トルコの鳥インフルエンザ、高病原性のH5N1型と判明(Milliyet紙)
2005年10月14日付 Milliyet 紙

 EUは、トルコで発生した鳥インフルエンザのウイルスが死に至らせる確率が最も高く、かつ人間へ感染するH5N1型であると発表した。ウイルスが高病原性であると判明したことからトルコからEUへの家禽類輸入の禁止期間が2006年4月30日まで延期され、トルコへの渡航者にも警告が出された。また、ルーマニアでも鳥インフルエンザが検出された。EU委員会保健・消費者保護担当のマルコス・キプリアヌ委員は「トルコで発生したウイルスが高病原性のH5N1型だと確認され、トルコで発生したウイルスがロシア、モンゴル、中国で確認されたものと直接関係があると判明した」と述べた。

■渡航警告

 ウイルスがH5N1型だと判明し、EU諸国からのトルコ渡航者に対して警告が発せられたことも話題となっている。渡航禁止ではないにしても、EUはトルコやルーマニア、その他のウイルスが検出された国々への渡航者に対して、農場には近寄らないこと、そして野鳥には手を触れないこと、との警告を発令した。EUは各国国境内での農場や渡り鳥生存域一帯の安全対策を強化するよう呼びかけた。

■最低6ヶ月は継続
 
 欧州委員会は鳥インフルエンザの発生を理由にトルコからの家禽類・羽毛の輸入を禁止し、この対策が少なくとも6ヶ月は継続されるだろうと述べた。食物連鎖・動物衛生常設委員会も輸入禁止期間を2006年4月30日まで延長することを決定した。

■標準的な対策

 この対策はトルコだけに対して実施された訳ではない。EUの担当者らはこの決定がWHOの規定により同種の伝染病が確認された国々に対して行われる標準的な対策であると述べている。生きた家禽類、さらに家禽類の卵・生肉のトルコからの輸入は以前から禁止されていたのでこの分野で新たな対策は取られなかった。

■エケル農相との電話会談

 キプリアヌス氏はメフディ・エケル農相と電話会談にて協議し、来週にもEU代表者がトルコを訪れ調査を行うことが予定されている。

■伝染の恐れ

 キプリアヌ氏は鳥インフルエンザ用のインフルエンザ・ワクチン接種の必要性を強く訴えた。同氏は、世界中で鳥インフルエンザの伝染性が懸念されていることを述べ、「未だ人間のためのワクチンはない。我々が心配しているのはウイルスが突然変異を起こし人間にも感染するような変化を起こすことである」と話した。インフルエンザ・ワクチンが製造されればこの突然変異の発生を妨げることができることに注目し、加盟国に対してインフルエンザ・ワクチンの在庫を増やすよう要請した。トルコにてH5N1型のウイルスが検出されたことは世界の医療専門家たちに警告を発したが、国連は高い伝染性は予想されないと発表した。

■緊急会合

 トルコで発生したウイルスがH5N1型だと判明し、さらにルーマニアでも鳥インフルエンザが検出されたことによってEUでは緊急会合の開催が矢継ぎ早に提起され、食物連鎖・動物衛生常設委員会は昨日また緊急会合を行った。今日は鳥インフルエンザや渡り鳥の専門家らによる会合が開かれる予定である。この会合の中心的な目的は渡り鳥のEUにもたらす脅威について協議することであった。EUの各保健大臣も「ウイルスへの対策を練る」ために来週会合を開く予定である。また、EUでは鳥インフルエンザ対策のために10億ユーロ規模の基金設立が決定した。

■ルーマニアへも対策

 最初の検査で鳥インフルエンザが検出されなかったルーマニアでは二度目の検査が行われ、鳥インフルエンザ・ウイルスが検出された。確認されたウイルスはH5型であったが、このウイルスの種類はまだ確定していない。EUの専門家らはトルコで検出されたウイルスと同型のH5N1型である可能性が高いとしている。よってEUはトルコに対して実施している全対策をルーマニアに対しても行うことを決定した。
 そのような中で、セルビア・モンテネグロでは人々が鳥インフルエンザを恐れ、マスクの売り上げが急増した。二日間で二万個のマスクが売れ、薬局ではタミフル・インフルエンザ薬が売り切れる事態になった。対策を取らないと発表したドイツにおいても一般民衆は鳥インフルエンザを恐れて抗ウイルス薬の買い溜めを始めたようだ。

■人への伝染の確率は低い

 鳥インフルエンザの人への伝染の危険性はあるが、頻度は低い。鳥インフルエンザは1999年以来、家禽類の100万羽もの死や殺処分の原因となっているが、ヒトへの伝染が確認されたのは2003年からである。現在までに死因が鳥インフルエンザの感染と公式に確認されているのは60人である。これらの死亡者は全てアジア諸国で確認されている。ヨーロッパでは死亡者はまだ出ていない。


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( 翻訳者:永井 ひとみ )
( 記事ID:1089 )