最初の石油がバクーを発った:カスピ海パイプラインBTCルート開通(Radikal紙)
2005年05月26日付 Radikal 紙

夢は現実となった。バクーからジェイハンへ向けて、初の石油が搬出された。2つの新たなプロジェクトも歩み始めた。

21世紀の最重要プロジェクトのひとつである総工費36億ドルのバクー―トビリシ―ジェイハン(BTC)・石油パイプラインに、最初の石油が昨日行われた式典で搬出された。カザフスタン、アゼルバイジャン、グルジア、トルコの各国大統領が一堂に会した式典によって操業を開始したパイプラインは、カスピ海の豊富な地下資源を、信頼できるルートで世界市場へと供給することになるだろう。カザフスタン、アゼルバイジャン、グルジア、トルコの各国大統領は、「コーカサスにおける協働」というメッセージを発信する一方で、カザフスタン産石油のカスピ海海底下のパイプラインによるBTCへの接続輸送、および、カルス―トビリシ―バクー間の鉄道敷設実現のために別の2つの宣言書にも署名した。
1990年代初頭から議論され、ロシアと他の諸国との間の深刻な外交的駆け引きの理由ともなったBTCパイプラインは、昨日バクーの北にあるサルガチャル・石油ターミナルで開催された式典によって操業を開始した。式典には、我が国のアフメト・ネジュデト・セゼル大統領、アゼルバイジャンのイルハム・アアリエフ大統領、グルジアのミハイル・サアカシュヴィリ大統領、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領のほか、アメリカのサミュエル・ボードマン・エネルギー相や、ロシア、イラン、ノルウェー、ウクライナ、EU委員会から高官が出席した。

■セゼル大統領:「アメリカに液化天然ガスを売ります」

トルコの目的が、「信頼性のあるエネルギー供給路」を確立すること、およびジェイハン・石油ターミナルをエネルギー輸出・通商上の拠点へと変貌させることであると説明したセゼルは、「トルコが、アメリカ向け天然ガス供給において、ロシア、ノルウェー、アルジェリアとともに、4大供給路の一角を占めることとなりました。また、トルコは、ジェイハン・ターミナルに建設が予定されている民営の(液化)天然ガス・ターミナルを通じた同地域の天然資源のアメリカ東海岸への輸送を目指しています」と、述べた。
BTCパイプラインを、「工学技術の傑作」と評しつつ、プロジェクトの実現に威信を胸に尽力したと述べたセゼルは、以下のように語った。「21世紀のシルク・ロードとして知られる東西エネルギー路の最も重要な施設、すなわち、バクー―トビリシ―ジェイハン・石油パイプラインは、地域の安定と経済発展の見地からすれば、はっきりとした重要性を帯びています。エネルギー供給における信頼性は、いまや、安定性と信頼性(そのもの)の重要な基準となっています。経済的な成長と安定が、エネルギー供給の安定によって実現されることは明らかです。(また、)世界のエネルギー構造が2030年までに60%拡大することを念頭に置けば、カスピ海産石油を世界市場に滞りなく確実に供給することになるBTCパイプラインの地域的かつグローバルな価値がより理解されましょう。」

■アアリエフ大統領:「父に一目見せられたら」

イルハム・アアリエフは、プロジェクト実現のプロセスは長く困難な道であり、数多くの困難と問題に直面し、様々な外圧がかけられたと語った。イルハム・アアリエフは式典で、「BTCパイプラインの設計者」と目され、その実現にも尽力した父親、ヘイダル・アアリエフ前大統領が開通を目にできなかったことを残念に思っていると述べた。BTCパイプラインによって、アゼルバイジャンが進歩への一歩を踏み出したと説明したアアリエフは、「BTCパイプラインはアゼルバイジャンのエネルギー政策の一環です。地域のエネルギー輸送のために様々なルートが建設されています。BTCパイプラインが操業を開始したことで我が国の経済力が高まるのみではなく、地域の信頼性をも確かなものとなるでしょう」と述べた。

■サアカシュヴィリ大統領:「地政学的勝利」

サアカシュヴィリは、「BTCパイプラインの実用化は、とりわけアゼルバイジャンとアゼルバイジャンの協力者にとっての地政学的勝利であります」と述べた。グルジアが輸送ルートやその他の同地域のプロジェクト実現に関与したことは、地域的パワーバランスに重要な影響を及ぼしたと説明したサーカシヴィリは、「バクー―トビリシ―エルズルム天然ガス・パイプラインと、カルス―アハルカラキ間の鉄道路線が開通することで、状況は変化するでしょうし、この変化は同地域諸国の自立性をより強固なものとすることでしょう」と語った。

■ナザルバエフ大統領:「新たな1ページが開かれた」

ナザルバエフは、BTCパイプラインの実用化によってカザフスタンも石油輸出の可能性が増大するであろうと述べる一方、「BTCプロジェクトの実現によって独立アゼルバイジャンの歴史の新たな1ページが開かれました」と述べた。ナザルバエフは、「同石油パイプラインは、カスピ海地域のエネルギー資源の多角的な輸出の実現にとっての重要な一環であり、カザフスタンもこのプロセスの主要参加国のひとつです」と語った。アメリカのサミュエル・ボードマン・エネルギー相は、初めて石油が搬出されたことに関して「世界を変えることになる一日」と評した。プロジェクトが困難な状況の中で歩みを進めてきたと述べたボードマンは、カザフスタンのプロジェクト参加を支持する意向を明らかにした。

■年間5,000万トンを輸送の見込み

カザフスタンのBTCプロジェクトへの参加を盛り込んだ共同宣言には、グルジア、アゼルバイジャン、カザフスタンの各国は外相が、トルコ、アメリカの両国はエネルギー担当相が署名した。セゼル、サアカシュヴィリ、アアリエフは、カルス―トビリシ―バクー間の鉄道敷設のために用意された宣言に署名した。首脳らは、そののちサンガチャル・ターミナル内の石油搬送指令センターに移動した。各国大統領は一列になって送管バルブを捻って「初の石油」を搬出した。石油は6月中旬にグルジアに、同月末にはトルコに達する予定。2000年に着工前の事前調査が始められた全長1,774kmのパイプラインと10の中継所は2002年に本着工した。事前調査の際には何十箇所もの考古学的遺跡が発見され、ルートは何度も変更された。年間5,000万トンの輸送能力を持つパイプラインから、トルコは年額2億5,000万ドルの通過料を得ることとなる。

■計画の遅延、かさんだ経費―いずれも先送り

プロジェクトの行程表では、石油は2005年3月10日時点でジェイハン港でタンカーに積み込まれていなくてはならなかった。しかし、不運が重なったことで計画は約5ヶ月も遅れた。トルコは、自国領内で起こった遅延に関しては日額50万ドルの罰則金の支払いを受け入れていた。同時にトルコは24億ドルを越えた分の経費に関して保険を掛けていた。つまり経費が超過した場合のために3億ドルの流動型保険を掛けていたのである。関係資料は経費超過が1億2400万ドルであることを示している。経費超過も、遅延も、いずれもが石油がジェイハンに到着したのちに開催される諸会談で取り上げられることが明らかにされた。関係企業は、プロジェクトが完遂した後に、不可避の理由や基準の変更によって生じた経費の増大、および想定外の投資額を勘案したうえで、罰則と経費増大の責任に関する決定を下すことになる。



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( 翻訳者:長岡大輔 )
( 記事ID:126 )