Derya Sazakコラム:スカーフでは解決しないもの(Milliyet紙)
2005年11月08日付 Milliyet 紙

エルドアン首相はドイツへ飛ぶ際に、フランスでの暴動を「スカーフ禁止」に結びつけたそうだ!
偉い人達の外遊はこんなものだ。
飛行機で雑談が始まると、話題は国内問題から離れ「世界問題」になり、ケルンに入るころにはパリの話題にまでなり、そこでの火事に「我々も状況を理解しないわけにはいかない」と言って「文明の衝突」に絡めてスカーフ問題も議論された。
外遊は指導者達に、国内問題から離れる機会を与える。国外に出る頻度が多くなり、行き先も遠くなってくれば、トルコの問題からは遠ざかってしまう。
オザルの時代、ニュージーランドへの外遊のおかげで、我々はオーストラリアの先住民「マオリ族」について多くの情報を得ることになった。デミレルはこれに反対で、政権にあったオザルを「ペンギンを見るために南半球に行く」ことを計画したとして非難した。ところが自分の政権になるとスレイマン(デミレル)は、「アドリア海」から万里の長城までの旅を行い、最初の宿地の一つはリオでの地球サミットになった。
タイイプ(エルドアン)氏は、自分のトルコの郊外での経験にもとづいてフランス人達に暴動の核芯にある「敵」視化、失業、貧困、不平等のような問題を述べる代わりに「学校で始まった過程の」悪影響を述べた。スカーフ問題が解決すれば「火事は鎮静化する」と言おうとしているのだ!
エルドアン首相がパリの暴動の解釈をしたトルコでは、我々はどんな断食明けの祭日を過ごしたかを忘れかけている。
ハッキャーリ、シェムディンリの写真は恐ろしかった;11月1日の夜に爆発した爆弾は市場を空まで吹き飛ばした。シェムディンリは地震で崩れたようになっていた。
あれはまさに、1990年代にPKKのシュルナク制圧を思い起こさせるような映像だった。南東部のテロは急増している。殉教者の葬式が行われている。経済的、社会的問題は山積している。
エルドアン首相は、フランスの植民地の歴史から続く長い「民族的」問題に「スカーフ」で解決を図ろうとしているのだ。
民主左派党党首ゼキ・セゼルの昨日の警告は非常に的を射たものだった:「首相は浅い解釈をを披露するのではなく、フランスの出来事から学ぶべきだ。
公正発展党政権の時期に、残念ながら失業率は記録的に高い標準に達した。政府の公式統計によると19、400、000人の国民が貧困ライン、900,000人の国民が飢餓ライン以下のレベルで暮らしているのだ。
トルコ政府の農業廃止政策によって、農村から都市への人口移動は桁はずれに増えている。何万人もの国民が都市の郊外で、あらゆる種類の可能性から追い出され、失業、貧困、追放の中で暮らしている」
公正発展党の躍進は郊外の人々の支持を得て実現した。
政権内の堕落は、イスタンブルを見れば十分わかる。スカーフ問題を解決しても貧困を乗り越える事はできない。

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( 翻訳者:池田 慈 )
( 記事ID:1253 )