都市に居住する世帯の7.22%が最低限以下の居住環境で生活:住宅都市建設省の報告
2005年10月27日付 Hamshahri 紙

2005年10月27日付ハムシャフリー紙

【ファールス通信】イラン国内の都市世帯全体のうち、7.22%が合法的な住居をもたない《ホームレス》であり、最低限以下の居住環境で生活していることが分かった。これらの世帯が自らの住まいを確保するためには、公共部門の広範な支援が必要である。

 住宅都市建設省が作成した報告書によれば、都市の低所得者居住地区という意味での、いわゆる貧民街に住む人々は、国内の全都市人口の6.9%を占めている。このような居住地区は、国内の64都市で拡大しており、約520万人の人口を抱えている。

 同報告書では、住居や貧民街の問題が危機的な状況にある地域について触れられており、「この重大問題が起きているのは、主として大都市や、州・地方行政区の中心地へと変貌を遂げた都市である」と指摘されている。また、同報告書によると、合法的な住居を持たない都市のホームレス世帯の24%が貧困ラインと富裕ラインの中間に位置しており、住宅ローン制度の拡充と便宜が図られるなどの方策が採られれば、みずからの居住環境を高めることが可能であるという。

 さらに同報告書は、貧民街が増加した原因を次のように説明している。「合法的な市場での住宅価格の上昇が、低所得者らによる土地の不法占拠の原因となっている。また、貧民街が生まれる背景として、土地を不法に分譲したり、一部の譲渡不可のワクフ地を売却するなどの、不法な土地取引によって、安価な土地や住居が不法に供給されていることが挙げられる」。〔注:ワクフ地とは、土地の有力者などが自らの私有地を公共の目的のために寄進した土地のことで、こうして寄進された土地は私有権が「停止」(ワクフの原義は「停止」の意)されるため、本来売買ができない〕

 その上で同報告書は、都市の貧民層居住地区に見られる基本的な特徴として、そのような地区では特に飲用水が十分確保できないことに言及し、「住宅構造の質が低く、適切な衛生環境が確保できていないことが特に問題であり、都市の貧民層居住地区の改善にあたっては、同問題を考慮する必要がある」と指摘した。同報告書はまた、「労働者用の社宅建設の減少と低所得者用の住宅供給制度の不在が、住宅の賃貸部門の規制緩和や公共住宅の所有権譲渡付賃貸への転換と相まって、都市における貧民街の拡大の一因となった」とも論じている。

 さらに同報告書は、都市の世帯数の急速な増加や低所得者層の拡大が、土地の不法占拠を促すもう一つの要因であるとし、「住宅の賃貸市場が適度に拡大しておらず、住宅部門全体の傾向として不動産付き家屋の建築に向かう傾向にあることも、その主な原因の一つである」とつけ加えている。

 住宅の賃貸価格は、イラン暦1376年から1382年〔西暦1997年から2003年〕の間、年に8.16%上昇しており、住宅価格の世帯所得に対する割合も、2.6倍から6.8倍に上昇していると報告書は記している。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:1194 )