フランスはトルコに対して不公平な態度 -EU加盟とキプロス問題(Milliyet紙)
2005年08月03日付 Milliyet 紙

「トルコが10月3日までにキプロス共和国を承認しないならば、(EU加盟)交渉スタートの延期もありうる」と述べたフランスのドミニク・ドビルパン首相は、欧州委員会から返答を得た:トルコは交渉スタートのために条件をクリアした。

トルコが先週金曜日に、EUとの関税同盟にギリシャ系キプロス(キプロス共和国)を含む10の新加盟国を組み入れる議定書にサインしたことで、EU関係者は10月3日の加盟交渉開始に向けた準備は整ったとみなす一方、フランスは議定書とともに行われた「これはキプロス共和国を承認するものではない」という宣言を理由にトルコ政府との加盟交渉が延期される可能性があると主張した。フランスのこうした出方に勇気づけられたキプロス共和国政府も、10月3日以前にトルコに対し公的な反対の態度を強めていくことを表明した。
一方でアナトリア通信の報じたところによると、欧州委員会はドビルパン首相の考えには同意しないとし、トルコが完全加盟交渉のスタートに関わる全条件をクリアしたことを明らかにした。

■拒否権については言及せず

フランスのドビルパン首相は、EU首脳陣が昨年12月に下した、キプロス共和国を関税同盟に加える場合にはトルコとの加盟交渉は10月3日にスタートするという決定を無視した発言を、昨日「ヨーロッパ1」というラジオ番組で行った。ドビルパン首相は「トルコがキプロス共和国を承認しないならば、EUとの交渉は考えられない」と述べ、トルコがEUの25加盟国すべてを承認することが必要であり、これは原則の問題であると主張した。この発言が、交渉の延期を意味するのどうかという問いに対し、ドビルパン首相は、「全くもって、その通りだ。私の考えでは、すべてが明らかでならなければならない」と答えた。宣言に関して、トルコに明らかにプレッシャーをかけたドビルパン首相だったが、にもかかわらずフランスが加盟交渉開始に対し拒否権を行使する考えであるとは言明しなかった。ドビルパン首相は、フランスの態度は9月のEU外相会談の後に表明すると述べた。
今期のEU議長国であるイギリスからはこれとは全く反対の説明がなされた。ロイター通信に語ったイギリスの当局筋は、EUの首脳たちはこれまで一度もキプロス共和国の承認を加盟交渉開始の条件として提示しなかったことに触れ、(昨年)12月のサミットではフランスのジャック・シラク大統領が追加議定書へのサインについてのみ言及し、これがキプロス共和国の承認を意味しないと述べたことを明らかにした。
欧州委員会の報道官も、ドビルパン首相の考えには同意しないと述べ、アンカラ協定の追加議定書にトルコが署名したことで、加盟交渉開始に関わる全ての条件をクリアしたと繰り返した。
報道官は「キプロス共和国承認問題」を解決する舞台はEUではなく国連だとし、この問題が10月3日のトルコの完全加盟交渉開始の前提条件にはならないと述べた。
他のEU関係者も、フランスのこうした出方がキプロス共和国のトルコに対する態度をより硬化させる要因になっているという見方を示した。

■ギリシャ側は満足

実際、キプロス共和国政府の報道官はドビルパン首相の言葉を大変肯定的に受け止めたとし、「我々は常々、EU加盟を望む国が加盟国の1つを承認しないというのはとてもおかしいと言ってきた。フランスの首相はこうした我々の見解を正しいと認めた」と述べた。フランスがこうした見方を公式見解としてEUで(採用するよう)主張してほしいと話すキプロス共和国政府報道官は、10月3日より前に公の態度を明らかにすると述べた。

■「約束の遵守を期待している」

トルコのアブドゥッラー・ギュル外相は、サウジアラビアの故ファハド国王の葬儀に参列するため訪れたリヤドで、ドビルパン首相の発言に対し次のように述べた:「フランスが(トルコの)EU加盟プロセスを今後とも支持することを願っている。トルコは、(加盟交渉開始に必要な)全ての義務を果たした。今、EUも「合意は拘束する(pacta sunt servanda)」原則に従い、12月17日に下され、全加盟国が署名した決定に鑑みて、交渉が10月3日に始まることを期待している」。
首相府の情報筋は、「我々はやるべきことをやった。10月3日にはEUもやるべきことをすべきだ」と語った。

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( 翻訳者:田林玲 )
( 記事ID:572 )