メルスィンで小学校教員に転勤命令、理由は進化論を教えたため(Radikal紙)
2005年12月09日付 Radikal 紙

メルスィン中心部、ヤルナヤク町の小学校の校長と5人の教員が他校に転勤させられた理由に、「児童の宗教的信条を揺さぶる説明や教えをした」という主張が含まれていたことが分かった。国民教育省から教員達への通知書には、このことに触れられているが、県知事の回答にはこの理由が隠ぺいされた。知事が隠ぺいしようとした一件は、次のような経緯で行われた。

 一部の市民が次のような申立てを行い、郡の教育委員会に苦情を寄せた。その申立ては、ヤルナヤク小学校校長アリ・ガリップ・ドゥラン、英語教師メフタプ・ペクタシュ、数学教師ユスフ・テミズ、社会科教師セヴィライ・チフッチ、担任教師ギュルスム・チョバンが「授業で進化論を教え、アザーンが聞こえる時間には教室の窓を閉めさせた」というものだった。

■給料も減給に
 市民からの申立てを受けて、調査が始められた。アリ・アルソイ調査官は、教員達の言い分を聴取し、10月に調査を完了した。調査官の報告に基づいて、5人の教員に転勤命令と30分の1の減給命令が下された。校長のアリ・ガリップ・ドゥランはチャイ小学校に、教員のメフタプ・ペクタシュはギュネイ小学校、セヴィライ・チフッチはハティジェ・ウル小学校、ギュルスム・チョバンはシュプヒ・オネル小学校、ユスフ・テミズは4月23日小学校に転勤となった。

■「イマーム(導師)が苦情をよせた」
 転勤命令を受けた全員がアレヴィー教徒といわれるこの教師達の追放に波紋が広がっている。教職員組合メルスィン支部のウンサル・ユルドゥズ支部長は、ある会議でこの一件について次のような評価をくだした。
「教員達は勤務地のイマームと町長の働きかけで開始された調査の結果、追放されることとなった。その調査によれば、教員達は『アザーンが読誦される時間に教室の窓を閉め、そして授業では進化論を教えることによって、生徒達の宗教心をゆさぶろうとした』ことで罪に問われている。これは世俗的、民主的、科学的な教育を実現しようとする教職員組合員に対する脅しである。これに類する追放は多々ある。この追放について我々は裁判を開くつもりだ。」
サリフ・オズバイ氏は、トルコ宗教基金組合支部長であり、かつ小学校の隣にあるセリネヴレル・モスクのイマーム(導師)でもある。同氏は、自らが教員達に対して苦情を寄せたと言われていることを、真っ向から否定した。オズバイ導師は「私の4人の子供はその小学校を卒業した。質の高い教育を受け、4人の子供は予備校にも行かずに大学に合格した。あの学校はすばらしい学校だ。」と述べた。

■県知事の回答は不完全
 教職員組合の申し立てと新聞記者たちの追求に対して、一昨日、アティッラ・オスマンチェレビオール県知事が書面で回答した。しかし転勤の真の理由を隠そうとした。県知事は以下の回答をした。
「一部のマスコミは、5人の教員が進化論を教えたために追放されたと主張している。本当は、一部の行為を不快に感じた生徒の保護者の苦情を調査したところ、『不当な配偶者控除や補講料金の徴収が行われていたこと、国歌斉唱式典への不参加、服装規定違反、差別、不公平な表彰』が確認された。現行の法律の枠組みでは司法に訴えることが可能であり、懲戒処分が適用され、必要な手続きが行われた。」

■通知書との食い違い
しかし、ムアッメル・ギュルブズ郡教育委員長から署名付で教員達に送られた通知書には、オスマンチェレビオール知事の回答にあった罪状の他に、「一部の生徒の宗教的信条を揺さぶる説明や教えをした」と記されていたことが明らかになった。県知事の回答に「宗教的信条」という記載がなかったことは、教育界に不安を与えた。

■教職員組合:書面がある
 教職員組合のユルドゥズ支部長は、県知事の説明を遺憾とし、次のように続けた。「我々は自らの主張を信じている。世論の圧力をうけ、正しい情報提供が行われなかった。我々の手には書面がある。公務員がすべきことは、事件をもみ消して世俗主義と民主主義に相反することを助長させることではない。その正反対、すなわち近代的、民主的、そして世俗的な教育を献身的に続ける教育者たちを守ること、そして彼らを職場に戻すことである。」


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( 翻訳者:山口 南 )
( 記事ID:1472 )