エジプトのリゾート地、シャルムエルシェイフがテロの標的に(Milliyet紙)
2005年07月24日付 Milliyet 紙

和平会談の開催地となったエジプトのリゾート地シャルムエルシェイフが、アルカイダによるテロの標的となった。夜の最も賑やかな時間帯に同時に起きた3つの爆発は、エジプトの天国のようなリゾート地を地獄に変えた。

2001年9月11日にニューヨークとペンタゴンから始まり、イスタンブルやマドリードの後、(今年)7月7日にロンドンを攻撃したアルカイダのテロは、昨日次なる標的にエジプトの観光リゾート地シャルムエルシェイフを選んだ。シャルムエルシェイフの3カ所でほぼ同時刻に爆弾が爆発し、9人の観光客を含む88人が死亡し、200人以上が負傷、うち23人が重体である。エジプトで過去最悪のテロ事件となった。アルカイダ系組織“アブトラ・アッサム旅団、地中海東部およびエジプトにおけるアルカイダ組織”が犯行声明を出した。

■自爆テロか?
世界中どこに行っても完全に安全な場所はないと再確認させた今回の爆発の初めの2つは、1時15分にナーマコユにある4つ星ホテル、ガザラガーデンホテルの前とエスキパザルで、爆弾を積んだ自動車によって行われた。2つとも自爆テロである可能性が高いという。3つ目の爆発はこれらの数分後、ナーマのモエヴェンピックホテル近くの駐車場に置かれていたスーツケースの中の爆発物が爆発したことが明らかになった。事件が起こった時間帯、バーや市場は観光客でいっぱいだった。

■何十人もの労働者が死亡
外国人観光客に人気のあるリゾート地への攻撃で命を落とした人々の大半が、爆発のときエスキパザルのあるカフェに座っていたエジプト人労働者だった。イタリア人2人、イギリス人2人、ウクライナ人1人、ロシア人1人、オランダ人1人、チェコ人1人、イスラエル系アラブ人1人をはじめ、9人の外国人観光客が死亡し、トルコ人、イタリア人、ドイツ人、サウジアラビア人、イギリス人、ロシア人、ウクライナ人、イスラエル人を含む20人の外国人が負傷し、数名の観光客が行方不明になっていることも明らかにされた。
攻撃の直後、“アブドゥッラー・アッザム旅団、地中海東部とエジプトにおけるアルカイダ組織”を名乗るグループがウェブサイトで流した犯行声明で、「戦士たちが、シャルムエルシェイフで、十字軍やシオニストや背教者のエジプト政府に大きな打撃を与えた。この攻撃は、イラク、アフガニスタン、パレスチナ、チェチェンのムスリムに血を流させる世界中の邪悪な力に対して行われた」と述べた。

■標的はヨーロッパ 
一方で、2003年11月にイスタンブルで、2004年3月にマドリードで起こった攻撃に続き、7月7日にロンドンで56人の死者を出した攻撃で名前が挙がったアブハフス・アルマリス旅団は、新たな標的がイタリア、オランダ、デンマークであると述べた。同旅団は、インターネットで流した犯行声明で、「新たな攻撃はアッラーの敵にとって地獄となるだろう」という表現を使っていた。

■“平和の街”が廃墟に
紅海に面したシャルムエルシェイフはリゾート地であると同時に、エジプトの中東和平政策の重要な舞台であることが注目される。シャルムエルシェイフは、金色のビーチやカジノがあり、ダイビングスポットとしても有名な観光地である。1967年の第3次中東戦争でイスラエルにシナイ半島とともに占領された後、1979年にはエジプトに返還されている。その後この地域は、イスラエルの観光の中心地となった。エジプトのホスニー・ムバラク大統領が中東和平会談の舞台に選んだ場所であり、ユネスコは2002年にシャルムエルシェイフを“平和の街”に認定していた。

■観光客が帰国
翌日、攻撃のショックで観光客の大半は、シャルムエルシェイフのホテルを離れ、帰国した。シャルムエルシェイフには、ロンドンでのテロ攻撃を経験し、トラウマを克服するために保養に来た多くのイギリス人がいた。

■アルカイダのテロ年表
・2002年10月12日 アルカイダ系イスラム教団がインドネシアのバリ島で行った攻撃で202人死亡。
・2003年5月16日 モロッコのカサブランカで起きた5つの自爆テロで32人死亡。アルカイダ系サラフィア・ジハーディアの犯行。
・2003年11月15日~20日 イスタンブルで2つのシナゴーグ、英国総領事館、英国系銀行(HSBC)で行われた自爆テロで、62人死亡。アブハフス・アルマスリ旅団の犯行。
・2004年3月11日 マドリードで4つの列車で起こった爆発で191人死亡。アブハフス・アルマスリ旅団の犯行。
・2004年10月7日 エジプトのシナイ半島のリゾート地での爆弾攻撃により10人のイスラエル人を含む34人が死亡。アブドゥッラー・アッザム旅団の犯行。
・2005年7月7日 ロンドンで地下鉄の3つの駅とバスの爆発で56人死亡。アブハフス・アルマスリ旅団の犯行。

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( 翻訳者:田辺朋子 )
( 記事ID:546 )