国会、石油相候補を三たび信任せず シャルグ紙
2005年11月24日付 Sharq 紙

2005年11月24日付シャルグ紙1面

【政治部:イーラジ・ジャムシーディー】マフムード・アフマディーネジャード大統領が三人目の石油相候補として推薦したセイエド・モフセン・タサッロティー氏の信任投票が昨日国会で行われ、その結果、同氏は信任を得ることに失敗した。

 投票に参加した261人の議員のうち、タサッロティー氏への信任票はわずか77票で、139名の議員が反対票を、38名が棄権票を投じた。7名の議員が投票を欠席した。こうして、アリー・サイードルー氏、サーデグ・マフスーリー氏の続き、三人目の石油相候補であったタサッロティー氏もまた、石油相の職に就くことはかなわなかった。

 国会が石油相候補を三たび不信任としたことは、内外の報道関係者に大きな反響を呼んだ。どの記者も、石油相不在が続く中、石油行政にどのような影響が及ぶのかという質問を、国会の議長団の委員らに向けていた。これに対し、国会議長や一部の議長団委員は、護憲評議会や公益判別評議会が憲法第135条の解釈につき、検討に入る必要があるだろうとの見方を示した。

 憲法第135条によると、大統領は3ヶ月間、代理を指名することで、省庁の運営を行うことができる。しかし、この期間内に大臣を決めることができなかった場合には、どうしなければならないのか、特に規定がない。

 一部の《原理主義派》の議員は、このような事態は予想されていたことであったと語る。このようなことから、国会の原理主義派議員からなる《四人委員会》は、信任投票前日の夜、大統領と連絡を取り、石油相候補に関する議員の全体意見を伝えていた。しかし大統領は、自らの選択を変更する意思はなく、その結果、国会の公開審議において大統領は自らの推薦候補に関して弁明を行い、しかる後に国会が賛否を投票で示すこととなった。このニュースは昨日朝一番に、議員や報道関係者らの間に広まり、議員らの間で早速話し合いが行われた。実際、国会の本会議場の隅の方で、数名の議員らが集まって話し合っているシーンが、数多く見られた。

 テヘラン選出のアフマド・タヴァッコリー議員は、本会議場の隅々を回り、議員らと話し込んでいた。公開の場で、報道関係者らの目の前で行われた投票において、タヴァッコリー議員が石油相候補に反対票を投じたことから、同議員の他の議員らとの話し合いは、同候補の不信任についてのものだったようだ。一部議員によると、同候補に信任票を投ずるよう、他の議員らの説得に動いた議員はいなかったとのことである。信任票を投じたある議員などは、他の議員と話し合いの機会を得た際、自らが信任票を投ずる意思について打ち明けることもできなかったという。

〔中略〕

 〔国会の本会議が開始されると〕タサッロティー石油相候補の弁明のために、アフマディーネジャード大統領は壇上に上がった。大統領は国会に対し、タサッロティー氏に立てられている噂に惑わされることなく、同氏に信任を与えるよう要請した。しかし、大統領はタサッロティー氏については多くを語ることなく、むしろこれまでの政権の成果と、それが直面している諸問題についての指摘に、時間を割いた。大統領は、石油省に存在する微妙な問題を取り上げたのは自分が最初であるとした上で、同問題に対する取り組みについては、これまで何度か指摘してきたので、繰り返す必要はないだろうと述べ、イランが直面している経済状況について論じ始めた。39兆リヤール〔約5千億円〕の財政赤字があること、400億ドルの海外債務をかかえていること、〔‥‥〕160兆リヤール〔約2兆円〕の以上の債務を国内銀行に負っていること、300万人以上の失業者がいること、貧富の格差が拡大していることなどの問題を、現政権が過去から受け継ぎ直面しているものとして挙げたのである。

 アフマディーネジャード大統領はタサッロティー氏に関する弁明の中で、閣僚選びの基準は政治的な動機に基づいてはおらず、タサッロティー氏が大統領選挙で誰に投票したかには関心がないとも述べた。大統領はまた、タサッロティー氏に関しインターネット上で立てられた様々な噂について批判し、対策の必要性を訴えた。大統領は演説の中で三度、この問題を取り上げ、最後に、タサッロティー氏を信任することで、国会と政府の間に対立をつくりあげようとする試みを挫くよう、国会に対し要請した。
〔*注:タサッロティー氏には、二重国籍疑惑などが持ち上がっており、また同氏は大統領選の際に、アフマディーネジャード大統領の対立候補であった改革派のモイーン氏を応援していたとも言われている〕

 アフマディーネジャード大統領の弁明演説が終わると、ブーイェル・アフマド選出で《原理主義派》のサッタール・ヘダーヤト=ハーフ議員が、信任反対の立場から演説を次のように始めた。「何週間も大統領の選挙戦での勝利に奔走してきた私にとって、大統領推薦の閣僚候補に異を唱えるのは、大変つらいことである。私はそのために、何度も神に願掛けを行ってきたし、私の息子などは一週間もの間、大統領の勝利を願って断食までした。しかし今、アフマディーネジャード政権の成功のためにも、大統領推薦の閣僚に異を唱えざるを得ない。なぜなら、第9期大統領の政権が成功を収めるか、はたまた失敗に終わるかは、世論の原理主義者に対する評価に直接的な影響を及ぼすからである」。

 ヘダーヤト=ハーフ議員は、タサッロティー候補に信任を与えることは、公益重視の立場から、好ましいものではないとの見方を示し、「同候補は、石油業界について、必要とされる経験及び専門知識を有していない」と続けた。同議員はさらに、タサッロティー氏は大統領と違い、石油省内部に《石油マフィア》が存在しているということを受け入れておらず、そればかりか明瞭で自立した意見をもっていないために、石油省を支配する既定路線の継続を支持している、と批判した。

 ヘダーヤト=ハーフ議員はさらにタサッロティー氏に対して、行政の観点から自らを最適任であると考えているのか、体制にとって犯してはならない《赤線》をしばしば踏みにじるような人物〔*モイーン氏のこと〕に自らと家族が〔大統領選で〕投票したことを正しい行為であると考えているのか、と詰問した。

〔後略〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:1373 )