私の里はシレット
2014年10月29日付 Prothom Alo 紙
(10月16日付)
「ツグミさん、ツグミさん、みかん色頭のツグミさん、あなたのおうちはどこなの?わたしのふるさとはシレットです…」。
子供たちのための副読本に載っているこの「みかん色頭のツグミ」という遊び歌は長い間読み継がれてきた。この歌ではミカンの栽培で知られるシレットが、このレモン科の美味な果物のふるさととして歌われている。シレット地方の丘陵地域でのミカンの栽培は今は以前のように盛んではない。国の他の地域のように、シレットもまた、ミカンは輸入に頼っている。しかしシレットのミカンの季節は、「ふるさとミカン」の実りで始まる。
今週に入ってシレット各地の生鮮市場では、「シレットミカン」や「ふるさとミカン」の名で知られる、地元産のよい香りのミカンが出始めた。「みかん色頭のつぐみ」のふるさとのミカンがさかんに売り買いされている。
シレットで季節の果物卸売りの中心となっているのはコドムトリ地区だ。そこの果物業者はいま、ミカンの販売に忙殺されている。地区のいくつかの果物市場を回ってみると、輸入品のミカンよりすこし小さ目のミカンが売られていた。緑にすこしだけ赤みがかった色をしている。味は通常のミカンには少し足らないものの、香りは素晴らしい。はしりの時期に市場に出せば需要も多く、良い値がつくという期待から、業者たちはミカンを市場に出し始めたのだ。シレットの農業振興局によると、これらのミカンの味の特徴は甘酸っぱさだ。地元で栽培されるため、「シレットミカン」や「ふるさとミカン」の名で呼ばれている。
農業振興局は2001年ごろ、地元産ミカンの生産拡大のためのプロジェクトをスタートさせた。「シレット管区内総合的ミカン栽培増大計画」と名付けられたこのプロジェクトでは、8年間に8千以上のミカン園を開く構想があった。2001年7月から2006年6月までプロジェクトの第一段階が進められた。シレット管区内の4県で250のミカン園を作るための場所が確保され、5000のミカン農家に対する研修が行なわれたあと、プロジェクトの期間は2008年6月まで延長された。しかしその後、計画の進展はなかった。
プロジェクトは終了しても、ミカン栽培に対して農家の関心を高めるために農業振興局は積極的な活動を続けているとシレット農業振興局のモハンモド・アブ・ナセル副局長は語る。ナセル副局長によれば、「シレット管区内総合的ミカン栽培増大計画」実行の関連で、現在シレット地域では282ヘクタールの土地でミカン栽培が行われている。次の目標は、生産量を1470トンまで増やすことだ。
シレットの季節の果物取扱業者によれば、輸入物のミカンが市場に出るまでにはあと3週間ほどかかる。それまでの期間の需要を満たす国産のミカンとしてシレット産のミカンが売買されている。シレット県のビアニバジャル、ジョインタプル、カナイガートそしてジョキゴンジョ郡などインドとの国境近くの地域の丘陵地帯以外にも、シュナムゴンジョのチャトク、モウロビバジャルのジュリ郡産のミカンも市場に出回っている。
コドムトリの卸売り市場で出会ったミカン業者のアブドゥル・バリクは、「今年は天候が良く、ミカンも豊作だった」と話していた。カナイガートのムモタジゴンジョとジョキゴンジョのアートグラム場では、週の定期市の際、ミカン市場が開かれる。バリク氏ら業者はそこから卸値で仕入れ、シレット市などの市場でさばく。卸売業者のモハンモド・モイヌッディンによれば大きさや形により1ハリ(4個)単位で10タカから20タカ(15円~30円)の値をつけているという。小売値では30タカから40タカ(45円~60円)になる。
同じくコドムトリで卸売価格で業者からミカンを買っていた教師のロエル・パールは、「みかん色頭のツグミ」を引き合いに出してこう言った。「シレットはミカンで有名なことは皆知っています。しかし需要が全部輸入ミカンでまかなわれているということは、ほとんど知られていません。国産のミカンでもしこの季節を国産のミカンで満たすことができたなら、シレットは文字通り『「みかん色頭のツグミ」の里になれたのでしょうけれど」。
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翻訳者:小林加奈
記事ID:354