。しかしそれを活用することに私たちは全力を傾注しなければなるまい。


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翻訳者:山口・小林・伊藤・小俣・関谷
記事ID:339