自ら生計を立てねばならない女性をめぐる問題:アルダビール州の事例 シャルグ紙
2005年10月02日付 Sharq 紙

2005年10月2日付シャルグ紙21面

〔訳注:イランでは(近年都市部で変化しつつあるものの)一般的に、女性は妻として男性に扶養してもらうという考え方が、社会通念上当然のこととされており、イスラーム法でも専ら男性にのみ、妻・子供に対する扶養義務が存在すると理解されている。以下の訳文にある「夫から生活費を受けていない」という表現は、このような背景を念頭にご理解頂きたい〕

【アーイェディーン・ファランギー】アルダビール州の女性を中心に実施された調査によって、夫から生活費を受けておらず自ら生計を立てざるを得ない女性の大半が非識字者で、子供が多くいることが判明した。

 「夫から生活費を受けておらず、自ら生計を立てざるを得ないアルダビール州の女性の社会的・経済的問題に関する調査」と題された調査の結果、同州の夫から生活費を受けていない女性の62.8%が非識字者で、高等教育まで教育を受けた女性は0.2%にすぎなかった。

 総合すると、夫から生活費を受けていない女性の93%が非識字者か、あるいは初等教育までの学歴しかないことも判明した。また、このような女性のうち子供が6人いる女性がもっとも大きな割合を占めた(32.8%)。同様に、子供が5人いる女性は、13.6%を占めた。

 アルダビール州行政企画庁の指示によりマスウード・ズィールダスト氏によって実施されたこの調査の結果、夫から生活費を受けていない女性で最も大きな割合を占めたのが、50歳以上の年齢層の女性(32.1%)であり、逆に最も割合が小さかったのは30歳以下の年齢層の女性(13.3%)であったことも分かった。

 これらの女性の中で最も多かったのが、夫の死亡によって扶養されることが不可能となり、自ら生計を立てることになった女性で(60.2%)、夫から生活費を受けていない期間が5年以上になる女性は、彼女らのうちの66.5%を占めた。また老齢のため夫に仕事ができない(17.6%)、離婚(4.7%)、夫の麻薬中毒(2.1%)が、夫から生活費を受けられない別の要因となっている。

 また、夫から生活費を受けておらず、自ら生計を立てている女性の大多数がが自宅を所有し(72.4%)、13.1%が親類縁者の家で生活、11.2%が借家人であることが明らかとなった。

 これらの女性がどのように保護されているかに関して、この調査は以下のような調査結果を明らかにしている。

 夫から生活費を受けていない女性の78.8%が、以下に挙げるいずれかの生活保護団体の保護を受けており、それらは順に、「生活支援委員会」(53%)、「社会保険庁」(22.15%)、「社会福祉庁」(13.17%)、「殉教者財団」(11.68%)となっている。もちろん夫から生活費を受けておらず、代わりに生活保護を受けている女性の88.5%は、これらの生活保護団体から支給される生活費を除いて収入源を持っていない。

 同調査はまた、夫から生活費を受けていないアルダビール州の女性のうち、21.1%が生活保護も受けていないことの理由についても調査し、次の結果を得た。すなわち、これらの女性のうち、27%が「周囲が反対しているから」、23%が「担当者がケアしてくれないから」、19%が「生活保護を受ける女性に対して世間が誤った見方をしているから」を原因として、生活保護の下に入る機会を失っている。夫から生活費を受けられず、自ら生計を立て、生活保護も受けていない女性のうち、26%が働いて生活に必要な金を得ている。また、15%は家族からの援助、11%は他の人々の援助、また7%は車や店舗、家屋の賃貸で生計を立てている。夫から生活費を受けておらず、また生活保護も受けていない女性の45%は、ひと月に5万トマーン〔約6100円〕以下の収入しか得ておらず、25%はひと月5万1千〜10万トマーン〔約6200円〜12200円〕で生計を立てている。

 この調査はさらに、夫から生活費を受けられず、自ら生計を立てているアルダビール州の女性に関して得られた結果に対し、以下のような分類も行っている。それによると、自分とその家族の将来の経済状態を不安に思っている女性が最も割合として多く(58.8%)、次いで56.7%が経済的に自立していないことを主な問題として挙げている。また、どのように子供を養育・教育し、家庭内の様々な問題を切り盛りしていくかに不安を抱いている女性が35.4%、失業を不安視している女性が34.4%であった。

 その他、夫から生活費を受けていないアルダビール州の女性らが抱える問題として、社会における経済的・社会的援助が欠如していること、精神的に危険な状態に陥りそうになること、住宅の問題、最低限必要な生活費が得られないこと、衛生状態や社会福祉の点で改善の可能性がみえないこと‥‥などが、彼女たち自身が付した問題の順番として挙げられている。

 アルダビール州では、女性人口の5.4%が家計を支える世帯主となっており、この数字は都市部では4.8%、農村部では0.6%となっている。〔注:都市部の数字が8.4%である可能性がある。というのも、4.8%と0.6%では、全体で5.4%にはならないため〕

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( 翻訳者:村上遥 )
( 記事ID:1112 )