欧州委員会、今年はクルド人やアレヴィー派を「少数民族」と明言せず(Milliyet紙)
2005年11月05日付 Milliyet 紙

2004年の報告書でクルド人やアレヴィー派を「少数民族」 と定義した欧州委員会は、今年は同様の定義を明言することを避けた。報告書では、ローザンヌ条約で定義された少数民族以外に、「少数民族と定義される可能性のある集団」と言及された。

 欧州委員会が刊行している進捗報告書で少数民族の権利がやはり重視される一方で、昨年はクルド人とアレヴィー派を「少数民族」と定義した委員会は、今年はこの定義を明言することを避けた。
 報告書では少数民族の権利に関わるトルコの政策に昨年からこれまでに全く変化が見られなかったことが報告される一方、1923年にローザンヌ条約で定義された現在公認されている少数民族以外に「少数民族」として定義される可能性のある集団が存在することが強調された。しかし、この集団の名称は明記されていない。
 報告書では、トルコ当局が少数民族政策でローザンヌ条約を基準としていると述べているが、この条約では非ムスリムだけが少数民族として承認されていることに注目している。同報告書は、トルコではユダヤ人、アルメニア人、ギリシャ人だけが少数民族とみなされていることを指摘し、「しかしながら、関連する国際基準とヨーロッパ基準に照らしてみれば、トルコには少数民族として定められる可能性のある集団は他にも存在している」という表現を使用している。
 EUのこうした考え方を適用すれば、この定義からまず頭に浮かぶのはクルド人である。しかし、今回EUは 2004年にあったように明確な形で「クルド人」という表現は使用していない。昨年の報告書では現在認められている〔非ムスリム〕少数民族を列挙した後、「これらとともにクルド人をはじめトルコには他の集団も存在する」とあったが、今年は一般的な表現にとどまったことには、アンカラの反発が影響力を持ったのではと言われている。

■少数民族が「集団」となった
 進捗報告書では、アレヴィー派の状態においては変更が見られないとしている。しかし、クルド人に関してとられたアプローチはアレヴィー派にも適用されているようだ。過去にアレヴィー派を「スンナ派でないムスリム少数民族」として言及した進捗報告書では、今回は「スンナ派でないムスリム集団」として言及されている。同報告書では、アレヴィー派が現在のところ宗教集団として認識されていないこと、宗教省に代表者がいないこと、宗教儀式を行う場所を見つけるのが難しく、そうした場所が法的基盤を持っていないこと、といった問題を挙げた。また、アレヴィー派の児童が学校でスンナ派系の宗教教育を受けていることも指摘されている。欧州評議会の文書のもととなる報告書では、宗教の授業を選択制にする、もしくは全宗教の信仰を網羅するということが提案されている。
 報告書では、2004年10月に人権諮問委員会により出版されたある出版物で、ローザンヌ条約がわざと限定的に解釈されていることを指摘したことや、少数民族に関する政策をトルコは国際基準に合わせるよう促したことが述べられている。



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( 翻訳者:清水 葉月 )
( 記事ID:1241 )