エルドアン首相談話「改革には意識変化が必要」(Milliyet紙)
2005年11月07日付 Milliyet 紙

エルドアン首相が本紙コラムニストのタハ・アクヨルの質問に答えた。
プログレスレポートの「改革のスピードは鈍化した」という記述について、エルドアン首相は「鈍ってはいない。法律を出しているが、その実行には意識改革が必要だ」と述べた。

ドイツのケルンに本部を置く「ヨーロッパ・トルコ民主主義者同盟(ATDB)」の結成式に向かうエルドアン首相が飛行機の機内で記者団の取材に応じた。
ATDBは公正発展党(AKP)の支持する市民社会組織である。
ATDB関係者が設立を前に首相と会談するためアンカラを訪れたところ、首相は次のように話したらしい。
「古いイデオロギーに依拠しない組織を立ち上げ、ドイツにとってもトルコにとっても有意義な活動を行うのであれば、我々もあなた方を支持する。二つの国の架け橋となる市民社会組織として活躍してほしい」。
エルドアンはATDBの創設メンバーを以下のような点で褒めたたえた。
「ドイツ社会と融和している一方、トルコへの愛国心も持っている。言葉を良く習得し、社会で高い地位を占めている」。

■「我々の確証は正しかった」
エルドアン首相はフランスでの暴動事件についての質問に対し、「確証は正しかった」と答えた。
「我々は常に文明の融和を支持してきた。トルコのEU加盟がこの観点からどれほど有益であるかを説明するよう努めてきた。しかし、フランスのように納得してもらえない国もあった」。
首相はフランスが“学校に導入したプロセス”、つまりスカーフ着用の禁止が悪い影響をもたらし、こうした態度によって移民を疎外したことが事件の“引き金”となったと述べた。
また首相は、ヨーロッパに住むトルコ系住民に対し冷静な対応をするよう呼び掛け、自らが生活する社会と「融和する」よう求めた。

■「メルケル首相との間で問題は起きない」
エルドアン首相は、ドイツでの新政権の組閣について、二つの基本的な問題があると述べた。
「一つはトルコ、もう一つは予算についての(連立与党間の)見解の不一致だ。しかしトルコについては合意に達しつつある。そもそもメルケルは私に『ドイツの外交政策は変わらない』と言っていたし、その言葉は議事録にある。ドイツ次期外相のフランク-ヴァルター・シュタインマイヤーはSDP(社会民主党)でシュレーダー前首相と近しい間柄だ。トルコを肯定的に見ている。シュレーダーは私にそうはっきり話した。

メルケル首相との間で問題は起きるか?その可能性は低いように思われるが。メルケルは今回のドイツ訪問でエルドアン首相との会見を望まなかったという報道は事実と異なると言っている。
「もちろん政権樹立の後、メルケルとはしっかりと話をするだろう。問題が起きるとは思っていない」。
首相はドイツで新たに政権を担う二つの党が予算についても合意に達し、分裂の危機は起こらないだろうとの考えだ。

■「ギリシャのカラマンリス首相がトルコ訪問」
エルドアン首相は、ここでギリシャとの関係に変化はなく、カラマンリス首相が来月末にトルコを訪問することを明らかにした。
オーストリアがEUの議長国を務める期間、EU加盟プロセスに支障が出るのではという問いに「そうは思わない。願わくば問題が起きないでほしい」と答えた。

■「CIA機事件は真実ではない」
「アメリカ中央情報局(CIA)がトルコに密かに飛行機を着陸させ、裁判所の決定なしに何人かの人物を連れて行った」という内容の報道については「どこから聞いてきたのか。私には何も伝えられていない。内務大臣と話し、国家諜報機構(MIT)の局長とも面談する。これまでのところこの報道(の信憑性)を確証付ける情報はない」と答えた。

■「実行に問題がある」
プログレスレポートにおいて、トルコの改革の足取りが鈍ったとの指摘に対するエルドアン首相の返答は次の通り。
「鈍ってはいないが、実行段階の宿命としてやや問題が発生している。議会を召集し法律は出来ている。しかしその実施には意識面での改革が必要だ」。
首相は、改革の中には着手に時間がかかるものもあると述べた。
「ある場所ではクルド語を話すことや壁や掲示板にクルド語を掲げることは困難なことであるかのように考えられているが、そう考える必要はない。民主主義においては当たり前のことである」。
首相はこの問題も民主主義と関連付けている。「慣れるだろう」と言う。
「周縁に位置する集団もいる。彼らはEU加盟プロセスの意味を十分理解できないでいるが、時とともに慣れるだろう。上位アイデンティティや下位アイデンティティといったことが議論され、文学についても話し合った。時間とともに落ち着いてくるだろう」。
エルドアンはここで「クルド語コースが華々しく、式典も開いて開設された(注)が、さあどうなったか?続かなかった。関係者は今政府の援助を求めている」と話した。

■「民主人民党(DEHAP)は建設的でない」
エルドアン首相は、DEHAP党員の首長を建設的でないと批判した。スィイルト県へ赴き、DEHAP党員が首長を務めるクルタラン市を視察し、人々が関心を示したことについて話した。(クルドの)人々に関心を寄せ、サービスを提供すれば問題が解決し、分離主義も時とともに勢力を失うだろうと述べた。
「しかし今は大通りを敷いただけで、まだ我々の入り込んでいない、つまりサービスの行き届いていない部分がたくさんある」。

■「ゲットー化は終わる」
エルドアン首相は「私は三年間首相を務めている」と言い、在任中に成し遂げた事業を紹介した。特に集合住宅計画での実績を強調した。
「目下15万戸が建設中だ。この数は2006年には20万戸、2007年には25万戸になる」。
首相はこの集合住宅は「誰でも」購入できるため、民族集団ごとのゲットー化も防げると話した。

(注)南東部のバットマンでクルド語コースが開設されたが、生徒が集まらず閉鎖された。
関連記事:http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News2005728_484.html

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( 翻訳者:堀ノ内 夏子 )
( 記事ID:1250 )