Ismet Berkan コラム:EU加盟の新たなロードマップ(Radikal紙)
2005年11月10日付 Radikal 紙

欧州委員会はトルコのプログレスレポートだけでなく新たに加盟パートナーシップ文書(KOB)をも発表した。両方とも重要なものだが、どちらかと言えばKOBが優先項目だろう。そこで今日はKOBについて話そうと思う。その後でもプログレスレポートについて話す時間は十分にあるのだから…


新KOBには旧KOBと同様に短期・中期の目標が盛り込まれている。この目標を我々は認められた期間内に達成しなければならない。短期というのは1~2年、中期は3~4年のことである。私の計算が正しければ短期に達成する必要のある目標は151、対する中期の目標は79項目である。つまり、最初の2年間は後の2年間よりもきついものとなる。これは単に目標の数からというだけでなく、トルコが過去に苦しんできた民主化や人権、少数派の権利、慎重を要する外交政策と関連した目標が全て短期目標に組み込まれたことからも言えることだ。反対に中期目標には政治的と見なされる項目はただの一つもないと言ってよい。

KOBは達成するべき目標として挙げた全230項目が法律や行政上で改革されるだけでなく、実施されることをも求めている。例えばKOBに書かれたいくつかの要求はもう何年も施行されている法律が適用されることと関連している。
非常に重要でありながら回答がないままになり兼ねない要求もある。例えば、国家の安全保障戦略の形成における市民のより大きな貢献ということに関した要求には、トルコ側は間違いなく「我々はもうすでにやっている」と言うだろう。しかしEU側はいくつもの欠陥を見つけるのだ。

さらにKOBにある要求は多くの憲法改正を必要とする。今度はトルコにとっても共和人民党にとっても良い知らせである。KOBは国会議員の不可侵権を欧州の国々の標準に合わせるよう求めている。つまり、遂に国会議員の不可侵権が廃止されるのだ。あと2年で!(悲しいのはこれを自らやるのではなくEUにせかされてやるということだ。)
もう1つの朗報は、現在国家公務員に適用されている倫理規定が、選挙によって選ばれた代表者にも適用されるようKOBが求めていることだ。つまり、とうとうトルコに国会議員と大臣たちに対する倫理規定ができるということだ。
同様に、政党の財務も欧州の国々のように管理されること、欧州標準になることは我々国民にとってはうれしい知らせだ。しかし政治家たちはおそらくあまり喜ばないだろう。そもそも私が考えるに、政治家たちを最も悩ませるのは不可侵権、倫理規定、財務に関する要求だろう。


悩ませると言えば、もちろんトルコを悩ませる項目もある。この筆頭にはキプロス問題が来る。KOBでは2箇所にキプロスが登場する。1つは章の題名がまさに「キプロス」というもの。要約すると、アンカラ協定の追加議定書の完全実施が第1の要求。第2の要求は「キプロス共和国を含む全EU加盟国との2層の関係の正常化に取り組むこと」。ここでEUの使った言葉が私の注意を引いた。「キプロス共和国を含む全EU加盟国」…。なんだというのか、キプロスは当然加盟国じゃないのだろうか。

第1の要求から理解するべきなのは、港湾と空港をキプロス共和国の旗のついた船や飛行機に解放することだ。第2の要求はキプロス共和国を認める道で一歩を踏み出すこと。しかしこの章の最初の項目では国連の枠組みにおいてキプロス島の分裂に終止符を打つための包括的な協定のためにトルコが協力することも求められている。(もしも同じことがキプロス共和国にも求められていたなら良かったのだが…。)この港湾問題はどうやらEUにとって重要なことのようだ。同じ事項がすぐに別のところに登場する。そこでは名前もはっきり「キプロス共和国旗を揚げる船の妨害をしないこと」。キプロス共和国に本拠を置く商業機関に許可を与えることが求められている。2年の内にだ!

ここに書くべき事項、問題を産む可能性のあることは他にもあるが今日のところは紙幅が尽きてしまった。明日に続く…。




Tweet
シェア


現地の新聞はこちらから
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:加賀谷 ゆみ )
( 記事ID:1272 )