イランの検事総長、サッダーム・フセイン元大統領に対するイランの訴状を外務省へ送付 ハムシャフリー紙
2005年11月02日付 Hamshahri 紙

2005年11月2日付ハムシャフリー紙

【ISNA(イラン学生通信)】検事総長は、サッダームフセイン元大統領に対するイランの訴状を外務省へ送付し、同訴状の内容につき説明を行った。

 訴状では次のように記されている。「サッダーム・フセインを党首とするイラク・バース党の指導者らによる数十年にわたる凶悪な犯罪が終わりを遂げた今、イラクにおいて、サッダーム・フセインと彼の共犯者らによる野蛮なる犯罪の数々を取調べるための法廷が設置された。そこでイラン・イスラーム共和国の検事総長は、被害を受けた市民らを代表し、上記法廷に提出するための訴状をとりまとめた。法廷にて公正な取り調べが行われるならば、われわれ偉大なるイラン国民が受けた被害の一端が、犯罪者の本拠で開かれる法廷にて、〔国際社会に対して〕再び示されるはずである。イラクの独裁者と彼の共犯者らが自ら真実を語り、隠されてきた多くの事実が明かされることもあるかもしれない。そして、圧制者らや〔イラク国民に対する〕裏切り者たち、守銭奴たちの犯罪への関与、その他多くの問題が暴露される可能性もある」。

 検事総長は、訴状について、数点次のように論じた。「上記の法廷は、イラクの国内レベルで開かれる法廷であり、サッダーム・フセインと彼の共犯者らによる犯罪に関して取調べを行う際には、特定の制約が存在していることも事実である。それ故、イラン・イスラーム共和国と偉大なるイラン国民に加えられた損害について、法的問題を提出したり、認定したりすることを、同法廷は事実上避ける可能性が高い。これはバース党体制とイラン国民の権利侵害に関連した、最も敏感な問題の一つであり、同問題の追求、及び安保理決議第598の第6項〔*〕の遵守のためには、慎重な考慮と措置が必要である」。

〔*注:安保理決議第598とは、イラン、イラク両国に対して1980年より8年間続いたイラン・イラク戦争の停戦を求めるもので、1987年7月に決議された。同決議の第6項では、中立機関に対して戦争責任の調査を委託し、その調査結果を安保理に報告することを、国連事務総長に対して求める内容となっている。イラクはこの決議をイランの受諾を条件に受諾したが、イランは第6項の優先的実施を要求して、受諾を留保した。その後、イラン・イラク戦争でイランが占領した土地をイラクに奪還されるなど、イラン側にとって戦局が悪化したこと、そしてアメリカによるイラン旅客機が誤認撃墜されたことをきっかけとして、イラン側が同決議を1988年7月に受諾、1988年8月に停戦が実現した〕

 検事総長は次のように続けた。「訴状では、121のサッダーム・フセインの犯罪事実に関し、その日時や場所、地域や規模が詳細に言及されている。これらの犯罪に関しては、何冊もの書類や証拠資料が、検事当局その他の関係当局に保管されている。そして何より重要なのは、何千人もの命を惜しむことなく戦った気高き献身者らの存在である。彼らは、サッダーム・フセインによる凶悪な犯罪による我がイラン国民への被害の実情を示す、生きた不滅の証拠である。今日までの20年間つねに、病院や家、社会で、あるいは殉教者の眠る墓地において、われわれは彼らが天へと登るのを目にしてきた」。

 検事総長はまた、〔報道機関に配布した〕ファックスの中で、次のように述べた。「このこと〔サッダーム・フセインと彼の共犯者らによる犯罪〕については、サルダシュトに対する限定的な、そしてハラブチェに対する広範な化学兵器の使用を指摘すれば十分である。私自身そのすべての残忍な犯罪行為を目の当たりにしている」。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:1247 )