Ismet Berkan コラム:EUのくれた9万ページ分のノウハウ(Radikal紙)
2005年11月12日付 Radikal 紙

欧州委員会が作成し欧州評議会に提出したトルコに関する加盟パートナーシップ文書についてここのところ話をしている。まずは様々な理由でトルコを悩ませるであろう事項について書いた。昨日は国内少数派についてのEUの消極的な態度に言及した。今日はEUの良い面を取り上げてみよう。

何度もここで書いたことだが、トルコにとってはEUへの完全加盟の道のりは、少なくとも完全加盟それ自体と同じくらい重要である。この加盟への道のりにおいてEUは9万ページを越える、ほとんど全ての事項をカバーする膨大な知識の蓄積を我々に与え、その知識の蓄積に適った状態に我々がなったかどうかを間近にチェックする。さらにはお金までくれようというのだ!わが国の大企業は同じような知識の蓄積を手に入れるために大枚をはたいているというのに。

我々は、25年間もマルマラ海の汚染に対し行動を起こさず、イスタンブルでは海に入れない、以前あった魚の種類のほとんどを失った民の子孫である。自分からは何の行動も起こさなかったがEUのおかげで急ぎ行動をおこさなければならなくなった。そしておそらく近いうちにマルマラ海は救われるだろう。私が幼かった頃からイズミル湾の汚染が話題になっていたが、今でも話題になっている。この問題はちっとも解決されない。何年も海をきれいにしようと取り組んでいるが一向に成果が上がらないのだ。最近読んだ記事では成果に近づいたと書かれていたが、どうなのだろうか。


あなたは肉屋に行き、1キロの薄切り肉を買ったとしよう。その肉が健康に害を与えないか、またその肉の生産地に確信を持てるだろうか?私は神経質な人間なのでどこの肉屋でも買い物をするということはしない。これは父に習ってのことだ。多くの人も私と同じだろう。肉は適当な所から買わない。よく知った店から肉を買ったとしても実際は何の保障もないのだが、そうすることで少なくとも気は楽になる。

新KOBはどうだろう。全ての羊やヤギが身元を持つことを提言している。トルコの全ての食用・乳酪用動物が身元を持つということは動物の不法取引がなくなるということだ。まずそれが1つ。2つ目はこの動物たちを一生追跡できるということだ。トルコがずっとやらないできた、EUがなければ考えもしなかった、国民の健康の基本的な保護方法を我々はこうして外から追い立てられてやるのだ。農村地方と関係のある読者は時々見かけているかもしれないが、すでに家畜の耳には黄色や赤のプラスチックの輪が付けられている。耳輪のない家畜は農業省が没収することもできるのだ。

最近は乳酪業者の間で焦りが生じている。トルコでは年に1千万トン以上の乳汁が生産されているがこのうち「認可済み」のものは350万トンほどである。つまりそれが衛生的な環境で生産されていることがチェックされ管理された生産量である。我々は毎年、どんな環境で生産されたかわからない650万トン以上の乳汁を、ミルクとしてまたは乳製品として消費している。それでいて文句も言わない。EUは無認可の生産を認めない。認可済みの生産が350万トンならそれだけの輸出割当しか与えない。要するに近いうちに認可済みの生産を増やさなければその後は全く増やせないことになる。そして足りない分のミルクや乳製品を輸入しなければならなくなるのだ。それはおかしなことだが、対策を立てないとそのうち非常に悲劇的な状況に変わってしまう。なぜなら乳牛たちを屠ることになるのだから…


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( 翻訳者:加賀谷 ゆみ )
( 記事ID:1293 )