ガソリンを対象とした補助金の50%が富裕者らの懐へ ハムシャフリー紙
2005年11月01日付 Hamshahri 紙

2005年11月1日付ハムシャフリー紙

【経済部】『ミード』誌は、燃料、特にガソリンを対象としたイランの補助金の実態に関するレポートの中で、貧困層は補助金から直接的な利益をそれほど享受しておらず、大部分の補助金は人口の10%を占める富裕層の人々の懐に入っていることを明らかにした。

 本紙記者が引用する『ミード』誌の報告によれば、イランのガソリン消費量が目に見えて増加していることから、ガソリンの輸入量も今後さらに増加を続け、これまでと同様、イランの歳入の相当な割合がガソリンの輸入への支払いに割り当てられることが予想される。報告によれば、燃料を対象とした補助金は、イラン政府が支出している補助金の主要な割合を占めている。またイラン国内の消費物資にかかる補助金の総額は、今年度末までに65億ドルから70億ドルにも及ぶとみられ、イラン政府の直接歳出のおよそ14%を占めることが予想されている。

 『ミード』誌のレポートによれば、イラン政府はガソリンに対して多額の補助金を投入している一方で、そのうちの多くが密輸や不正流用、浪費という形で消失しているされる。補助金の目的は、社会における貧困層への生活支援であるにもかかわらず、『ミード』誌の確信するところ、イランのガソリンへの補助金は、イランの貧困層を直接的に支援するものとはそれほどなっていない。『ミード』のレポートによれば、1100万人のイラン人が最低限以下の居住環境、すなわち毎月270ドル以下の生活費で暮らしている。彼らは中古車さえ買う余裕もないため、結果的に彼らはガソリンヘの補助金の恩恵に浴していない。

 イランでの自動車価格を考えると、ガソリンへの補助金の50%以上が人口の10%を占める最富裕層の懐に流れ込んでおり、貧困層は主に公共輸送機関を利用しているのが実態である。しかしながらその一方で、ガソリンへの助成金が断ち切られた場合、もっとも大きな痛手を被るのは貧困層の人々であると想定されている。

 さらに『ミード』誌は次のように論じている。イランではガソリン1リットル当たり、800リヤール〔日本円で約10円:現在100円は約7670リヤール〕で消費者に提供されている。しかし国内での生産費は、1リットル当たり2500リヤール〔約32円〕であり、さらに国内消費量の3分の1は輸入でまかなわれている。イランは世界第2位の石油・天然ガスの埋蔵量を有するが、いまだ国内需要を満たすだけの十分な精油能力は備えていない。それゆえ、2500万から3000万リットルのガソリンを4500リヤール〔約58円〕の価格で輸入せざるを得ない。今年はこれまでに40億ドル以上がガソリン輸入費に費やされている。

 同レポートが指摘するところによると、イランではガソリン価格が低いために、人々は節約に対する意識が弱い。その実例として、ガソリンスタンドだけで1日に25万リットルのガソリンが無駄にされており、9万3千ドルに相当するガソリンが給油所で蒸発している。

 『ミード』誌がみるところ、イランが抱えるもう一つの問題は、燃費の悪い旧式のペイカーン車にある。燃費のよい最新の自動車に代替された場合、国内のガソリン消費量は最低でも10%は減少するといわれている。

 また、1日50万から100万バレルのガソリンが、イランの国境を越えてトルコやパキスタン、アフガニスタン、そしてアラブ首長国連邦へと密輸されており、イラン政府にとって年間1億4000万ドルの負担増となっているとも推測されている。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:1248 )