イランに対して沈黙を貫くインド:イスラエルの失望 シャルグ紙
2005年12月27日付 Sharq 紙

2005年12月27日付シャルグ紙5面

【インディア・モニター:アーザーデ・カーゼミー訳】マフムード・アフマディーネジャード大統領が最近の演説の中で、イスラエル消滅を唱え、ホロコーストに対して懐疑的な発言を行ったことに対して、欧米は非難の姿勢を示している。そうした中、アメリカやイスラエルにとって南アジア地域の同盟国であるとされるインドは、同問題に対して沈黙を貫いている。このようなインドの態度に、アメリカとイスラエルの政府関係者らは懸念を強めている。

 一部のイスラエル関係者は、イスラエルの軍事技術が、インドを経由してイランに転移している可能性を指摘している。イスラエルの政府筋は、「イランの核化は中東全体の核化を意味する。イランのイスラエル敵視の態度に対してインドが取った反応は、イスラエル政府を失望させるものであった」と語る。

 一方、インドの一部の情報筋が語るところによると、インドは、イラン・インド両政府のエネルギー分野での幅広い関係を考慮して、「あなたの敵は私の敵」という政策の下、イスラエルとの間に一定の距離を取ろうと努めているという。インド周辺に位置するイランが核武装化することは、おそらくインドにとって利益とはならないが、インド政府にとって特に重要なのは、エネルギー供給源の確保やインド国内の核計画に他ならない、というわけだ。

 別の言い方をすれば、インドは、国際社会の好意的な視線をアメリカとの核協力に引き付けようと努力する傍ら、イラン政府とのエネルギー分野での関係に支障が生ずることがないよう、イランに対しては沈黙を貫いているのである。

 さらにインドは、カシミール問題に関してイランから支持を得ており、これがインド政府にとって利益となる可能性もある。

 あるインドの情報筋は以下のように語っている。「インドがイスラエル側につき、イランに対して敵対的な共同戦線を構築することは、戦略的に考えて有益ではない。というのも、そうなった場合、インドは地域における古くからの友人を、そして多大なるエネルギー資源へのアクセスを失うことになるからだ。イランは、OPECの中では2番目の石油産出国であり、ロシアに続き、世界で2番目の天然ガス埋蔵量を誇っている。イランと地理的に近いことを考慮しても、インドのエネルギー需要を満たすためには、イランは最善の選択であると考えられる」。

 そうした中で、両国は、パキスタン経由でイランの天然ガスをインドへ輸出する《平和パイプライン》の建設や、石油や天然ガスの分野で、大規模な協定を締結している。インドは9月のIAEA理事会において一度、イランの核活動に対する非難決議を支持し、イランとの協力関係に暗雲が立ちこめたことがある。その後インド政府は、イランに対する立場を変更するよう、インド国内外からますます強く迫られるようになった。

 イスラエルは、イランの核活動の抑制を目的とした現在の外交努力に、何ら関わってはいない。しかしその一方で、イラン核問題の安保理付託や、経済制裁の拡大、さらには対イラン攻撃のための世界的な連合結成に、力を注いでいる。

 しかしながら、専門家らは、イランに対して制裁を拡大すれば、イランと深い経済関係にある国々は、深刻な損害を被ることになると語る。ロシアがイランとの核交渉プロセスの復活へと働きかけを行ない、インドもイランのエネルギー資源に対する需要増加をかんがみて、イランに対する圧力の増大を望まない姿勢を示しているのも、まさにこのことが理由となっているのだ。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:1600 )