サバー・テレビ、活動を一時休止へ シャルグ紙
2005年12月27日付 Sharq 紙

2005年12月27日付シャルグ紙2面

【ILNA】衛星テレビ放送局《サバー》のベフルーズ・アフハミー局長は、国家安全保障最高評議会アリー・ラーリージャーニー書記に宛てた公開書簡の中で、サバー・テレビの活動を一時的に休止する旨、公表した。

 アフハミー氏はこの書簡の中で、「キャッルービー氏は、サバー・テレビ局の従業員や記者らに問題が降りかかる可能性を考慮し、私に同テレビ局の活動を一時的に休止する旨公表することを許可した」と語り、さらに「同テレビ局の活動を楽しみに待ってくれた全ての人々に、お詫び申し上げる」と付け加えた。

***解説***

 《サバー局》は、革命後のイラン政界の左派系イスラーム法学者の重鎮で、第6議会(200-2004年)では国会議長の要職を務めたこともあるメフディー・キャッルービー師がドバイに開設した衛星テレビ放送局。キャッルービー師は、先の大統領選挙に出馬し、第一回投票でアフマディーネジャード現大統領に僅差で敗れ、第二回投票に駒を進めることができなかった。この時、キャッルービー師は、ハーメネイー最高指導者に選挙で不正があったと抗議したため、ハーメネイー師の怒りを買った(例えばハーメネイー最高指導者の兄弟であるハーディー・ハーメネイー師が社主を務めていた改革派系紙ハヤーテ・ノウ・エグテサーディーなどは、キャッルービー師のハーメネイー師に対する抗議声明を掲載したために、発行禁止処分を受けた)。

 キャッルービー師はその後、公益判別評議会や最高指導者顧問などの要職を辞し、自らが1980年代に立ち上げ、事務局長を務めていた《闘う聖職者集団》から離党、新たに《国民信頼党》を設立した(http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News200588_606.htmlを参照)。さらに同師は、イラン国外のドバイに《サバー》衛星テレビ局を設立、12月22日のシャベ・ヤルダー(冬至の夜)に試験的に放送を開始する予定であった。

 しかし、イラン治安当局は、エミレーツ航空がドバイに到着した際、放送用のテープを持参していたサバー・テレビ局関係者からテープの没収を試み、すったもんだの末、放送時間内にテープを放送局に届けることができず、試験放送を断念。また、12月21日、プレスや出版を管轄するイスラーム文化指導省が、イラン国内プレスに対し、ペルシア語の衛星放送の宣伝・紹介を禁止するよう通達、さらにアフハミー氏によると国家安全保障最高評議会もサバー局に対し「違法」認定をするなど、イラン当局はサバー局に対する圧力を強めていた。アフハミー氏のラーリージャーニー書記への公開書簡は、このような当局の締めつけを非難し、司法当局に本件を訴える内容となっている(例えば、ペルシア語放送を行っているBBCがイラン国内での取材活動を許され、なぜサバーが許されないのか、などを批判)。

 イランでは《イラン国営放送》以外による国内のテレビ・ラジオ放送を禁止している。また、衛星受信機の設置も一般には禁止されている。しかし、時折摘発があるものの、衛星放送用のアンテナは至るところに設置されており、イラン国内にはかなりの数の衛星放送視聴者がいるものと思われる。

 アメリカなどに在住の反体制派による衛星放送ではなく、イラン国内で活動する活動家が国外で衛星放送を立ち上げたのは、キャッルービー師が初めてであり、同師のこのような活動に対しては、一部保守派から疑念が表明されていた(例えばhttp://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News2005831_774.htmlを参照)。なお、キャッルービー師率いる国民信頼党は来年1月10日頃を目処に、機関紙を発行する予定であるという。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:1603 )