アメリカ国務省専門家、在テヘラン・アメリカ領事館開設を提案 シャルグ紙
2005年10月08日付 Sharq 紙

2005年10月8日付シャルグ紙5面

【政治部】アメリカ国務省の専門家らは、イラン新政権との外交チャンネルを作り出すために、アメリカの利益代表部をイランに開設し、アメリカ領事をテヘランに駐在させるとの提案を行っている。

 アメリカ大統領の上級補佐官らは木曜日、ワシントンでの会議において、アメリカの対イラン政策について意見を交わした。アメリカ国務省の専門家らは、報告書の要旨を配布したが、注目すべきは、同報告書においてアメリカとイラン新政権との外交チャンネルの拡大が提案されていることだ。もっともアメリカの国務省報道官は、利益代表部の開設を〔イラン側に〕公式に要請する予定はないとしたが、インターネット・ニュース・サイトの『ファルダー(明日)』(イラン第7議会の原理主義派議員であるアフマド・タヴァッコリー氏に近い)が引用するウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道によれば、イランとの外交チャンネルを拡大しようとのアイディアは、アメリカの政府関係者らが、イランの核計画を阻止し、「イラン国内の政治的変化を促す」方法について検討した際に提起された、一連のアメとムチの一部を構成するものであるという。

 アメリカ財務省もまた、ホワイトハウスでの会合の準備にあたり報告書を作成し、その中でイラン政府が核活動の停止やヨーロッパとの交渉への復帰を拒んだ場合に、アメリカがイランに対して加えることの可能な、経済的圧力の一部リストを提示している。

 アメリカのある政府関係者はホワイトハウスでの会議が開催される前、木曜に開かれる会合では、いかにイランを民主化させるかが議論の中心になるだろうと語っていた。アメリカ国務省が出した報告書では、いくつか想定可能な取り組みが提起されており、その中には、イラン国民に向けたペルシア語でのテレビ放送の開始やイラン国内で民主化の普及に努力しているNGOへの資金供与の増額、さらにイランに焦点を合わせたペルシア湾岸地域広報外交事務所の設立などが含まれている。

 アメリカ国務省の専門家はまた、大きな物議を醸している自らの提案の中で、イランが自らの振る舞いを正す意思があるのかどうかを試すことを目的に、アメリカはイラン政府とのより直接的な外交チャンネルを作ることも検討の対象として排除すべきではないと述べている。上記の報告書を読み上げたアメリカの政府関係者の話では、アメリカ政府は、イランでアメリカが保持しているわずかな権益を保護するために、領事業務を担当する職員らが駐在する利益代表部をテヘランに開設することを〔イランに対して〕提案することもありうるという。

 政府関係者らは、イランの新保守派やマフムード・アフマディーネジャード大統領に対して、何ら幻想を抱いているわけではないと語る。実際彼らの何人かは、イラン政府がアメリカ側の提案を拒否することになっても、イランとヨーロッパ両方の世論におけるアメリカに対する信用と人気が高まるのであればことで、結果としてアメリカにとって二重の利益をもたらすだろうと述べている。

 ライス国務長官がホワイトハウスでの会議において、報告書のいずれかの提案を推し進めようとしているのか否かについては明らかではないが、次官級政策担当者委員会のメンバーの間にも報告書が出回っていたことを考えれば、同長官は以前からこの考えを暗に支持していたものと考えられる。ウォール・ストリート・ジャーナル誌は、イランとの外交チャンネル拡大をアメリカ国務省が支持していることは、コンドリーザ・ライス国務長官の権力と自信の程を表すものであると記している。ライス長官は、ブッシュ政権1期目には、対イラン・北朝鮮政策をめぐる中道派と急進派の争いでは脇役を演じていたが、ここにきて両政策を主導する立場にのし上がった。

 他方、アメリカのショーン・マコーマック国務省報道官は、木曜日の定例記者会見において、イランに関して質疑応答を行った。イランとの交渉再開の用意の有無に関して、ヨーロッパの同盟国から何らかの情報を得ているか、との質問に対し、同報道官は「あなた方にお伝えするような新たな情報は有していない。われわれはこれまでイラン側に対して、ヨーロッパ3カ国との交渉に復帰するよう促してきたが、これに関しても改めてお伝えするような特別な情報を有しているわけではない」と回答した。

 同報道官はアリー・ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記がダマスカスへ赴き、シリア大統領と会談を行ったことについて、次のように語った。「イランは、今後どのような進路を取ろうと考えているのか、決断する時期にきている。すなわち、国際社会からさらに孤立し、国際社会に対してさらに無関心のままでい続けるつもりなのか、あるいは、ヨーロッパ3カ国より与えられた機会を活用しようと考えているのか。数日後、数週間後、事態がどのようになるのか、見守っていきたい。最近のIAEA理事会において、イランは国際社会の義務を遵守しておらず、核活動をめぐる政策決定過程に関しても一連の疑惑が存在している、との決議が下された。また、この決議の一部として、IAEAから安保理に対して報告書が提出される可能性もある。。さて、この安保理に提出される報告書というものが、イランの協力や国際社会における義務の遵守との関連で、いかなる内容を含むかは、イラン次第である。したがって、イランが自らの措置や決定に基づき、いかなる進路を選択するのかを、われわれは今後見守ることになろう」。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:1069 )