Yalçın Doğanコラム:西洋諸国でもエルドアンに疑いの目(Hurriyet紙)
2005年12月09日付 Hurriyet 紙

サラエボに様々な国から新聞記者や学者が集まった。その中の何人かは少し前にハタイで開かれた宗教間の対話と寛容に関する会議に出席していた。
彼らと話す機会を見つけ聞いてみると、エルドアン首相に対する見方はとてもネガティブであった。曰く「政権に就いてから、穏健派イスラームという表現を使って欧州に近づいた。欧州や米国はこの3年間、エルドアン政権を寛容に受け入れていたが、徐々にその印象が変わりつつある」。
次いで最も重要な指摘が続く。「エルドアンは、トルコでイスラームを一つのイデオロギーに変えようとしている。これは非常に危険なことだ」。
このような評価が下された原因は、エルドアンの発言にある。

■火山の上にある国
外国の新聞記者や学者は、「トルコは火山の上にあるようだ。なぜなら寛容さがないから」と言う。最初に批判されたのはタイイプ・エルドアンである。アイデンティティ問題について述べた言葉には、西洋諸国で疑問符がついた。「トルコを統合しているアイデンティティは、宗教である」という発言は、EUに怒りで地団駄を踏ませた。これにアルコール飲料禁止が続く。どこのEU諸国に、酒を飲むための赤線街があるというのか?
今や世界は非常に狭い。オーストラリアで語った言葉が、瞬時にEU諸国の首都にこだましている。そうしたすべてのこだまがEUのエルドアンに対する不信感に新たな火をつけている。
イスラームを一つのイデオロギーにすることは、マルクス・レーニンに代わって預言者ムハンマドを据えるようなものだ。目下西洋で最もはやっている議論で、本にもなったのが『マルクスとムハンマド』である。
欧州の主要な雑誌には、毎週のようにこの問題についての記事が載っており、そのすべてがハンチントンに正当性を与えるかのように文明の衝突について論じている。

■積もり上がる請求書
公正発展党の政策は、西洋諸国の不信感を増大させている。ハラール食品や、イスラーム特有のセクター、飲酒の禁止、欧州人権裁判所のスカーフ判決への批判、アイデンティティにおける混乱などがその一例だ。
極めて短期間のうちに、この赤字の貸借対照表ではEUのエルドアンに対する見方について請求書が積もり上がっている。中でも次のような見方は重大な意味を持つ。
「紙の上ではトルコは欧州を模倣している。しかし本質では常にイスラーム・イデオロギーに重きを置いている」。
私はしばしば海外へ出かけるし、トルコでも外国人と折に触れ話をするが、エルドアンと公正発展党に対するこれほどネガティブな見方には出くわしたことがなかった。

■戦争のあった街でさえ
どしゃ降りの雨は雪に代わり、何日も降り続いている。しかしサラエボでは通りはただ濡れているだけだ。水たまりや水の氾濫、道路封鎖も学校の休校も何一つ起きていない。サラエボは典型的な欧州の都市である。
しかし、ここでは3年間戦争があったのだ。何千もの建物が破壊された。思い出すのだが、7、8年前にここに来た際にデミレル大統領と泊ったホテルの建物の半分はなくなってしまった。そのホテルは今では現代的な建物になっている。戦争にも関わらず、この街の都市基盤は極めてしっかりしている。
翻ってイスタンブルとアンカラはどうか。雨や雪が降ったときのトルコの大都市について考えると鳥肌が立つ。

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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:1478 )