リビアで26人のバングラデシュ人殺害(社説)
2020年05月31日付 Prothom Alo 紙
リビアで起きた26人のバングラデシュ人を含む30人の外国人殺害事件に私たちは心を痛めている。残忍なこの殺人事件を強く非難する。人生の転機を求めて国を離れたバングラデシュ人の若者の、このような心無い死と哀れな結果は本当に耐えられない。
報道によれば、昨年12月にバングラデシュから38人の若者がインドとエジプトを経由してリビアに渡った。そこからイタリアに行くことが彼らの目的だった。しかし、何人かのスーダン人とともにバングラデシュ人の若者もリビアで2回誘拐された。1回目の誘拐後は身代金を払って解放された。しかし2回目には要求通りの金を支払うことができず、誘拐犯たちは人質たちに激しい暴行を加えた。そしてある段階で若者たちは誘拐犯グループの先導者を含む二人を殺害した。この復讐として、誘拐犯たちは人質に向けて銃を乱射し、26人のバングラデシュ人と4人のスーダン人が亡くなった。リビアのバングラデシュ大使館とは常時連絡が保たれており、外務省もリビア政府と会談を行って殺害事件への対抗策と損害賠償を要求した。
政治的混乱が原因で2015年からリビアへの人材輸出は停止されていたが、それでもバングラデシュ人の渡航は止まっていない。人身売買業者は多額のお金と引き換えにこの仕事を行っている。バングラデシュは長い間人身取引の送出国として使われてきた。アメリカ国務省の報告書でもバングラデシュは最も人身売買の恐れがある国のひとつとされている。
バングラデシュには人身売買禁止法があるにもかかわらず、適切に運用されていない。さらに法律は抜け穴だらけである。(東北部の)シレットで何人かの人身売買業者が告発されたものの、仮釈放となった。成功を夢見る若者たちは人身売買業者たちの悪巧みにはまり、異国の地で耐え難い生活を強いられることとなる。事故で亡くなる人も多い。数年前、タイとマレーシアで発見された集団墓地でも何人かのバングラデシュ人の遺骨が見つかっている。
外務省はリビア政府に対して、バングラデシュ人殺害事件の賠償と犯罪者たちを裁きにかけることを要求している。しかしこれで何らかの成果が得られるかどうかは大きな疑問だ。私たちにとって大事なことは、国内の人身売買組織を根絶することである。それができていないために、このような事件が絶えることなく起こっている。国内の人身売買組織の働きかけと活動がなければ、若者たちはこの恐ろしく危険に満ちた無法の道を選ぶ気にはならなかっただろう。
AK・アブドゥル・モメン外務大臣は、人身売買業者に対して対策を講じなければこのような殺人は終息しないと述べている。しかし、誰がそれをするのか。外国の人身売買組織には手が届かないとしても、政府が国内の業者に対して対策を講じることができないのはなぜか。人身売買を禁止する法律ができてから施行されるまでになぜ7年もかかったのか。なぜこの問題を扱う特別法廷が設置されなかったのか。誰がこうした問いに答えるのだろうか。
合法的あるいは非合法的、どちらの方法にせよ出国したバングラデシュ人がもたらす外貨がわが国の経済の大きな活力となっている。海外送金は国の外貨収入の最大の供給源である。しかし残念なことに、こうした人たちの身の安全を守るために、政府による相応動きは見受けられない。
バングラデシュは人身売買の恐れがある国とされている。これは私たちにとって恥辱である。人身売買組織への対策と並行してその危険性に関して国民の見識を高めなくてはならない。予期しないことが起きると関係機関や組織が一時的に動き出すことが見受けられるが、危険で恐るべきこの人身売買撲滅のために、常時最大の監視を実行する実行する以外に方法はない。
この記事の原文はこちら
翻訳者:尾崎彩奈
記事ID:877