Murat Yetkinコラム:エルドアンとバイカルのクルド問題定義(Radikal紙)
2005年08月23日付 Radikal 紙

  激しい論争にも関わらず、エルドアンとバイカルはクルド問題論争の枠組みを話し合いつつ明らかにしている。
今日、国家安全保障評議会においてテロ対策という課題が存在するにもかかわらず、非合法組織であPKKとの闘争の枠組みでクルド問題が議論されることは驚くべきことではない。参謀総長ヒルミ・オズキョクが8月5日に「限定的権限」に言及したことから始まった論議は、首相タイイプ・エルドアンが同10日にあるグループのメンバーとの会談の前に「クルド問題」という定義を用いたこと、同11日に共和人民党の党首デニズ・バイカルが「この策略がテロとの闘争に悪影響を及してはならない」と警告したこと、これに対し再びエルドアンが同12日、ディヤルバクルにおいて「クルド問題」の定義によって解決を目指すと主張したこと、そしてバイカルが同15日にRadikal紙とMilliyet紙に対して、クルド問題とテロはそれぞれ別であると話したことで、新たなる局面に発展した。
 首相は先日イスタンブルで初開催されたF1グランプリにおいて記者の質問に答えつつ、バイカルの言動に対し放置しておけない訂正をした。エルドアンは「クルド問題は別問題である。PKKのテロ、あるいはテロ問題も別問題である。これらを混同してはならない。」と語った。
治安部が「クルド問題」という定義を好んでいないことは周知である。それは、クルド問題の存在を見て見ぬ振りをしているからではなく、「クルド問題」という語がこのように使われることは、戦略的な面でPKKと同義であることから、彼らに政治的弁解の余地を残さない不安である。なぜなら我が国においてクルド問題は、PKKが非合法の武装組織として結成され、3万人が命を落とし、1千億ドルの経済的損失を出し、その他換算できないほどの政治的名声に影響を与えたテロ活動を開始する前から、この名の下で議論されているのである。第9代大統領スレイマン・デミレルはPKKの出現を「第29の反乱」と定義し、それ以前の28の反乱についても報告をしている。最近の議論において軍が、そして参謀総長の見解において具体化する態度がいかなるものであるかは、今日の国家安全評議会の会議とその後に明らかになるであろう。
 結果、実行権限を持つ政府と野党の主張から明らかになった見解は以下のように要約できる。
1.PKK、一般的なテロ問題とは別にクルド問題が存在する。
2.クルド問題の解決は、PKKや一般的なテロ問題とは別途に考慮されるべきである。
3.クルド問題に対して取られる解決案は、PKKや一般的なテロ問題に対しても有効である。
4.クルド問題の解決に対して取られる方策は、PKKや一般的なテロ問題を弱体化させることはない。
 首相と野党党首が、参謀総長が問題を提起してからわずか2週間でメディア等に語った言動を以下のように要約すると、その焦点から興味深い満足な2つの結果を導き出すことができる。
1.執行部において、この問題について新たな歩みを踏み出せるほど意思決定が成熟してきている。
2.公正発展党政権は、CHPに対し意義申し出をせず、結果を得られるような形式を生み出せれば、この形式は世論に対してもそれほど難しくなく説明可能であろう。
ここでエルドアンとバイカルが「クルド問題」というとき何を意図しているかを考える必要がある。
バイカルはこの数日間に行った説明で、クルド問題の民族アイデンティティを承認し、文化的、民主主義的側面を理解していることを述べている。またEU加盟に向けての調整法によってもこの目標に到達しつつあることを述べている。しかし施行において取られるべき距離や調整もあることを付け加えつつ、門戸を閉ざしていない。エルドアンのクルド問題についての見解はまだ明らかではない。バイカルの定義に対しても、どのように応じるかはまだ不明である。しかしディヤルバクルやイスタンブルでの演説で、PKK問題とクルド問題が別問題であることを述べ、アイデンティティについてより強調する方向であることは予測できる。MKKの会議はこの機会となるだろうか。しかしエルドアンの発言に対し、早急に反応があれば、この議論と結果に良い方向をもたらすであろう。



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( 翻訳者:大島 史 )
( 記事ID:733 )