EU加盟交渉日程確定「トルコ加盟以前にEUは問題点を解決しておく必要」(Milliyet紙)
2005年06月30日付 Milliyet 紙

トルコのために準備された加盟交渉枠組み案を公開した欧州委員会のレーンは、「EUは約束を守っている。」と述べ、さらに「EUが予算と憲法に関する問題を解決することが必要だ。」と続けた。

欧州委員会のEU拡大担当であるオリー・レーンは、「EUは(交渉開始を)採択した。我々は約束を守っている。」と述べ、これとともに、(交渉は)長く険しい道のりとなろう、というメッセージも残した。トルコを対象とした加盟交渉枠組み案に関して記者会見を行ったレーンは、交渉が10月3日に始まることを強く述べた後で、交渉の目標はトルコの完全加盟であることにも言及した。
12月17日と6月のサミットでの決議が25加盟国から確認されたことを強調したレーンは、交渉枠組み案も、加盟国から10月3日までに承認されることが必要であることを述べた。
レーンは、加盟国のリーダーたちがこれまでの決議や約束を覆すことはないことを表明した。

■ ヨーロッパのメリット
トルコが加盟国となるまでにEUは、予算問題を乗り越えること、憲法に関する問題を取り除くこと、同化能力を高めておくことが必要であると表明したレーンは、「確固とした民主主義と繁栄に到達したトルコは、EUにとってメリットがある。」と述べ、「交渉開始は、EU加盟基準を完全に実現できる能力の有無を示す機会をトルコに与えている。」と話した。
これまでのEU拡大から得られた経験を生かして、もはや約束ばかりではなく、実践も重要になってくることを強調したレーンは、「(交渉)プロセスそのものが、その結果と同じくらい重要になるだろう。寄り道をすれば、急ブレーキが掛けられる。」と話した。
トルコの交渉開始に必要な二つの規定のひとつである6つの新法案が施行されたことを述べたレーンは「今はもうひとつの加盟基準である適合条約案がサインされるのを我々は待っている状況だ。」と言った。
委員会のトルコについての議論は、予定よりも2時間長く続いた。これも、委員会の全メンバーがトルコ問題について3度ずつ発言したことによる所が大きい。いくつかの加盟国は「(トルコとの)特別なパートナーシップ」を強調した。議論事項であった別の二つのテーマはというと、EU憲法の国民投票結果が生じさせた状況のよりクリアな説明と、(トルコの)審査過程の日程についてであった。いくつかの加盟国は、審査の過程について、全項目が満たされてからの交渉開始を望んだが、これは認められなかった。

■ フランスの断固とした反対
トルコ加盟について断固とした反対がフランス、オーストリア、オランダ、ルクセンブルク、そしてデンマークから挙がった。アイルランドとスロバキアも否定的見解を述べた。欧州委員会委員長のジョゼ・マヌエル・バローゾ、副委員長のギュンター・フェアホイゲン、ベルギー人委員のルイ・ミシェルはというと、レーンを支持した。
欧州委員会の重要人物は、「トルコにとって驚くべき内容はひとつもなかった。そもそもすべては欧州評議会の決定であり、我々にこれを超えることはできない。磁器の店に割り入る象のような役目は我々にあるのではなく、評議会にある。」と話した。
これまでのEU拡大において、そしてまたクロアチアに関しても、加盟交渉枠組み案が公表されてこなかったが、今回はこのルールは適用されていない。

■ EUの受容能力が重要
欧州委員会のメンバーによって明らかにされた交渉枠組み案は12月17日の決定に忠実であり、これまでトルコについて発行された他の文書で明記されたことからもはずれていない。
3つの見出しからなる交渉枠組み案(全部で7ページ)で、強調された主な内容は以下のとおり挙げられる。
・ 交渉のスピードは、トルコが加盟基準を満たすことに比例する。
・ 交渉は結果があらかじめ予測され得るものではなく、終わりの見えないプロセスである。
・ コペンハーゲン基準については、トルコが加盟に必要な全事項を完全に履行できない状態ならば、可能な限り最も強力なかたちでトルコがヨーロッパの体制に属することが保障される。

■ 中断の条件
・ 交渉枠組み案では、加盟基準とともにEUの新規加盟国受け入れ能力も重要であると強調されている。
・ 自由、民主主義、人権及び基本的自由への敬意、そして法の優越といった原則がトルコで深刻に犯された時の交渉の一時中断は、委員会の提案もしくは加盟国の3分の1の要請で議題とされる。

■ 援護策
・ 交渉枠組み案の見出し数は35である。
・ 欧州委員会の提案に基づいて役割を果たす欧州評議会は、すべての交渉項目の暫定的な封鎖、および開始のための基準を設ける。
・ 長い交渉過程や逸脱は、独自の取り決めによって、常に援護策がとられることを可能とする。この援護策は、人々の移動の自由、構造政策、そして農業分野において検討事項とする。人々の移動の自由においては、加盟国が最大限の役割を果たす。

■ 2014年以降
・ トルコ加盟にともなう経費規模は、かなりの影響を生み出すものであろうことから、加盟交渉の完了は、2014年以降の財政計画を準備した後となるだろう。
・ 文書には、良好な隣国関係を強調し、必要ならば国際法廷にも持ち出すことも可能であると述べている。
・ キプロスを含めたEU全諸国とトルコとの二国間関係を正常化することが強調されている。
・ 加盟と共に、トルコは経済及び金融の面でひとつの連合組織に組み込まれる。条件を満たしたところで、ユーロ・システムへ移行する。
・ トルコには、政治面でEUに順応することが求められる。
・ EUは、環境保護、そして核の安全の重要性を強く訴えている。
・ 委員会は、トルコを近くから監視するだろう。

■ それぞれの反応
首相レジェプ・タイイプ・エルドアン:「交渉はトルコにとって難しいものになる。トルコは、現在の構造基盤でもってこの交渉を難なく超える力と能力がある。組織の構造、市民社会組織、メディア、国民、すべてが一丸となって肩をとりあい達成するだろう。」
外務省アブドゥッラー・ギュル:「重要なのは、我々の目的である完全加盟から決して逸れないことだ。トルコも自身の立場をEUに明らかにしつつ反応を示していくだろう。私が思うに、交渉プロセスのなかでより客観的な理解が得られるだろう。トルコの強さ、能力がより良く理解されることだろう。」
共和人民党党首デニズ・バイカル:「委員会において、いくつかのEU加盟国がトルコに提案した「(トルコに不利益な)特権つきのパートナーシップ」は受け入れられない。トルコはとても厳しい条件を実現しなければならない。キプロスを筆頭に、(トルコの)国益という点にも注意が払われうべきだ。」



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( 翻訳者:田林玲 )
( 記事ID:342 )